西式強健術と触手療法(1) 西勝造

西式強健術と触手療法
創始者 西勝造 著
強健術篇

西式強健術の準備運動

健康法研究の動機

私は、少年時代から30歳位までは胃腸が非常に弱く、少し食べ過ぎたり変わったものを食べたりすると、胃が痛んだり下痢をしたりして困ったものである。その上ひどい神経衰弱に苦しめられていたので、何とかしてこれを根治して、無病息災の健康体になりたいと思い、20年来健康に関するいろんな会に入会し、また、古今東西の強健法を片端から研究し、病気や健康に関する書物は、和漢洋に亘って随分たくさん読んだものである。そして西洋のスチル博士のオステオパシー(骨柱治療法)、ノックス・トーマス博士のナチュラパシー(自然療法)、アブラムス博士のスンボディロセラピー(脊髄操作療法)、マレー博士のソマパシー(整体術)、フィツゼラルド博士のゾノテラピー(分体療法)等、このほか精神的に治病するクリスチャン・サイエンスであるとか、クーエイズムとか、エムマヌエル・ムーヴメントとか。また、東洋ことに我が国では岡田式静坐法、中井氏の自彊術、藤田式息心調和法、江間式気合術、石井氏の生気療法、坂本氏の屈伸道、等、等、等、従来発表されたもので自ら実地研究しないものはほとんどなく、その数実に362種の多きに上ったのである。

ところが、これらを一々生理学的に、心理学的に研究し、さらに物理化学的に吟味してみると、自分の健康を回復するに適当と認められたものは1つもなかったのである。なるほど、その1つ1つは半面の真理をとらえているようではあるが、いずれも一方に偏していて、そのまま無条件に採用するわけにはゆかぬ。それでいろいろと研究した結果『心身の細胞組織をホモゼニアス(均整)にするならば、心身自ずからイクイリブリアム(平衡状態)が保たれるようになり、無病息災となる』という結論に到達し、在来の各種健康法の長を採り短を捨て、打って一丸となして組み立てたのが、次に述べるところの、いわゆる西式強健術である。

私はこれを実行して以来、健康はめきめきと回復し、従来僅かに11貫少しばかりしかなかった体重が、私の身長に最も均衡した16貫に増し、東京市電気局に職を奉じて既に9年になるが、未だかつて病気欠勤をしたことなく、また、私の家族もこの強健術によって、ついぞ医者にかかったことがなく、さらに私の友人である或る工学士の一家のごときは、ほとんど毎日、医者の出入りしない日がなかったのが、この強健術を実行してから、パッタリと医者を招く必要がなくなったのである。

さて、本強健術を説くに当たって、最初に強健術そのものの理論を述べたいのであるが、それがあまりにも広汎に亘り、あまりに専門的に亘っては、却って理解の難渋を招く恐れがあるから、まず西式強健術の方法を掲げ、しかる後にその原理について説きたいと思う。

準備運動11種

私の強健術はすこぶる簡単であって、朝起きて排尿した後(排尿は最初の内は実行前にしなければならぬが、後にはその必要がなくなる)と夜寝に就く前と、1日2回10分間ずつ、寝床の上でも、椅子に腰を掛けても、どちらでもよい。姿勢を正しくしておこなえばよいのである。

まず準備運動として、次の11種の運動をおこなう。

(1)最初、両肩を同時に上下10遍上げ下げする。

(2)頭を右肩のほうに10遍曲げる。

(3) 次に頭を左肩のほうに10遍曲げる。かくのごとく右左の運動は、以下同じく、いつも右を先にするのである。そして常に頭の直立を基準として傾けるのであって、決して右左に、同時に動かしてはならぬ。

(4)前述の調子で、今度は頭を前に傾けること10遍。

(5)次に頭を後ろに傾けること10遍、これも頭を、正面を中心として、前後に各10遍ずつ曲げるのである。

(6)今度は頭を右後方に回すこと10遍。

(7)次に頭を左後方に回すこと10遍。この(6)(7)の2運動も頭を直立させた前向きの位置を中心として、右後と左後とに10遍ずつ回すのである。眼の悪い人などは、首があまり後ろに回らないものであるが、回るだけ回すようにする。

(8)正面を向いたまま、掌を開いて拇指を上にして両腕を水平にウンと伸ばして、それから正面を中心にして頭を右に1遍、左に1遍ずつ回して顔だけ正面に戻す。

(9)腕をそのまま上にあげて、また顔の正面を中心にして、右と左に1遍ずつ回し、何ら差し障るものがないという暗示を得て、腕を上にあげたままで、拇指を中にして、掌を堅く握る。

(10)上で掌を握ったまま腕を直角に曲げて水平に落とす。握り拳にウンと力を入れる。

(11)握り拳に力を入れたまま、前腕を垂直にし、後腕を水平のまま、これを後ろに引けるだけ引くと同時に、頭を後ろに反れるだけ反らして、顎を上へ突き上げるようにする。

それから、腕の力を抜いて下におろし、掌を開いて静かに膝の上に置く。

以上で準備運動が終わるのであるが、この11種の運動に要する時間は、全体で約1分間である。

脊柱と腸の運動

準備運動が終わると、1往復を1回と数えて、1分間に50回ないし55回の速さで、第2図のように身体を右左に振る。それと同時に、下腹を出したり凹ませたりして腹部の運動を兼ねておこなうのである。すなわち脊柱の運動と腸の運動とを同時におこなうのである。

この身体を右左に振る運動は、前に述べた準備運動の場合と異なり、体を中心に止めることなく、右左に振り子のごとく振れるだけ往復させるのである。

この運動は1往復を1回とし、500回位おこなう。これに要する時間は約9分ないし10分間である。

脊柱の多少歪んでいる人は、最初は上体が斜めに揺れたり、前かがみになったり、いろいろするけれども、自然と正しく振れるようになる。これを実行するときは、座っていても、胡坐をかいていても、椅子に腰かけていても、どちらでも差し支えないのであるが、立っておこなうことは絶対にいけない。必ず尻をつけて運動するのである。立って運動する健康法は、沈着を欠き、相貌が野卑になる。それ故立って運動をする健康法をおこなう場合は、必ず別に精神修養法をおこなわなければ、品性が粗野になり、皮膚が荒れてくる。肉体の矯正と精神の修養とを兼ねた強健法は、必ず尻を落ち着けておこなうに限る。その理由は後に理論を述べる場合に説明する機会があろうと思う。

準備運動をおこなう場合は、眼を開いていてもよいが、脊柱および腸の運動の場合は、眼を閉じてやったほうが都合がよい。ただし、無念無想になるのではなく、ことごとく意識し努力しておこなうのである。

脊柱を動かすと同時に腸の運動をおこなうことは最初の内はちょっと難しいが、だんだん慣れると簡単にできるようになる。最初は腸だけ動かす練習をして、意のままに腹部を動かせるようになってから、身体を右左に振る運動と合併させると、ちょうど一緒におこない得る。

この運動法は、ことごとく生理的に適っているので、これを毎日朝晩10分間ずつ実行すると、身体があたたまり、頭がはっきりし、記憶力がよくなり、少し位の病気はほとんど一掃することができる。

そしてこの運動を2000回続けて実行すると、全く不死身の体となり、蛭を体に吸い付かせようとしても、体から一種の抗素が分泌して蛭が吸い付くことができないようになり、蚊も蚤も食わない体になる。そして、2000回連続これを実行したならば、もはや毎日この運動をおこなう必要はなくなるのである。たとい、何かの原因で背骨に狂いが来ても、この運動法を1回やれば直ちに矯正することができる。現在私はこの運動を毎日おこなってはいない。ただ過激に頭や身体を使ったとき、あるいは旅行したときだけ実行している。

次に病気のある人は、この運動法を30分間も続けてやると、反射運動が起こってくる。たとえばリューマチスの患者であれば絵にも描けないようないろんな発作が起こる。それはその人々によって異なり、中にはひっくり返って足をばたばたさせる人もある。病気のある人に限って、この運動法をやると各関節のところに毒素が溜まり、それを押しのけようとして自然にそういう発作が起こるのである。こういう反射運動の起こったときは、額でも、膝でも、自分で叩くか、あるいは人に背骨をパッと叩いてもらえば直ちに止まる。

この反射運動は、岡田式静坐法でも、生気療法でも、大本教の鎮魂帰神法でも、その他この種のものに大抵起こってくるものであって、特に西式強健術にのみ起こるものではない。しかも、この反射運動が起こったから病気が治るとか、この患部を叩いたから症状がなくなるとか、さすったから治ると思うのは、とんでもない心得違いで、強いてこんな反射運動などを起こすのは、全くの無駄の努力である。反射運動が起こったならば、それによって手先の行方を見、その部分につながる脊髄神経索をまず矯正して、しかる後に、私の運動法をおこなえば、必ずどんな病気でも治すことができる。

自分の体を診断する法

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