ゴマについて 西勝造

西勝造著作集 第12巻 道は近きにあり 

西勝造 柏樹社

18 ゴマについて

西医学健康法ではゴマを摂ることを推奨している。それでここにゴマについて少し申しあげてみたい。

かつて、石塚式食養法でもゴマ塩やゴマ油のことを盛んに推奨していたようだが、これは食塩について十分学的研究が遂げられていないから、2、30年前まで、ある一部の人々に信用されていたが、無条件にそのまま推奨はできない。

ゴマと気質との関係、ゴマと腎臓を初めとする内臓器官との関係はなかなかおもしろいのである。

ゴマには、白、黒、褐(赤)の3種があり、すべて各々独特の効果がある。いつも申し上げている通り、皮膚の機能が衰えると肝臓が故障を起こし、肝臓の機能が減退すると、腸の働きが悪くなる。腸の働きが悪くなって便秘すると、脳の血管が膨張して、主として手足の神経が麻痺し、いわゆる四肢厥冷症となって、手足が冷え、その部の血液循環が悪くなる。手が冷えると肺に故障を起こし、足が冷えると心臓、腎臓、血管の故障となる。

肺臓が悪くなると、顔色は青白くなり、心臓の働きが悪くなると、顔色が赤くなり、血管を痛めると紫色となり、腎臓が悪くなると黒くなる。紫色と濃い赤色を重ねると単色の黒となるから、結局病的の顔色は白と黒との2色ということになる。

肺臓は、血液中に酸素(O2)を入れ、その中から炭酸ガス(CO2)を排除するいわゆるガス交換作用を営むところであるから、ガス体の仕事である。心臓は、血液循環の調節作用をおこなうタンクの働きをなすところであり、血管は血液の輸送器官である。腎臓は尿酸とか尿素とかを液体として分離排出するところである。それには、清い生水を飲まなければならない。腎臓は、液体の仕事場所であって、人間は口から摂った栄養と水に、肺臓と皮膚から摂る空気を配合して、人間の生存や活動に必要なる物質とするが、それらの生成に使用した残渣物質を尿酸や尿素等の形とし、水に溶解して体外に排出するのである。したがって腎臓の働きには、水が必要であるから、生の清水を飲むということは、身体の浄化作用を旺盛にすることである。

現代医学では、生の清水を飲ませないが、このために我が国に腸炎下痢が非常に多いのである。米国においては、食事のときばかりでなく、どんなところでも水が飲めるようになっており、米国人は盛んにこれを飲んでいる。日本で生水を危険であると誤信していることは、日本国民のために誠に不幸なことである。これらの誤信している医師たちは速やかに米国の医師について、水の飲用が危険がないということを学ばなければならない。日本の医師たちは、水を飲むと胃液が薄くなり、心臓や腎臓が過労するからいけないというが、それは杞憂である。水を飲まないと、血液が濃くなって、循環が困難となるから、心臓も腎臓もその作用に骨が折れる。その上、西医学では平床とか硬枕で、心臓腎臓の働きを鼓舞するようになっているから、少しも差し支えない。たとえ病人でも、水を飲まねば治らない。ここらも、現代医学と大いに違う点である。

大根おろしは白であって、肺を丈夫にし、黒大豆は黒であるから、腎臓に有効である。人参は赤だから、心臓、茄子は紫だから、血管に有効ということになる。かくのごとく色彩と栄養との関係も重要である。ことに、その皮膚や顔色に現れた色の食品を摂ることが大切である。ゴマも、その色によってその作用が異なるから、白、黒、褐と3色を混ぜるのがよろしいことになる。大抵の人は、ゴマを食べると笑えるようになり、腎臓の作用がよくなるから、尿中に毒素(トクシン)を多く出す。

ゴマの効用は、いろいろあるから次にこれを列記する。

(1) ゴマには白色、黒色、および褐色(一名赤色)の3種があり、東洋の特産物である。白と褐とは油分が多いから、油をとるのによろしく、黒は香りがよいから香料の原料に使われる。

(2) 一般に白ゴマは呼吸器系統、並びに胃腸の弱いものによい。黒ゴマは、腎臓等の泌尿器官によく、褐色のゴマはもっぱら肝臓、脾臓、肺臓などによろしい。

(3) ゴマは、軽く炒って(パチパチとはねる程度でよい)すり鉢に入れて軽くすり、これに焼き塩少量を入れてゴマ塩として用いるのがよろしい。塩は、精製された食卓塩よりは、苦汁(マグネシウム)を含んだ粗塩を炒ったものがよい。別々に炒って混ぜてもよいが、また塩を炒っておいて、これにゴマを入れてパチパチと言うようになったら、おろしてすってもよろしい。近ごろ配給になる結晶の大きい薬塩は、はじめに炒ってすり潰してから、ゴマに混ぜるようにせねばならない。

ゴマと塩との割合は、その目的によって違うが、ゴマの効用を主とするときには、ゴマ8、塩2の割合とし、食塩が目的のときは、ゴマ4、塩6の割合とする。この割合は、目方でも、容積でも同じである。

(4) これを毎食ご飯にかけて食べると、ほとんど2ヶ月以上でもっとも効果を現すのは陰茎であって、体力が旺盛になり、精力絶倫になる。3ヶ月以上に及ぶと、眼がよくなる。また毛髪も黒くなる。しかしこういう目的で続けるときは、ゴマ8、塩2、あるいはゴマ7、塩3ぐらいがよく、食塩過剰を調節するために1ヶ月1回1日中の塩抜きをやらねばならない。

(5) 月経痛には、5、6日前から黒ゴマ塩を、淹れたての番茶に入れて飲むときには、非常に痛みを軽減する。

(6) ゴマ塩は、頭脳をよくする。

(7) 老衰を復活する。黒ゴマ塩を、食事の度毎にご飯にかけて食べると、不老長寿を得るから、仙人の良薬といわれている。仙人が印籠から出して服用するのは、黒ゴマ塩にほかならないが、そのときは黒ゴマ塩を、夜明け前に汲んだ井戸水と一緒に飲めとしてある。太陽の水平線上に昇る前の井戸水の清水で、黒ゴマ塩を飲むのであるが、都会生活者で、井戸のないところではできない。井戸水の代わりに水道の水を用いるのであるが、そのときは大根の搾り汁と一緒に飲めば、水道の水でもここに言う井戸水と同じになる。大根のおろし汁は、10gぐらい飲めばよろしい。

(8) 眼精疲労(つかれ眼)には、上等のゴマ油を、味噌汁の度毎に2、3滴たらしたものを摂ればただちに回復する。

鳥眼も、味噌汁の度毎に、ゴマ油2、3滴たらして食べればよくなる。

トラホームとか、流行眼は、ビタミンAの欠乏からであるから、ゴマ油がよろしい。このときは、食塩水で洗って、上等のゴマ油1滴を点眼すればよい。

(9) 慢性胃腸病は、ゴマ塩を毎食ごとにご飯にかけて食べるときは回復する。

(10) ゴマ塩は、腎臓病に特効がある。

(11) 黒ゴマを、5ヶ月以上連用するときは、リウマチを予防する。

(12) ゴマは、白髪を防ぎ、髪を黒くする。

(13) 白、黒混合のゴマ味噌和えは、糖尿病、脚癆(脚結核)、神経衰弱、病後の回復などに大いに有効である。

(14) 心驚といって、ちょっとしたことに胸がどきどきする人は、淹れたての番茶に褐色ゴマ塩を入れて飲めばおさまる。

(15) 痔疾には、ゴマ和えを食べるとよい。あるところでこの話をしたら、あるご婦人がこれを肛門に塗った。ベタベタして気持ちが悪く、そのうえ幾日たっても治らないのはどうしたことだ、と質問された例がある。つけるのではなくて、食べるのである。誤解されないように願いたい。

(16) 一般虚弱者には、黒ゴマをいろいろの料理に用いるとよろしい。

(17) 平素胃弱で、胸先が痛み、胸やけ、胸苦しいなどのときは、大根おろしを先に食べて、後で白ゴマ塩をご飯にかけて食べると軽快する。こうした病状のない普通の人は、ゴマを先に摂り、大根おろしは後から食べるのである。

(18) 寄生虫(回虫、その他の寄生虫)に対して、他の方法で効果のないときは、空腹時にゴマ油0.09ℓを1日に分服する。そうすると、不思議に寄生虫を駆除する。

(19) 結核病で、身体の一部の痛む感じのあるときは、白ゴマの炒ったものを用いる。またゴマ油を、いろいろの料理に用いるとよろしい。

(20) 乳不足の婦人は、黒、白、褐の3種混合のゴマ塩を1週間使用すると、すぐに効果を現す。ただし、家庭上いろいろ心配のある人には効果はない。

(21) 白髪の予防として、毎日黒ゴマを食し、あとは昆布、ヒジキ、ワカメ等の海藻類と、クルミ1個ずつを食するのがよろしい。

(22) 一般にゴマは精力を増し、気力を盛んにし、中風の人は黒ゴマを炒って食べるとよろしい。

(23) 黒ゴマを炒ったものを、熱湯中に入れ、冷やして飲めば、白髪の予防となる。

(24) 毎日副食物の3分の1を肉食とし、4日に一度休み、黒豆、大豆、白黒褐色ゴマ、海藻類、川魚、または他の小魚を骨とともに食べると、白髪を防ぐ。

(25) 黒ゴマを常食に摂るときは、今まで笑わない人も、だんだん笑うことができるとは前にも述べた。これが一番おもしろいゴマの性質である。

ゴマの摂取量には限界がある。1日1回の量は盃1杯で約0.054ℓ、茶さじで3杯半が最大限であるから、それ以内が一番理想的である。それ以上は、めしあがらないように注意しなければならない。

ゴマは、いつまで続けても害はない。ときには、小豆飯にしてゴマ塩をかけて摂るのもよい。ゴマを続けて食べていると、小便の試験によって毒素(トクシン)がたくさん出ていることがわかる。

ゴマ塩をつくる場合、老人用のものは軽くすり、若い人のものは、すらなくてもよい。

ゴマの保存は、よく干して風通しのよいところに保存するのである。

肺結核には、上等のゴマ油を1杯、卵黄1個とともに摂るとよいというが、要するにビタミンの問題であるから、治ってしまったらやめるがよい。


こんなことを書いても、医師法とはなんの関係もなかろう。昔からいい伝えられる家庭の心得である。

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