西式入門解説講座(1)~(15)とりあえずまとめ

西式入門解説講座 
健康・美容・若返りの秘訣(1)~(15) 
山崎佳三郎(岡山健康学院院長)

健康に繋がるもの

人と生まれて欲するものは、金、地位、名誉、家、美貌、衣服と数限りない。しかしこれらを望み得て手に入れたとしても、健康なくしてはちょうど機関車の付いていない客車や貨車と同様で、何ら価値のないものです。時としては却って恨みに思うことさえあります。

「名月や座頭の妻の泣く夜かな」という句がありますが、目が見えなくとも、暗夜であればそれほどまでも思わないが、名月で月が美しい程、傍らにいる妻は、居た堪らぬ気持ちになることが、この句に滲み出ています。落ちぶれていたときは然程(さほど)にも思わなかったが、親や妻が死んで後、自分の地位が上がるほど、金ができるほど「死んだ親や妻に、一目見せてやりたい」と思う例は世間にはあまりにも多いようです。金はありあまるほどあっても、胃潰瘍や胃癌に罹っては何も、満足には食べられないことでしょう。何処々々の博覧会、何々のパーティの招待を受けても、また桜に、海に、スキーにと新聞は書き立てても、病ある身には縁がなく、新聞紙上から眼を逸らしたい人も何と多いことでしょう。

我々は第2次世界大戦で、戦場に、職場に、家庭において銃火を浴び、家を焼かれ、衣服も食事も統制で、住むに家なく、困難と欠乏に耐えて漸く生き延びてきました。そして文化生活は保障され、住居に、衣服に、食事にと、戦前を凌ぐほど立派になった今日ではありますが、病気になったのでは仕方がないでしょう。

地球は次第に縮まって、ハワイまでは僅か8時間で行ける。内地も、近くは夢の超特急が走ると言います。誰を乗せて走るのか?金があり地位があっても病気になると、この文明の利器も全て無関係になり、たとえ乗ることができましても、早く目的地へ着けばよいと念願する苦痛以外の何物もないことでしょう。

社会が文明化する程、病人は淋しい思いをするようになります。

病名の数

近年、現代医学は長足の進歩を遂げ、大病院は空に聳(そび)えて建ち並んだが、病気は少しも減らないようです。昔は四百四病と言われた病名も、今では16万6千有余と言われ、物価の上昇率を上回る高率を示すようです。

人間は太陽、月、土地、空気、水の織り成す自然の要素で発生し得たのであるが、自然を無視した、いわゆる文化生活で体を傷めて病気になり、これらを薬一服で治そうとする人達のあまりにも多いこととは、関係がないでしょうか?

一方にはこの人々に対抗して、新興宗教が雨後の筍のごとく台頭して「肉体は精神の影」とか申して、精神一辺倒の旗を振り掲げています。

正しい健康法とは

「健全なる精神は健全なる身体に宿る」場合もありましょうし、「健全なる身体は健康なる精神に宿る」場合もありましょうが、肉体一辺倒、精神一辺倒は、共に私達の採るところではありません。

0=0でもなければ、1=1でもなく、1=0であり、心身一如、すなわち一者こそ「正しい健康法」であります。

この「正しい健康法」は単に健康保持と治療法だけでなく、一面美容法であり、若返りの方法でもあり、頭がよくなり、円満の精神の持ち主ともなることができるのであります。円満な精神と言っても、感謝のみの消極的なものでなく積極性を含む円満さ、つまり心、身、一体が望ましいものです。

或る30歳台の病人が5年もの長期間病床に横たわっていましたが、愚痴の一言も言わず、周囲の人々へ「ありがとうありがとう」と感謝の言葉を掛けていましたので、近所、知人の賞賛の的になっていましたが、私は「5年もの長い間寝たきりなのに、愚痴も言わず、ひたすら感謝するのは、非常に結構と思いますが、感謝の気持ちをもう一歩進めて、皆様に報ゆるように健康になって働く努力を何故しないのか。たとえ他人に迷惑を掛けても健康になろうという積極的意欲がないのは自己満足に過ぎない」と言って本人を奮起させ、遂に健康体にしたことがあります。

しかしその方法を知らねば致し方がないので、ここに初心者の方々のために、家庭において日常生活に織り込んだ健康、美容、若返りの方法を各方面から検討しつつ、平易に説明致したいと思います。

皮膚と健康

人間が生活してゆく上に健康ということがどれほど重要な役割を占めているかは、だいたい前に述べた通りであります。それで私達がその健康であるためには、日常どうした生活をすればよいか、万一健康を損なった場合はどうした療法を試みればよいかについて、これから順を追うてご説明申し上げましょう。

まず最初に「皮膚と健康の関係」について述べることに致します。皮膚が外界と肉体の境界線であることは申す迄もないことで、あたかも(あたかも)朝鮮の38度線に相当します。孰れ(いずれ)の国でも、その国の国境が如何に重要であるかということは言を俟たないことで、自分の住む国をどんなに繁栄させようとしても、国境の警備が弱いと、しばしば外敵に侵入され、やがて亡国の運命を辿りますことは、歴史がこれを証明しています。

桃の実がまだ結実して間もない時、その桃の表面が僅かの刺激で傷つき、その傷口から目に見えない小さな虫が侵入したとします。桃の実が成熟するにつれて、侵入した虫もだんだん成長し、愈々(いよいよ)その実が食べられる時期になると、惜しくも選果場で廃果として処理されます。ほんの僅かな傷口から侵入した1匹の害虫によって、その桃は果実としての真の価値を失った訳です。━境界線の重要性は、こうした所にもあるのです。

「皮膚は諸病の鏡」とも言われていますように、その人が健康であるかどうかは皮膚を見ただけで分かります。

これを私達の住む家屋に例えて申しますと、皮膚はその外壁に当たります。崩れ掛かった壁を修理もしないで何時までも放置してあるような家庭は、平和で繁栄している家庭ではないはずです。序で(ついで)申しますれば、皮膚が外壁であり、背骨は大黒柱です。そうなると血管は水道、ガス、電気の線に相当し、神経が家族、精神が主人と言ったところでしょうか?少々無理なこじつけかも知れませんが、こういう具合に説明しておきますとわかりやすいと思います。

さて皮膚のことですが、以前はこれを外皮と内皮の2種に分けて説明していました。外皮とは我々の目で見える範囲の皮膚のことで、内皮とは直接目で見ることのできない皮膚、すなわち口中、咽喉、胃や腸の内壁、または肺の中の空気が接する部分などを言います。

現在ではスキン(皮膚)の1語で統一されていますが、けっきょく外皮の強い人は内皮も丈夫であり、反対に内皮が弱いということは外皮も弱い結果になるわけです。

皮膚と内臓

これは過年アメリカにあった実話でありますが、ある殺人犯が裁判長から死刑の判決を受けました。法廷で裁判長が読み上げる宣告文を聞いていた被告は、死刑と宣せられた瞬間顔面が真っ青になりました。この時、この席に列していたキャノンという生理学者が、裁判長に乞うて被告を或る目的の実験に供しました。

まず宣告を受けた直後の被告の胃の中に胃鏡を入れて胃壁の状態を調べましたところ、普通の内壁よりもずっと青色になっていました。ここで初めて顔面が貧血して青くなると、胃の内壁までも貧血することが分かりました。

恐らく腸壁も、肺臓の内壁も青くなっていたことでしょう。これは学術上、貴重な資料であると喜んだ博士は、裁判長に向かって被告が学界に貢献してくれたことを感謝する旨を述べ、この功績を認めて只今宣告された刑を減じて頂くよう嘆願しました。裁判長もこれを了承して、刑一等を減じて無期懲役にする旨を申し渡しました。

裁判長の言葉を静かに聞いていた被告の表情は急に明るくなり、顔面に赤味が差してきました。そこでキャノンが再び胃鏡を入れて内壁を調べると、胃壁も同様に赤味を帯び、血液の循環が正常に返っていたと申します。

これは皮膚と内臓の関係を立証する貴重な実例であると同時に、内臓を丈夫にするにはまず皮膚を丈夫にすることが肝要であることを知る上に大変参考になるものであると思います。

このように立腹し、憂慮することが人体に如何に悪い影響をも及ぼすかということについては、最近各方面でも問題になっています。

皮膚を丈夫にする方法

それでは人体の境界線とも言える皮膚を、外敵に侵入されないように丈夫にするには、一体どうしたらよろしいかということについて、これを従来一般に行われている健康法と比較して説明してみましょう。

一般の健康法は、大別して

(1)、冷水摩擦

(2)、タワシ摩擦

(3)、乾布摩擦

(4)、冷水浴

(5)、裸運動

などであります。ところがこれには一利一害があって、合理性がないのです。

まず第一の冷水摩擦は、血液が酸性になります。猶(なお)これを中途で休止すれば、動脈硬化症や高血圧症になりやすいのです。

第2のタワシ摩擦は、肺臓癌に罹りやすいと言われています。数年前まで薬局などで両方に紐の付いた白いタワシを売っていましたが、こうした結果論から最近はあまり売らなくなりました。

世界的に斯界の有名人である山際勝三郎博士は、実験用の兎の耳を毎日摩擦している裡に妙な症状が現れました。そこで、これを解剖して調べたところ、癌ができていたと発表しています。このタワシ摩擦の発祥地であるソ連ですら、最近はこの方法をあまり採用していないそうです。

第3の乾布摩擦は、時として皮膚を傷つけることがありますので、これもよい方法とは言えません。

現在私のところに入院している、高松の或る娘さんは、毎日こうした方法の摩擦療法を実行していたそうですが、ときどき心臓発作が起きて困ったと言っています。

皮膚は「周辺心臓」とも「第2の心臓」とも言われていて、心臓の弱い人は当然皮膚も弱いわけです。でありますから一途に心臓を強くしようとして、あるいは皮膚を強くする目的で、乾布やタワシで皮膚をゴシゴシ摩擦することは、却って心臓を弱めたり、肺臓癌になったり、皮膚を損なったりする結果になることがあります。

第4の毎朝冷水を浴びる療法は、これまた血液を酸性化させる傾向が多分にあります。大体病気の7割5分までは血液の酸性化による病気でありまして、その代表的なものに腎臓病、糖尿病、結核、高血圧、脳溢血、動脈硬化症、各種の熱の出る病気、昏睡する病気、神経痛、リューマチスなどがあります。

私の知っているある宗教家が、普通の水垢離は誰でもできる修行法であるから、自分は冷水で行水をして修行すると言って、寒中に大きな盥(たらい)を買ってそれに冷水を満たし、氷の張るのを待ってその中で行水をしていました。それを見た私が、

「そんな無茶なことをすると、神経痛が出て困りますよ」と言いましたところ、

「自分は修行しているのだから、神経痛などには絶対罹らない」と言って聞きませんでした。

そこで私は、

「神様は貴方に氷の張った盥の中で修行せよと命じられたのですか?自分勝手にそう決めておいて、悪くなったら神様の所為にするのではないのですか?それは本当の信心ではないでしょう。神様は迷惑されていますよ・・・・・・」と言ったことですが、果たせるかな、その人はやがて神経痛を患って苦しまれました。

私が只今ある宗教家に言った言葉の真意を、よくよく玩味してみてください。自分勝手に不合理な療法や修行を試みて、それで悪い結果を招くようになると、お蔭がなかったのだとか、自分の信心が足りなかったとか言って、罪を神様に押し付けるようなことは、厳に慎まねばなりません。

『自然を征服することは、自然に従う者のみに与えられた特権』であります。この自然が神の道であり、神の心であるはずです。

第5の裸体で健康になろうとする方法も、最近ニコニコ会とかで盛んに行われています。全身を顔とせよのスローガンで、年間を通じてパンツ1つの裸体生活を実行している人がありますが、この裸運動を25分以上続けると、これまた血液が酸性になる可能性が多分にあります。

以上5つの方法はそれぞれ特徴があって、寒いときは体が温まり、皮膚も丈夫になるように思われますが、孰れも副作用が伴いますので適切な方法とは言えません。

それでは副作用のない皮膚の強化法は一体どうすればよいかと申しますと、まず、

第1、平常努めて薄着であること

第2、熱いお風呂に長時間入浴することを避けること

第3、空気浴と温冷浴をすること

が最善の方法であります。

裸療法について

皮膚の健康、不健康が人体にどれだけ影響するかということは、前に述べた通りであります。それではその皮膚の健康を保つにはどうすればよいかと申しますと、これにはいろいろの方法があります。今回はその第1方法として、裸療法について説明することに致しましょう。

裸療法は別名を空気浴、またローブリー療法と言います。これはフランスのローブリーという博士が創案したものを、後年日本人の体質、日本の緯度に適合するように西先生が改良を加えられたもので、その効果は第1に皮膚の働きを正常にし、皮膚の呼吸をよくし、グロミュー(動脈・静脈の吻合、または神経血管球とも言う。━このことについては後日詳細に説明する予定)の活動を促進し、一方空気中の酸素や窒素などを体中に吸収する作用をします。

お台所で炊事をするとき竈(かまど)の焚口へ一度にたくさんの薪を入れると燻る(くすぶる)ばかりで、なかなか燃えません。同様に、人間の竈にあたる口から、あれもよしこれもよしとたくさんの食物を体内に入れますと、この食物が胃の中で不完全燃焼を起こし、体内に一酸化炭素を発生させます。

一酸化炭素が体内に発生することは、健康上大変悪い影響があります。癌が発生する一番の原因とされていることにも、留意せねばなりません。

汽車の機関車缶や工場のボイラーの煙突からよく真っ黒い煙が出ています。これは石炭や重油の量が多過ぎて、空気の酸素が足りない証拠です。こうした場合は必ず不完全燃焼をしていて、一酸化炭素がどんどん出ているのです。反対に煙突から白い煙が出ているときは完全燃焼していて、炭酸ガスが盛んに出ている時です。

これと同様に、私が皆様にお奨めする裸療法は、体内の一酸化炭素を酸化し、炭酸ガスにして体外に発散させ、体液を清浄にする機能を持っています。また皮膚が健康になりますから、自然と薄着の習慣が付き、風邪や癌に侵されることもなくなります。『薄着に風邪引きなし』の諺の通りであります。

又お酒を呑み過ぎた時、お酒をちゃんぽんに呑んで苦しんでいる時この療法を試みますと、非常に楽になってよく眠られます。

最近農村でポリドールとかパラチオンなどの農薬が盛んに使用されていますが、この農薬という毒ガス?によって肝臓を傷める人の如何にたくさんあることでしょう。そこで農家の方々が農薬を散布される前後には、これから発表致します裸療法と、後で記します温冷浴を是非実行してください。この療法の実行によって、容易に健康を維持することができます。

裸療法は肝臓、癌、胃潰瘍の療法に絶対必要なもので、また寒気やムカムカするとき、幼児が引付けを起こしたときにも大変効果があります。

岡山に近い玉野市の或る老女医さんは、この療法を毎日3回実行されていましたが、これを半年続けられた結果、健康を回復されたことはもちろん、白髪であった頭髪が黒くなったと喜んでいられました。

この療法が万病に効果があることは、幾多の実例がこれを証明しておりますし、もちろん健康保持の上には最も必要であります。

裸療法の方法

さて裸療法とは、その言葉道り全身を裸にしておこなう療法で、でき得れば下帯やパンツも除いて、総身を空気に晒すよう心掛けてください。(子宮癌の徴候のある人は、両足を開いてこの療法を実行してください)

なお着衣は季節のものより幾分厚目なものを用意してください。たとえば夏の場合は浴衣2枚位(汗をかかぬ程度)冬ならば褞袍(どてら)に綿入れを重ねるか、布団を用意されるがよいでしょう。健康体の人は椅子か腰掛を用い、病者は平床に寝たままで実行してください。

この方法は、着衣または寝具を掛けたり剥いだりするのですから、自分でできない場合は、他人の手を借りねばなりません。

療法を実施する時間は別表の通りでありまして、裸体になる時間と、着衣して温まる時間が交互になっていることに御注意ください。たとえば第1回の20秒裸体が終わると、早速着衣して1分間温まり、さらに続いて第2回の30秒裸体に移るのです。

以上で第1回の裸療法が終わった訳ですが、初めてこの療法を試みられる人は、裸になる時間を

第1日 20秒より始め70秒まで

第2日 20秒より始め80秒まで

第3日 20秒より始め90秒まで

第4日 20秒より始め100秒まで

第5日 20秒より始め110秒まで

第6日から全療法に移るのがよいと思います。

乳児は90秒迄を限度とし、10歳位迄は100秒迄で止めてください。乳呑児が乳を吐く時など、是非この療法を試みてください。

猶ここで、ご注意を申し上げたいことは、

(イ)平床に寝ておこなう場合、40秒までは仰臥、50秒から70秒迄は右上側臥、80秒から1分40秒迄は左上側臥、110秒から再び仰臥の姿勢がよろしい。

(ロ)着衣は前記の通り季節のものより幾分厚目のものを用い、着衣中に汗をかかぬ程度で、しかも着衣していて鳥肌が消える位がよろしい。着衣して温まる時間は容態によって多少長引くこともあるが、裸の時間は必ず守ること。

(ハ)時刻は原則として日の出前と日没後が一番適している。日の出前は紫外線を吸収し、日没後は赤外線を吸収する。しかし病弱の人は最初を正午頃から始め、次に午後3時頃の2回とし、一番暖かい時刻を選んでおこない、毎日30分ないし1時間ずつ繰り上げ、または繰り下げて漸次日の出と日没後に接近するようにする。

(ニ)食事の前後約3、40分はこれを休止すること。すなわち食前ならば1時間前から、また食後の場合は3,40分経ってから始める。

(ホ)朝・昼・晩と1日3回おこなうのが原則であるが、保健の意味でおこなう場合は、朝夕の2回でよろしい。病人の場合は、症状によって回数の加減をおこなうこと。たとえば癌症状の場合は1時間おきにおこない、1日6回ないし11回位おこなうがよい。

(ヘ)裸療法の終わった後で入浴することは差し支えないが、入浴後の裸療法は1時間以上経過してからがよい。温冷浴などの直後に裸療法をしても、効果はあまりない。

(ト)最初の30日間は1日も休まず続け、30日を過ぎると2、3日休み、また30日間続けて2、3日休むという具合に約3ヶ月続け、これを4回繰り返して1ヶ年続ける。

(チ)この方法は夏でも冬でも効果に変わりはないが、保健の意味でおこなう場合は9,10,11月、または3,4,5月の2期を選んで、朝夕実行するのがよろしい。

(リ)微熱または発熱の患者がこの方法を始めると一時熱が上昇することがあるが、これは心配せずに続けること。

(ヌ)療法を始めて皮膚病やリューマチ、神経痛などの症状を起こすことがあるが、これは内部に潜んでいる病気が出たのであるから、構わないで続けること。発疹には柿茶、スイマグオリーブなどを塗っておくがよい。

(ル)咳の出る患者は、一時咳が激しくなることがある。しかし続けて行っている裡に、間もなく止むから心配せぬこと。これは神経が正常に働き始めたためである。

(ヲ)この他にもいろいろの症状が起きることがあるが、それはこの方法が効果を現し始めた証拠であるから、喜んで続行しなければならない。しかしあまり激しい症状を見る場合は一時中止し、また始めるがよろしい。

(ワ)普通健康者の場合は、裸体になっている間に身体の強張った部分を摩擦したり、あるいは金魚、毛管、背腹運動(詳細は後で説明する)をすればよい。ただし着衣の時間には安静にしていなければならない。

(カ)鶴間と脚袋(孰れも後で説明する)の使用は、裸療法の補助をする。

(ヨ)純生食(後で説明する)中は、特に裸療法を欠かすと栄養失調になる恐れがある。裸療法によって、空気中窒素を体内に補給する為である。

以上で裸療法による効果と、その方法を終わりますが、これは健康を望む方はもちろん、平常健康である方も是非実行してください。

温冷浴について

前号では、皮膚の健康法として裸療法を述べましたが、今回は入浴による皮膚強化法として、温冷浴をご紹介致しましょう。

温冷浴とは温浴と冷浴とを交互におこなうものでありまして、語呂の関係で温冷浴と申しますが、実際は水浴を先に、温浴を後に致します。湯の温度は摂氏41度ないし42度、水の温度は14-15度となっています。初めから14,5度にはなかなか入れませんから、水温20度位から始め、徐々に14,5度に下げるよう努力して頂きます。湯の温度は、40度迄にするよう努力が必要です。

温冷浴の効果を申しますれば、温浴で皮膚を緩め、冷浴で引き締めるので、皮膚は何時迄も弾力を保ち若々しい皮膚となり、風邪を引かない体質となります。また温浴によって血管を広げ、水浴によって血管を収縮させます故、血液の循環がよくなります。したがって特に神経痛、リウマチ、頭痛、糖尿病、高血圧症、低血圧症、肝臓病、心臓病、腎臓病、風邪、微熱のある者、アジソン氏病、マラリヤ、貧血症、一般循環器疾患並びに疲労回復によろしく、万病に効果がありますが、その方法は健康状態に応じた適当な方法があります。

普通に行われる温浴だけの入浴法では、発汗致します故、体内の水分やビタミンCや塩分を失います。温浴だけでは血液をアルカリ性に偏らせ、冷水浴は血管を収縮するだけで却って拡張力を鈍らせ、そのうえ血液を酸性にするので、普通の温浴だけ、または冷浴だけと一方に偏するのは有害な場合が多いのです。特に空腹時に温浴だけ致しますと頑固な頭痛持ちになったり、脳膜炎に罹りやすくなります。

温冷浴の方法

病弱者および30歳以上の人の温冷浴

最初は全身を普通の入浴のように温浴し、一旦上がって上半身を拭い、着衣して膝まで湯に1分間入り、次に水に1分間入り温浴と冷浴を各3回、1分ずつして、最後は必ず水で上がります。

次の日は同じ要領で大腿の付根まで入ります。これを1週間繰り返して行って、初めて水から先に入って水で上がる全身の温冷浴をおこなうのであります。

特に病状の甚だしい人は湯ー水ー湯ー水ー湯ー水と、1分間ずつ温湯と冷水に浸かる事から始めなくてはなりません。上がったならば水気を拭い、痩せた人は2分ー5分、太った人は5-10分くらい空気に晒し、乾かして後に着衣します。

動脈硬化症の人の全身温冷浴

動脈硬化の人は左記の表のごとく、温と冷との温度の差を少なくした所から始めて、次第に普通の温冷浴にしてゆきます。

ただし慣れてきたら、湯の温度は41-42度で止めておくべきです。

普通全身温冷浴

この方法は、初め全身の入水1分間つぎに全身の入湯1分間という様に全身の1分毎の温冷浴を交互におこなうのであります。ただし常に水浴で仕上げること。水3回湯2回の5回、または水4回湯3回の7回とします。5回以下は効果が薄く、9回以上は多過ぎます。ただし症状その他によって合計61回を続けることもありますが、このときは生野菜を1日に300匁位(1匁=3.75g、300匁=1125g)食べなければなりません。

この方法を続けた為に、白髪が黒くなった人もあり、数年間夫婦喧嘩ばかりしていたのが円満になったという人もあります。その他にも奇跡がたくさん生まれていますが一度に回数を増すと失敗しますので十分の注意が必要です。

しかしたとえ温冷浴の回数が多くても、湯の温度が高いといけません。湯の温度が高く(43度以上)回数を多くしてどんな害があるか、実験のために私は61回の温冷浴を85日間続けてみました。ところが普通7回で鍛えた、お嬢さんに負けないような玉の肌(少し自惚れが過ぎますかしら)に、赤や黒の小さな斑点ができました。

湯の温度はでき得れば40度位にすれば大変よいと思います。癌や脳溢血の候補者(当選確定かもしれません)は皆熱いお湯がお好きです。また肝臓の悪い人も熱い湯がお好きです。これは寒さに対して過敏で、暖かさに対して麻痺しているからです。

特に近年汽車に、事務所に、映画館にタクシーに、飲食店に、パチンコ屋に至るまで暖房装置がしてあるのでこの傾向が甚だしく、この弊害のために各種慢性の病気も増し、薬一服で治そうとしてもなかなかそうはいきません。

自分の事務所も暖房装置がしてある。そんなに身体に悪い物なら、今の会社を辞めようか?いやちょっと待ってください。家に帰って温冷浴をすれば、元の皮膚になります。ところがそんなによい温冷浴でも、自分の家には設備がないのでできないと仰るでしょう。そのときは水道のホースで足元からだんだん上の方へと水を掛けてもよく、また洗い桶で足から掛けてもよろしい。このときは足先に1杯、膝下から1杯、腰から1杯、左肩へ1杯、右肩へ1杯と都合左右各3杯ずつ掛ければよろしい。だが湯と水と2つ用意して入った方が気持ちもよいし、効果も大きいので、できるだけ水槽のご用意をお願いしたいと思います。

温冷浴の注意

水浴中は胸を張り、姿勢を正しくしてください。そうすると肺の為よく、神経痛、リウマチのように痛い箇所のあるときは、水中で動かすと効果は大きいのです。ただし湯の中ではじっとしています。

、梅毒性の人、萎縮性肝臓硬変症の人はまず裸療法を3ヶ月くらい実行して後、徐々に温冷浴に馴らすこと。

、微熱のある人も、温冷浴をおこなうことによって治ります。私は40度以上の人が1回で解熱した例を知っていますが、一般には危険ですから、しないようにしてください。平常温冷浴をしている人で、何か他の原因で、もしも38度以上の熱が出た時は、タオルの寝巻を着たまま温冷浴をするとよいですが、まず38度以上の熱のときは遠慮した方が無難でしょう。

、湯で緩んだ皮膚が水に入ると引き締められ、そのときに垢が落ちるから、普通の入浴の時のように全身を洗う事は漸次不要となり、ただ外部(出ている手、足、顔)あるいは股間を洗う位で、石鹸で全身を洗う事は月に2,3回で十分となります。あまり石鹸を使うと、腎臓を悪くします。

、温冷浴で水浴中はグローミュー(後述します)がよく働くので、悪い事は考えてはいけません。

たとえば私の将来はどうなるだろうか?母が50歳で死んだが、私は49歳で来年50歳になる。死ぬるのではないだろうか?子供が病気になりはしないか?不良になりはしないか?等々、悪い事は一切考えないことで、よい事ばかり考えると、その通りになってくるものです。

「ままならぬ世の中」ではありません。「ままになる世の中」です。水の中ではグローミューが大変よく働き、その時の意識が全て細胞に入ります。

その1つ1つ改めて言い聞かすごとく「良くなる、能くなる、善くなる」と常に念じ、常に思い、常に口にすると特に効果があると言われます。

温冷浴は6感の働きがよくなりますから、株をなさる人は絶対に欠く事ができません。子供の学校の成績もよくなってきます。温浴は発汗しますが、温冷浴は発汗しません。汗100グラム中にビタミンCが30ミリグラム、塩分0.5グラムが含まれています。ビタミンCが不足すると、毛細血管が充血して、充血した毛細血管から黴菌が侵入してきます。塩分が不足すると、神経衰弱、食欲不振、脚気などになります。温冷浴はその心配がありません。

農家の方でホリドール「、パラチオンなどご使用のときは、裸療法と温冷浴で害が消えます。飲食が過ぎて二日酔いなどの場合は、一度に治ってしまいます。でもこの方法があるからと思って飲み過ぎてはいけません。

温冷浴の歴史と応用

温冷浴はその歴史が古く「過去現在因果経」の中で釈迦の誕生の状況を記した所に、こんな記述があります。「難陀竜王(雌竜)虚空の中において清浄なる水の一は温、一は涼なるを吐きて、太子の身に注ぐ。身は黄金色にして三十二相あり。大光明を放ちて、普く(あまねく)三千世界を照らす。」・・・・・・と。

何と壮観ではありませんか。斯くて釈迦が健康に成育して初めて人の世に迷いを説き、人を救わんと志し、発奮して妻子を捨て、王城を出て菩提樹の下で6ヶ年間思索瞑想し、遂に大なる悟りを開かれたのであります。しかし当時は何しろ3000年も昔でありまして科学の発達が無かった為、精神の問題ばかりであって、これを深く肉体的に結ぶ絆を発見できなかった事は、誠に止むを得なかった次第であります。

その精神と肉体を結ぶ方法がこの医学でありまして、その中の1つがこの温冷浴であります。

温冷浴による美肌法

今度は温冷浴による美肌法を紹介致しましょう。

それは温冷浴の温湯の方に、オートミール30gを乳鉢で粉にし、乳酸5g、硼砂(ほうしゃ)2gを混ぜ、微温湯で溶いて練ったものを入れます。

一方冷水にはキャベツなど3種類の野菜の擂り潰したものを150g入れ、これに入浴すると美肌をつくります。これは1人風呂に対する分量です。これを続けると、シミも取れます。老人になってシミが出るのは、ビタミンCの不足であり石鹸を使い過ぎたからだとも言います。

25分水浴法

最後に身体の大掃除を兼ねて悟りを開く温冷浴を記しましょう。

身体の大掃除の意味で1ヶ月に1回くらい14-5度、高くとも18度以下の水に25分間入り、その後8回とか10回とか普通の温冷浴をおこないます。

初めの20分はじっとしており、最後の5分間は水槽の中で手足を動かします。特に冬季は効果が大きいのです。ただし後の温冷浴は震いが止まる迄して差し支えありません。

この方法でブルブルと身体が震うのは、体内の砂糖やアルコールが燃焼している証明でありまして、これらを多く食べたり飲んだりした人ほど大きいのです。信仰を持つ家庭では6月30日と12月31日とに大祓を致しますが、同様にこの25分水浴法も、毎日毎日積み重なった心身の浄化法です。

彼の山伏や僧侶などが滝に打たれて悟りを開いたというのもこの25分水浴法の応用でありまして、この方法は悟りの上に、なお健康増進が含まれております。この方法を実行して身体のどこかが白くなり、血の気がなくなるときはグロミューが消失したためで、こんな人ほど病的で厭世的な人です。25分水浴法は、生理的に検討した水垢離と同じ意味なのであります。

以上のごとく、水と湯と1分毎の温冷浴よりは、25分水浴法の方がなお効果的とすれば、この上30分、40分間すれば、一層効果があがるかと申しますと、水浴25分間以上は、前に申し上げました様に血液が酸過剰(アチドージス)になりますので、絶対にいけません。

戦時中に銃剣術の稽古を随分させられました。科学の発達した原水爆の世の中に、銃剣術の稽古など何ら役に立たない物なのでありますが、攻撃精神を奮い起こさせる、精神の錬磨のために行ったものでありました。これと同様に、温冷浴に入っておりますと、あらゆる困難に打ち勝つ力が備わってくるものであります。

温冷浴礼讃の歌

しのびよる 老をば、軽く遠ざけて

        おまえ百まで、わしゃ九十九まで

水 湯 水 日ごと夜ごとにたのしみて 

        百世の春を われむかえなむ

はげなおし しらがも、しわも水 湯 水 

        手足のいたみしらぬまにのく

老いしらぬ 無病長寿と若さこそ

        始皇求めし宝来のさと

水 湯 水 湯 水 湯 水と交互浴

        一分毎に健康になる

再び皮膚の健康について

『皮膚は内臓の鏡』という言葉がありまして、その人が健康であるか否かが一目でわかると言われています。我々の健康は皮膚、四肢、栄養、精神の4つが完全に働いて初めて得られるので、この4つは皆それぞれ密接な関係を持っております。

皮膚の健康増進には、心理的な物と、物質的な物すなわち栄養による物の2つが考えられます。いま心理的な健康法を考えてみますと、まず自分の年齢を忘れ、心配事や怒りを持たないことでしょう。

心配や怒りは知らず識らずの内に年齢以上に老衰させますし、副腎の働きを悪くしますので、皮膚がどす黒くなって参ります。心配のあまり、一夜にして黒髪が白髪に変わったという話をご存知でしょう。また不安な気持ちは直接に胃腸に悪い影響を及ぼし、それが皮膚全体に反映して、濁った暗い感じの皮膚を作ることになります。平和な心で明るい生活態度、これが健康の元であり、明るい皮膚を作る原動力です。

以上のような考え方をカナダのセリエ博士のストレス学説と申しまして、肉体のストレス(歪力または急激な耐え得ない衝撃)同様に精神ストレスを重視した学説です。

食物による健康増進法

次に栄養による皮膚の健康増進法について述べてみましょう。西医学では食養の他に日光、空気を含めて、これを栄養と呼んでいます。新しい空気と明るい日光とが皮膚の健康に役立つ事は当然ですが、今回は食物による栄養を特に述べたいと思います。

1、無機質

食塩 汗と共にたくさん失われますので、果物に付けたりして必ず補給しなければならないのです。ところがあまり摂り過ぎると腎臓を悪くし、浮腫や水疱ができます。そこで3週間に1日の塩断ち日が必要です。

硫黄 皮膚や爪を美しくする上にも絶対に必要で、皮膚病などには特に必要です。また毛髪にはなくてはならぬものです。しかし摂り過ぎると中毒を起こします。

特に硫黄を多く含んでいる食物を順に書いてみますと、小麦、馬鈴薯、綿実、黒豆、玉葱、豆類、小豆、卵白、牛肉、豚肉、小魚類、鮎(あゆ)、海老(えび)、沙魚(はぜ)、牛乳と以上のようなものです。

果汁 一般に皮膚のために良いと言われています。これはビタミンをたくさん含んでいるからです。また塩分が少なく、しかもカルシウムもカリウムもマグネシウムも相当に含んでいるから、炎症を消す作用があります。特にカルシウムは皮膚の抵抗力を高めます。

カルシウム 「カルシウムなくしては若さが保ち得ない」と言われていて、若々しさを保つ上に必要であります。

次に爪に横筋が入っているのは、回虫がいる証拠だということは既にご存知の事と思いますが、これは回虫がカルシウムを奪ったためです。爪も毛髪も皮膚の一種で、皮膚の変形なのであります。カルシウム・イオンは皮膚病の治療に用います。小魚、貝類、海苔類はカルシウムを多く含んでいるから、皮膚の健康増進に特に役立ちます。

また新しい果物は肌を美しくするし、芳しい匂いを与えますが、食べ過ぎると下痢の原因にもなりますし、却って肌が荒れますからご注意ください。

乳製品 最近酪農が盛んになって、乳製品が大量に出回るようになりました。牛乳を続けて飲むと、皮下脂肪を貯え、肌の色艶を良くします。しかし牛乳はいわゆる乳幼児が主に飲む物であって、大人が多量に摂りますと骨が硬化し、怪我をしても治り難い体質になることがありますので、適量に飲む事が大切です。牛乳が品切れの場合は、バターやサラダオイルなどで調理したものを食べると良いのです。

しかし肝臓障害者がバターや油濃い食品をあまり摂り過ぎますと、肝臓病が悪化し、皮膚がドス黒い色になります。肝臓は人体の健康を損ねる毒素を無毒にする重要な働きをしていますので、美容上にも特に大切な臓器と言えましょう。肝臓を強くするには、レバーなどを摂るのがよろしいです。

また最近脱脂粉乳がたくさん出回っていますが、この粉乳はカルシウムを多く含有している大切な食品です。牛乳と共に精々利用致しましょう。

生野菜 皮膚の根本的若返り法としては、生野菜食(新鮮な生野菜を3種類以上集め、これをよく摺って食前に食べる)が最も効果的です。

また飲料に適する清水を常に飲む事も、皮膚の若返り法にとって欠く事のできないものであります。

燐なくして知恵なし という諺があります通り、燐は細胞や骨格を作る上に、また知恵の豊かな人間になるために絶対必要なものでありまして、次の食品に多く含まれていますから、精々摂りましょう。

チーズ、卵黄、牛乳、豚肉、バター、干鰯(ほしいわし)、鯣(するめ)、干海老、身欠鰊(みがきにしん)、煮干、ごまめ、貝柱、泥鰌(どじょう)、小麦の胚芽、落花生、小麦粉製品、馬鈴薯などです。

マンガンなくして愛情なし とも言われていて、マンガンは人体の発育成長に必要なものです。また愛情のある人間になるためにも大切な要素です。貴方がもし或る人に「君のズボンのボタンが外れているよ」と注意した時、その人が「要らぬ事を言うな」と怒ったとします。その人はよっぽどマンガンが不足していると解釈して良いでしょう。

またご主人や恋人に愛情が薄れたと思われるときは、マンガンを含有した食物をどしどし(気付かれないように)食べさせることです。

マンガンを含有している主な食物は、牛肉、豚肉、鶏肉、鳥肉、骨粉、鶏卵、牛乳、小麦胚芽、チシャ、ホウレン草、オートミール、燕麦(えんばく)、落花生、大豆、小豆、小麦粉、粟、大麦、バナナ、玄米、人参、キャベツ、白菜、玉葱、馬鈴薯などです。

ヨード 身体各部の新陳代謝を活発にさせる大切な要素です。もし妊娠中にヨード分が不足しますと、胎児の発育が悪く、時として体毛の無い子が生まれることがあります。ヨード分は毛髪を黒く美しくする働きがありますから、精々摂ってください。

ヨードが多く含まれている食品は、鱈(たら)、肝油、塩鮭、バター、鰊(にしん)、鰯、海老、蛤(はまぐり)、牡蠣、若芽、荒布(あらめ)、鹿尾菜(ひじき)、昆布、梨、桃、林檎、梅干、桜桃、大麦、玉葱、蕎麦、大豆、青豌豆(あおえんどう)、小豆、トマト、茄子、胡瓜、馬鈴薯、人参、ホウレン草、キャベツ、植物性油などです。

珪素なくして忍耐力なし と言われている通り、珪素は歯を丈夫にし、毛髪と眼球に光沢を与えます。

娘さんのお見合いの日が決まりましたら、10日ぐらい前から1日置きに筍(なるべく先の方)をマッチの小箱1個位の量を食べさせますと、眼が美しくなってより魅力的になり、合格間違い無しでしょう。

しかし一層美しくなろうと思って筍を食べ過ぎますと、折角の眼が光り過ぎて相手を恐れさせる結果になります。また胃腸の悪い人が筍をたくさん食べますと、ニキビがたくさん出て却って逆効果を招く事があります。

珪素は視力を増し、顔色を良くし、性質を陽気に、楽観的にさせ、結核の予防にもなります。又これは不足しますといろいろの皮膚病に罹り易くなります。

珪素を多く含んでいる食品は、チシャ、苺、桜桃、無花果、葡萄、果物の皮、アスパラガス、キャベツ、セロリー、胡瓜、ホウレン草、大根、筍、砂糖大根などです。

その他無機質の成分、殊に鉄分のような物も必要ですから、こうした成分をできるだけ自然の食品から補給するよう心掛けねばなりません。

無機質錠剤として薬店にもいろいろと販売されていますが、新鮮な臓器肉、野菜、果物、牛乳などから摂ることが賢明です。しかしせっかく新鮮な食品を揃えても、調理の仕方を間違ったり、徒に加工し過ぎたりして大切な無機質を失っている場合がよくありますから、この点を特に注意致しましょう。

2、蛋白質

私達の皮膚はもちろん、骨格も、筋肉も、毛髪から爪に至る迄ほとんどの組織が蛋白質で構成されていますが、この蛋白質には第1級すなわち22種類のアミノ酸を含んでいる物と、第2級すなわちアミノ酸を含んでいない物とがあります。

第1級蛋白質は、卵、チーズ、牛乳、肉類に多く含まれていますが、その中でも最も良質の蛋白質は、肉では上等肉ではなくて肝腎かなめと言われている肝臓、腎臓、脳および胸腺のような臓器肉にたくさん含まれています。また大豆、片栗、麦芽、綿の実などもこれに属します。

第2級蛋白質は、大豆、ライ麦、ゼラチンなどに多く含まれています。蛋白質はProtein(プロテイン)と呼ばれ、第1に重要な物と訳されている通り、人体に大切な栄養素であります。

3、脂質と糖質

脂質はカロリー価が高く、簡単にしかも完全に消化されるものですが、消化の際に多くの酸素が必要とされています。皮下脂肪は健康上必要なもので、精神的にイライラするのを防ぐ作用を持っています。また脂肪酸はビタミンDの働きを助け、カルシウムや燐を堆積させますから、病気に対する抵抗力をつくり上げるのに大切な要素です。

もし食養による脂質が得られない場合は、往々にして皮疹が起こります。また砂糖や澱粉はカロリー度の高い食物で、早くエネルギーに変えられますから肥満症の原因になります。しかし少量の糖分(白砂糖ではなくて、果物や野菜に含まれている糖分)は脂質を燃やすのに必要ですから、適量を摂取することを心掛けることです。

4、ビタミン類

皮膚を美しくするためには、ビタミンが絶対に必要です。そこで次はビタミンについて述べてみましょう。

(1) ビタミンB複合

ビタミンB1が不足すれば脚気に罹ることも、また糠の中にB1が多量に含まれていることも御承知の通りでありまして、精白しない米、7分搗きや5分搗きの米がよいと言われる所以もここにあるのです。

ビタミンB複合の中には、26の異なったビタミンが含まれており、これらは全部小麦の芽の中にあると言われています。したがって篩わない穀物、たとえば玄米、燕麦などにそれらのビタミンが全部含まれているわけです。

この26のビタミンは身体の中で各々別々の異なった働きをしますので、ビタミンB複合を全部含む食物、たとえば麦芽、精白しない穀粒、肝臓、牛乳などを摂るのが最もよろしい訳です。また合成ビタミンを補給しようとすれば、全ビタミンB複合の合成物を摂るのがよろしいのです。ビタミンB複合は皮膚の健康を保つ上に必要なばかりでなく、血液を作るなどいろいろの働きに関係があるものです。

最後に注意しなければならない事は、自然に含まれている貴重なビタミンを、調理したり、加工する際には失わないようにすることです。

(2)ビタミンA

これは無色で、動物性食品の中だけに含まれています。我々が緑葉の葉、人参、果物その他黄色および緑色の食品を摂取せねばならないのは、肝臓が黄色素からビタミンAを合成するからです。

ビタミンAは人参よりもパセリ、菊、チシャ、またはエスカロール(丸葉のエンダイブ)などに多く含まれています。また肝油は純正ビタミンAを十分に含んでいます。冬期緑菜を食べることが少ないので濃縮した肝油カプセルを飲むのがよいと説く学者もいます。ビタミンAは発疹や痙瘡(ざそう)を起こしやすい年少者には特に効果があります。

皮膚の美しさを保つ上にも、より美しくなるためにも、緑菜、果物、乳製品および肝臓などの臓器肉をできるだけ摂らねばなりません。薬剤を服用するよりも天然の食物から必要なビタミンAを摂ることの方が最も良いのですが、これは調理によって破壊され易い(たとえば油に溶けるなど)ので十分に注意しなければなりません。

(3)ビタミンC

青少年の皮膚は緊張力があり、弾力性を持っていますが、30歳を過ぎると皮膚は緊張力を失う傾向があります。我々は外部から皮膚に働きかけることも十分必要ですが、それよりも内部から働きかけることの方がより効果的であることを知っています。

真の美しさ、生き生きとした瑞々しさは、内部から自然に現れてくる健康によってのみ得られるものであり、そのためには、絶対的にビタミンCが必要なのです。ビタミンCは皮膚のビタミン、美容のビタミン、お化粧のビタミンと呼ばれる位です。

フランスでは皮膚のしみをスカピーと言います。スカピーとは、ビタミンC不足症という意味と共に、汚らしいという意味も含まれています。現代医学でも「健康と美容にビタミンCが大切である」と言い出した事は大変喜ばしいことです。

澱粉性食品を少なくし、野菜と果物を摂るようにしたら、皮膚が弾力性を持ち、引き締まったと言われるのをよく耳にします。これはビタミンCの魔術によるものだと考えられます。以前には壊血病を防ぐビタミンだと言われていましたが、最近では健康はビタミンCの摂取によるとも言われ、皮膚の健康には絶対なくてはならないものです。ところがビタミンCぐらい摂り難くして、破壊しやすいものはありません。

以上のように皮膚を美しくするビタミンCはどんな食品に多く含まれているかと言いますと、柿の茶、蜜柑、唐辛子、浅草海苔、緑茶、番茶、ホウレン草、夏大根、小松菜、トマト、チシャ、キャベツ、胡瓜、玉葱、もやし、青豌豆、ささげ、苺、オレンジ、レモンなど新鮮な野菜と果物です。動物性の物としては牛のレバー、牛乳、鶏のキモなどに多く含まれます。

次にビタミンA、B、Cの関係を簡単に述べてみますと、壁に粗塗りと中塗りと上塗りとがありますが、苆(すさ)がなくては壁は保持されません。ビタミンは壁の苆に当たります。ビタミンCが下塗りの苆に当たり、ビタミンBが中塗の苆、ビタミンAが上塗りの苆に当たります。中塗り、上塗りに苆を幾ら入れても、下塗りに苆が無ければ安定しないと同様に、ビタミンCがなくては、ビタミンAもBも沈着しないということになります。

(4)ビタミンD

これは骨格や容貌、歯の健康のために重要なものであり、皮膚の呼吸する速度、つまり酸素を吸収する速さを増す働きもあります。

食物から摂るビタミンDの量は不足しても、日光がこれを補ってくれます。魚油にはビタミンDがたくさん含まれていますが、多くの食物は太陽光線によってそれを補われています。我々はこれを上手に利用するわけですが、これの最良の補給源は日光である為、身体は毎日2、3時間太陽に当てる必要があります。

もしお仕事の関係その他の事情で日光に直接身体を当てられない人は、寝具や寝巻を日光に晒しただけでもビタミンDを補う効果があります。北国に痀瘻病(くるびょう)が多いという原因は、痀瘻病はビタミンDの不足によるもので、北国は日光が不足するからだと考えられます。しかしせっかく太陽に晒した身体を石鹸や水であまり洗い過ぎると、ビタミンDが健康増進のために役立たなくなりますので十分注意しなければなりません。

(5)ビタミンE

これは直接には皮膚のビタミンではなく、主として生殖器官の正しい働きを司る生殖ビタミンです。妊娠を望む人はビタミンEの含まれたものを多く食べる必要があります。

特にチシャには、ビタミンEの他にマンガンも同時に含まれていますから、これを食べると、妊娠率が高いことが立証されています。また麦芽や篩わない小麦の中にも含まれております。

5、水

以上無機質、蛋白質、脂質、糖質、及びビタミン類という5つの栄養素の他に、これら全ての纏め役をする物は水であります。水の重要性は既に述べた通りでありまして、今さら重ねて論ずる必要はないとも思いますが、摂取した栄養素の運搬は元より、酸素の供給、解毒のためにも欠くことのできないものであり、また水があって初めて体内の酸素とホルモンが働くのであります。

400兆の細胞の1つ1つに水が十分行き渡って初めて皮膚の若さも輝きも出てくるものでありまして、我々は常に飲料に適する生の清水をちびちび飲む事を忘れてはなりません。

皆様はこんな言葉をご存知でしょう”水も滴るような美人”という形容詞を・・・・・・・・・・

皮膚とホルモン

ホルモンは約25種類程あり、それらは互いに微妙な関係を持っておりまして、その内の1つが異常を起こせば他の各器官まで変調を起こし、全身的な病気になる場合があります。ここでは皮膚、特に美容に関係のあるホルモンについて2、3述べてみましょう。

(1)男性ホルモン(睾丸ホルモン)

これは男性の睾丸実質から分泌されるもので、青年期の男子の尿からつくられます。これは酸やアルカリ、熱にも強いので、内服しても破壊されない物となっています。一般に老衰した男子の生活力を回復するもので、皮膚に対しても光沢を与え、白髪を黒くする働きがあります。

(2)女性ホルモン(卵巣ホルモン)

女子が青春期に入ってこのホルモンを分泌し始めると、全身にい曲線的な美しさが現れて来ます。

女性ホルモンは、卵巣ホルモンと黄体ホルモンとに分けられ、前者は真の女性ホルモンで、後者は子宮関係のホルモンです。

皮膚に関係の深いホルモンは卵巣ホルモンであって、新陳代謝を高め、血色を良くします。卵巣ホルモンは、卵巣から直接採ることが難しく、妊娠尿や妊娠馬尿からつくられます。

(3)脳下垂体ホルモン

このホルモンは次の3種から成っています。

すなわち前葉ホルモン、中間部ホルモン、後葉ホルモンです。前葉ホルモンは血管運動神経の調子を整え、発毛機能を盛んにするものであり、中間部ホルモンは色素に関係があると言われ、後葉ホルモンはあまり皮膚と関係がないようです。

(4)副腎ホルモン

これは髄質ホルモンと皮質ホルモンに分類されます。前者はアドレナリンと呼ばれ、毛細血管を収縮させることによって皮膚に作用し、特に眼の結膜の血管を収縮させて充血を取り、眼を美しくします。

後者も血管運動神経の調子を整え、皮膚色素の病的な沈着を治すのに用いられます。

(5)甲状腺ホルモン

このホルモンは体内の新陳代謝を調節し、皮膚に潤いと色艶を与えます。この分泌量が少なくなりますと皮膚がカサカサになり、肥厚し、皺が増して脱毛が多くなります。

皆様は『恋をすれば美しくなる』という言葉をお聞きになった事と思いますが、lこれは外面的な磨きがかかる以外に、このようなホルモンの分泌が盛んになるからであるとも考えられます。

この他に皮膚の健康増進法を述べますと、まず入浴することです。入浴は表面の塵埃(じんあい)や細菌を取り除き、血行を盛んにし、皮膚の栄養を高めると同時に、血液の循環を良くする目的を持っています。これには温冷浴と25分入浴法が最も優れていると言えましょう。

また空気を利用した空気浴や、日光を利用した日光浴が宣伝されていますが、裸療法こそ、その最良のもので、皮膚の健康を増すばかりでなくて、病気の治療にも利用されます。

次に皮膚の健康上忘れてはならない事は、十分な睡眠であります。睡眠と皮膚とは関係がないように考えられ勝ちですが、これこそ最も大切な事柄と言えましょう。徹夜した翌朝の顔を鏡に写してみると、生気が失われ、色艶はなくて、まるで老衰した様に見えます。

『美人は夜つくられる』と申します通り、十分な睡眠は、皮膚の健康上絶対に必要であります。

人相学の上から申しますと、目の縁が黒い人は夜盗か娼婦の相だと言われています。これはどちらも夜の仕事をするからであって、如何に夜更かしが悪いかということがお判りになられると思います。

皮膚病と栄養

次に皮膚病と栄養の関係について述べてみましょう。

(1)しらくも、はたけ、いんきん、たむし、あせも

これは発汗して水分や塩分やビタミンCを失い、これが補給を怠ったときに起こる病気でありまして、これを防止し、あるいは治癒さすには生野菜や生水を飲み、食塩やビタミンCを摂ることです。また皮膚には葉緑素、柿の葉茶、ミルクオリーブを塗るとよろしいです。

(2)しっしん、みずむし

この原因は糖尿病体質の人に多く、砂糖や甘藷の食べ過ぎからですから、それらを控えてせいぜい生野菜、生水を摂ることです。

また皮膚には胡麻油かオリーブ油を付け、かさぶたが乾いてから丁寧に取り除き、細かい粟粉(ぞくふん)を振り掛けておくと良いです。

(3)にきび

生野菜食、生水の飲用を励行すると同時に、ミルマグ(緩下剤)で便通を付け、皮膚には葉緑素、ミルマグ、柿の葉茶を塗るとよろしいです。

(4)よう、めんちょう

栄養過剰、糖尿病体質の人にできる腫物で、砂糖の過剰か生野菜の不足が主な原因とされています。

(5)ろうそう(皮膚結核)

食塩過剰とビタミンC欠乏の人に主として起こるもので、生水とビタミンCを補給し、生野菜を十分摂らねばなりません。皮膚には葉緑素か、柿の葉茶かオリーブ油を塗ると良いです。

(6)かいせん(ひぜん)

糖尿病体質で、ビタミンCの欠乏と便秘が原因です。生水や生野菜が不足していますから、それらを十分摂らなけらばなりません。

(7)ひょうそ

栄養過剰の糖尿病体質が原因です。生野菜食、生水、ビタミンCを摂ることが大切です。

(8)あざ、ほやけ(しみ)

温冷浴、生野菜食、生水、ビタミンC補給(柿の葉茶による物)が必要です。

(9)しもやけ

生野菜、生水が不足しているのですから、これを十分補ってください。

概論的に申しますと、アルカリ性食品は全身を爽快にし、荒れ易く、吹き出物の出易い皮膚の人には効果があり、皮膚の働きを高めます。また皮膚を健康にする上に硫黄分は絶対に必要で、皮膚は硫黄を燃やしている現象と言えましょう。

そこで栄養的にも硫黄の補給をすると共に、硫黄泉に入浴して外から補う事もよろしいです。しかしこうした種類の温泉にあまり長く浸っていると筋肉や皮膚が弛み(たるみ)、アルカリ過剰の人には却って悪い結果となりますので、注意が必要です。

以上で皮膚と栄養についての説は終わりました。いつ迄も生き生きとした玉の肌を保ちたいのは誰しも願う所でありますが、平常安逸を貪り、好きな物を食べ、我ままな気持ちでいてそんな事を望むなどもっての外で、それほど甘い話は世の中にそう転がっているものではありません。

色彩と健康

次に健康法上見逃すことのできない物に、色彩学があります。食物の色を調節することがその人の健康、不健康に直接関係があり、服装や調度品の好みの色によってその人の性質が判ると言いますれば、あるいは不思議に思われるかも知れませんが、事実色彩の人体に影響する所は至って大なる物があります。

したがってどんな顔色の人にはどんな食事がよいとか、何病にはこうした食物が適すると研究するのを色彩栄養学と言い、衣服の色と性質、時刻と色彩の関係などを研究することを色彩学と言います。

まず最初に顔色や皮膚の色と病気の関係、服装など好みの色と性質の関係について述べてみましょう。

大別しますと

1、赤、橙、黄は熱性的光線で、情熱的表現色

2、紫、藍、青は冷性的光線で、鎮静的表現色

であります。

赤色は活気、活力、意志、情熱、権力、勝利、喜悦などの現れであって、この色を好む人は温かく感じますが、心臓病の人が多いようです。

赤色を好むお嬢さんはお転婆が多いと言われていますが、子供の頃に赤い色を好む児は発育旺盛の証拠です。

したがって幼い頃を赤色ずくめの服装で育てると、その児は元気で成長します。

深紅色は赫怒(かくど)、激烈を表します。最近飲食店などの壁が深紅色に塗られているのを見かけますが、こんな店では客同士が喧嘩したり、客がそわそわして落ち着かない状態がよく見られます。その代わりどしどし酒の注文をしてくれます。

朱色は獣的な愛情を表します。

黄色は向上心、快活、明朗、明快を表していますが、この色は肝臓疾患に当てはまります。また赤色と同様に興奮性を表します。

橙色は喜悦の現れであって、知識の沸いたときの喜びを意味します。ところが、橙色の皮膚をしている人は、胆嚢障害や胆石病を注意することが肝要です。

緑色は嫉妬を表します。人間の皮膚が緑色になると脾臓に障害がある証拠で、この場合は眼の艶を失います。

また脾臓に障害があるとよく嫉妬心を起こし、チフスや疫痢などの伝染性疾患にも冒され易くなります。したがって緑色の食物を与えると、ヒステリーが治る場合があります。嫉妬することはコンガリと程々にした方がお互いの幸福であります。

青色または黄色は、後悔、悔恨、失望、失意など悲観的な状態を表し、こうした皮膚の色をしている人には消化器疾患が多く、感情的には後悔や失望に陥る場合がよくあります。楽観主義の人に胃病が少ないのも、こうした現象によるものであります。

紫色は温厚、優雅、従順を表しますが、健康上には往々血管の障害を起こす場合があります。紫色を好むお嬢さんは比較的気が小さく、内気な人が多いようです。

黒色は憎悪、怨恨、悲哀、恐怖などを表し、健康上には腎臓や副腎障害の人が多くあります。

しかし黒色は体温の保持に一番理想的な色ですから、夏季を除いては服装もせいぜい黒色に近い布地が保温に適しています。

一例を挙げますれば、洋服の場合は黒と白の中間色である鼠色が夏服に適し、その他の季節は黒系統を着れば健康上の色彩に合致したことになり、少々粗食しても栄養不良にならぬという特質があります。

灰色は謙遜、恐怖を表します。

白色は清浄、潔白を表しますが、白色の皮膚をしている人は呼吸器疾患の人が多くあります。

桜色は穏健、優雅を表し、健康体の表現であります。

以上述べました通り色素と人体は密接な関係があり、一度疾病に冒されるとそれぞれ代表的な色彩が皮膚に現れます。

これは、その色素が体内に欠乏し、あるいは不足していることを表現しているのでありますから、この不足し、欠乏している色素を食物で補給すると同時に、光線や被服で補う事に努めますればだんだん健康色に回復してきます。

色彩と食物

呼吸器疾患の人、特に肺病の人は白い食物、たとえば白身の魚、白ゴマの類を、腎臓の悪い人は黒い食物、たとえば牛蒡(ごぼう)、蓮根(れんこん)、黒豆などを摂ることに努め、黒い物がない場合は黒く焦がしたものをせいぜい食べることです。よく黒焼の妙薬と聞きますのも、これを言った物であります。

ところがせっかく病状に適した食物を摂ることに努めましても、この栄養を十分に働かせる方法を怠っては効果が見られませんので、風浴、温冷浴、薄着の励行を併せてお勧め致します。

また肝臓疾患は黄色の食物を摂りましょう。たとえば黄蜆貝(きしじみがい)など適量に摂ることです。同じゴマにしても黒ゴマは腎臓、白ゴマは肺、茶ゴマは心臓に良いとされています。

消化器が悪くて青い顔をしている人は青野菜が必要で、心臓の弱い人はニンジンなど赤茶色の食物が適するわけです。

次に太陽の光線分解を日本の5月、6月の1日中の時刻に充てると、次のようになります。

日の出の光線=紫外線

午後6時~7時=

7時~8時=(すみれ)

8時~9時=

9時~10時=

10時~11時=

11時~正午=(ふかみどり)

正午~午後1時=

1時~2時=

2時~3時=

3時~4時=

4時~5時=

5時~6時=

日没の光線=赤外線

太陽光線を色分けしますと、紫、藍、青、緑、橙、赤の6つの原色があるのですが、この原色は回転が速ければ白く見え、回転が遅い場合は灰色に見えるもので、また紫、藍、青を重ねるか、あるいは黄、橙、赤を重ねてこれを回転さすと黒色になりますので、白と言い、灰色というのも結局は黒色であって、つまり太陽光線の全体が白であり、黒であり、さらにその中間色の灰色であるわけです。

菫色と黄色・藍色と青色と黄色・紫藍色と橙色・赤色と緑色のいずれを混合しても白色となるわけですから、これらの色の食物を取り合わせて摂ることも必要です。例えて申しますれば、昼食にマグロの刺身(赤色)を食べたとしますと、その前後に緑色か青色の野菜を食べると白色となって良い訳です。

なお前に述べました光線分解から見ますと、畑の野菜を採るのもナスのような色の濃いものは朝がよく、青野菜は昼が適するわけであります。

次に重病人、または危篤の病人の病室は、カーテンや色電球、あるいはカバー等で時間に合った色に分けるのも大切な療法であって、別の方法としては病室の窓か壁穴に色ガラスをはめ、太陽の光線を反射させる方法もあります。食事の場合でも昼食は緑色、夕食は桃色の反射をおこなうと効果があります。これを色帯浴と言います。

色彩と服装

次に色彩と服装の関係について述べてみましょう。まず健康を保持する上に必要な色彩の基礎的配合を人体の各部に分けますと

頭部は藍色です。そこで昔から頭巾や手拭は藍色を多く用います。

帽子もなるべく藍色に近い色がよいとされています。

顔面は青色です。顔面の日除けに青色が用いられるのもこの意味です。

咽喉部は空色です。襟元から両腕の上半面まではこれに属していますから、肩掛けやマフラーは空色のものが健康保持の上に適当です。

胸部は碧色(ふかみどりいろ)です。両腕の下半分はこれに属します。

胸壁は緑色です。したがって半カッパなどは緑色が適当です。

腿部は橙色です。

下腹部は赤色です。赤褌を使えば元気がよくなるというのもこの原理によるものです。

股部は緋色です。この部分の精系静脈病に陥ると精力が減退します。そこで若返り法の1つとして目の覚めるような緋色の褌を締めるか、同色の猿股を履くと効果があります。

婦人の和装に欠かせない腰巻も、普通は妙齢時に赤い色の腰巻をしていますが、年増になると桜色になり、さらに老齢になると白色になります。これなども一考の余地があると思います。

下腿上部は紫色です。したがって脚絆の類はよく紫色の布地でつくられています。芝居などで見かけますが、旅の女が紫色の脚絆に身を固めている姿はなかなか粋なものでありますが、健康上にも理想的です。

足部は藍色に属していますので、足袋や靴下は紺色が理想とされています。

以上述べましたのが、健康保持の上に重要な役目を果たしている色彩の基礎的配合でありまして、前にも述べました通り、帽子は赤色や紫色のような藍に縁のない色よりも、紺色が健康保持の上にも役立ち、マフラーや婦人の洋服の襟は空色系統が適し、腹巻(健康上適切ではありませんが……)がもし必要の場合は黄色がよろしく、褌やズロースは赤色系統が一番適切であることになります。

アメリカ品のズロースは薄桃色が多いそうですが、これは精力増進に大いに役立ちます。日本の若い婦人はよく黒色のズロースを用いますが、これは色彩学上の問題だけでなくて不潔さを伴いますので、せめて薄い桃色ぐらいにされることを望みます。

最後に申し上げたいことは、食物に色彩栄養学的に常時配合することはなかなか至難な問題でありますので、せめて月に1回ぐらいは五目飯デーを決めて、いろいろの色彩を一度に摂ることを励行したいものであります。

なお生野菜食を実行する場合、各種の野菜を取り入れます。このことは他にもいろいろ理由がありますが、色彩栄養学もその1つであることを特に申し添えておきます。

色彩療法を実行される場合、宿便が多いと効果が少ないので、宿便の排除を忘れないようにしてください。

脊柱と健康について

皮膚と健康についてのお話が一通り終わりましたので、次に脊柱と健康の関係について述べてみたいと思います。

健康の4大元基とは、

1、脊柱は正しいか?

2、左右の神経は揃っているか?

3、血液の循環はよいか?

4、体液は酸性とアルカリ性が平衡しているか?

の4原則でありまして、その第1にあげました「脊柱は正しいか?」が問題であります。

ここで人体の各部分を家に例えて申しますと、皮膚が外壁に相当するならば両脚は基礎に当たり、脊柱は柱に相当し、身体の各骨は梁に当たり、筋肉は襖や戸、障子に相当し、血液はその家に住む家族、神経は電気、ガス、水道に当たり、精神は昔で申します戸主、すなわち世帯主に相当するのではないでしょうか?

これは少々こじつけの嫌いもありますが、家の柱が傾けば壁が落ち、戸、障子は動かなくなります。これでその家が老朽していることは一目瞭然で、人間でも腰や背が曲がった人は健康者が少ないのも、こうした原理によるものであります。

脊柱の曲がり方には、前後の曲がりと左右の曲がり(側弯)があり、その他に素人目にはまっすぐ見えても、個々の骨が曲がっている人(副脱臼または亜脱臼という)があります。

私達の脊椎は一見して1本のごとく思えますが、実は33個の骨が軟骨と靱帯によって繋がっていて、前後左右、または右旋回、左旋回ができる仕組みになっています。

この33個の骨は、上から数えて頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾閭骨(びりょこつ)4個がありまして、後頭部と第1頸椎との間では、顔や頭を俯せたり仰向いたり、つまり俯仰運動ができるように、また第1頸椎と第2頸椎の間では、頭を右に回したり、左に回したり、つまり旋回運動ができるようになっていますので、この2つの椎骨を回転椎骨と言い、第3頸椎以下腰椎までの椎骨を屈伸椎骨と名付けています。

頭を前に倒すと首と肩の境に高く飛び出ている骨があります。これが頸椎7番です。もし2個飛び出ている人がありますれば、その人は咽喉か甲状腺が悪い人で、上の骨は頸椎6番ですから、頭を起こすと引っ込むはずです。肩甲骨の下の端を結んだのが胸椎7番で、鳩尾の真後ろが胸椎6番、肩先と腸骨の外線とを連結するのが胸椎11番、臍の真後ろが腰椎3番で、腸骨の頂点を水平に結んだ所が、腰椎の4番となります。詳しいことは46ページの図解をご参照くださいますればよくわかると思います。

この33個の各骨に椎間孔という孔(あな)が出ていて、この孔から左右に2本ずつ神経が出ていますが、その前側の神経を前根と言って、これが運動神経であります。また後側の神経を後根と言って、これは知覚神経です。これらの骨の間の神経は、それぞれ関係のある内臓や手足に連なっています。それはあたかも電燈ととスイッチの関係と同様です。

33個の骨が左右に、または前後に、あるいは右回り又は左回り副脱臼すれば、骨と骨との重なりによってできた神経の孔が原型を失い、その結果神経を圧迫します。つまり骨の副脱臼の程度によって、神経は90%、70%、あるいは50%、30%しか働かないわけです。

これではこの部分の疾患を治療する目的で浴びるほど服薬しても、なかなか効果がありません。この骨の副脱臼と体の器官との関係、内臓との関係の一例を挙げて申しますと、

頭=頸椎1~4 胸椎6~10

眼=頸椎1~4 胸椎5~10 腰椎1~2

鼻=頸椎1~4 胸椎4~5~10

でありまして、代表の背骨と病気との関係を簡単に書きますと、

心臓=胸椎2

肺=胸椎3

肝臓=胸椎4

胃=胸椎5~7 (幽門と言って胃の出口、つまり十二指腸との境)は、胸椎5

扁桃腺=頸椎と胸椎5

喉頭と舌=頸椎と胸椎5

歯と口=頸椎3~4と胸椎5

甲状腺=頸椎6と胸椎5~6

気管支=胸椎1または2

膵臓=胸椎8~9

脾臓=胸椎6または9

腎臓=胸椎10

副腎=胸椎9

小腸=胸椎11または12

大腸=腰椎1または2

虫垂炎(盲腸)=腰椎2の右側

卵巣=腰椎3

睾丸=腰椎3

子宮=腰椎4

膣=腰椎4

陰茎=腰椎2および4

以上のよういなります。これはアー・ルブラン博士の脊柱による診断表でありまして、この表をよく参照しますと、どの骨が副脱臼すればどんな病気になるということがよくわかり、換言しますれば、これらの骨の副脱臼を治すことによって、病気が早く治るわけであります。

次に各骨の歪みが皮膚に現れることについて述べてみましょう。これを発見したのはヘッドという人でして、今日世界中の人がヘッド氏脊髄神経通過過敏帯として珍重しています。しかしそれほどに珍重されているヘッドの過敏帯も、我々には正確にキャッチすることができないのが遺憾です。

ところが最近この過敏帯を電気によってキャッチし、しかも病気の軽重さえわかるという嘘発見器ならぬ病気発見器という新しい医療器具が、京都の立石電機の研究所で完成しました。これは高木正夫博士が長年苦心された結果完成したもので、その試作品第1号が私の手許に届けられました。

この医療器は「皮電計」と言って、交流電気で目盛りを合わせますと直流電気で病気の程度が表示されるようになっていて、四季を通じて正しく示してくれる器械であります。

型もやさしく携帯に便利ですから、いずれ皆様の家庭でもホームドクターとして親しまれることでしょう。

次に前述の脊柱と病気の関係について簡単に書いてみましょう。まず胸椎3番が、その上下の骨より出っ張っている人は呼吸器が弱く、反対に胸椎3番が凹んでいる人は肺に空洞のある人が多いようです。

胸椎5番が飛び出ている人は幽門(胃の出口)の運動神経が圧迫されている証拠で、胃酸過多症から胃潰瘍、胃ガンと発展することがあります。また腰椎2番の右側が圧迫されると虫垂炎(盲腸炎)に罹り、左側が圧迫されると性的不能者になる恐れがあります。

さて人間の脊柱はなぜ歪曲したり、狂ったりするのでしょうか?元来人間の脊柱は、手と足の4本で歩行する為の梁の役目をしたらしいのです。それが2本の足のみで歩行するようになりましたので、重い頭を乗せることになりました。これは力学的に脊柱に極度の負担がかかりますので、全体に無理を生ずる結果になります。しかし一面人間が直立することによって頭脳が心臓より高くなりましたので、総体的に知能が優れ、万物の霊長としてあらゆる動物の上に君臨できるようになったとも言われています。

よく人並み優れた人を麒麟児と言いますが、肝心のキリンは首が長くて頭脳も優れているように見えながら、エサを拾う時に頭が心臓より下がるので頭脳の働きは案外鈍く、寧ろ人間に近い猿の方が知能は優れています。小知恵の働く人間を猿知恵の人と言いますのも、こうした意味から言われているのではないでしょうか?

脊柱の曲がる条件

私達は社会人として働いています。サラリーマンは一日中机に向かって事務を執り、学生は背中を曲げて勉強しています。農家の方々は朝早くから鍬を振るい、鎌を使って労働し、重い荷を担いで山坂を上下します。大工や左官は、一日中無理な姿勢で家屋の建築をしています。

婦人は腰を曲げて炊事の用意から洗濯物に没頭し、あまつさえ無理な姿勢でお裁縫やら編み物をしています。会社の受付嬢は絶えず右側か左側に上半身を曲げて来客に応接し、家庭に帰るとやれやれと言って横座りになります。

これが生活に追われる人間社会の世相の一端でありますことは、否めない事実であります。何人も体を曲げないで、仕事をすることはまず不可能と言ってよいでしょう。交差路の真ん中で交通整理に当たっているお巡りさんを御覧なさい。一見して正しい姿勢のようですが、なかなかそうではありません。お巡りさんは腰から上を右に左に頻繁に動かしている重労働者です。

壁を塗る左官さんの姿勢も、高い箇所を塗る場合は正しい姿勢ですが、右隅に左隅に鏝(こて)を運ぶ場合、または壁土を受け取る場合の姿勢は、無理に腰を曲げ、体を捻じています。身体を左右に曲げることが悪いというのではありませんが、不自然の連続、不均衡の重複が脊柱の正常を妨げ、軟骨や靱帯が硬直して背骨を後方に狂わします。

こうした状態の中で格別の方法も講ぜず、ただ疲労したからとか、体の調子が悪いとか言って軟らかい厚い敷布団の上に曲がった骨を大切に?横たえ、その裡に1枚の布団では物足らないと言っては、2枚も3枚も布団を重ねて休養する人があります。

最近ロマンス布団とか言ってマットレスが流行し、またスプリング入りの寝台が世にもてはやされるようになりましたが、事ここに至りましては背骨を狂わせることに拍車をかけるようなものです。ロマンス布団に寝る人こそ、ロマンスを忘れた体になることを忘れてはいけません。

私の少年時代に、近所の布団屋さんが「人生わずか50年、25年は寝て暮らす。……寝具のご相談は○○布団店へ!」と看板を出して、綿の多い布団をどんどん売り出したことを覚えています。当時は実に上手く宣伝したものであると感心したのですが、現在考えてみて、この宣伝文句が如何にたくさんの人の背骨を狂わせたことであろうかを思うと、全く寒心に堪えません。──と言って私は別に布団屋さんに何の意趣遺恨もないのですが、健康法上まことに不合理なことであると遺憾に思っている次第です。

我々は自分の体重を利用して、夜寝るとき脊柱の前後の狂いを治さねばなりません。生存競争の激しい今日、短時間にしかも就寝時を利用して有効に疲労を回復し、明日の活動への全力を蓄えねばなりません。それにはどんな敷物を利用するのがよいでしょうか?次にこれを説明したいと思いますが、その前に順序として「職業病とスポーツ病」について申し述べたいと思います。

職業病とスポーツ病

最近「脊柱と健康の関係」について発表していますので、今月からこの問題に関連している私達の職業と、これに伴う体育が健康保持の上に如何に影響しているかを述べて、皆様の御参考に資したいと思います。

まず職業病について例を挙げて申しますれば、タイピスト嬢や製図工などは胸椎の1、2、3、5、6、11、12番に故障を起こし、呼吸器病、胃病、子宮病などに罹り易いとされています。

また靴の手縫工などは、胸椎10番の副脱臼により、力学的にさらに他の胸椎にも影響を及ぼし、腎臓炎、心臓病、肺結核などを起こし易く、筆耕など文筆に生きる人は頸椎5、6番および腰椎の全部に異常を生じ、書痙やリウマチになり易く、商店の従業員は腰椎の故障から坐骨神経痛などに罹る率が多いとされています。

さらにスポーツの方面からこれを申しますと、元来スポーツそのものが体育を目的としているものでありながら、一般に頸椎や胸椎の故障から呼吸器疾患になり易く、中でもゴルフは胸椎10番の副脱臼によって腎臓病に罹り易く、野球は頸椎や胸椎の故障から関節炎を招き、乗馬は胸椎および腰椎の故障から精力が減退し、腎臓病や痔疾などに罹り易いとされています。

仕事の上で、あるいはスポーツで頸椎1、2、5、6番、胸椎5、8番が副脱臼したとしますと、上皮小体に機能障害を来し、テタニーという病気になって、手や指の関節の屈筋に痙攣を起こす結果となります。

また頸椎5、6番と胸椎5番の故障から甲状腺の障害を生じますと、バセドー氏病や精力減退を来す恐れがあります。

仕事の都合で上体を常に右に捻る姿勢の連続は、腰椎2番の右の神経を麻痺させ、虫垂炎(盲腸炎)に罹り易くなり、反対に上体を常に左へ捻る姿勢の連続は腰椎2番の左側の神経を麻痺させ、性的不能症になり易いのです。

仕事の性質上座ってばかりいる婦人が、常に同じ側に臀部を落として捩り膝をしていると子宮偏屈になり、また腰椎を後方に曲げている人は子宮後屈になり易いのです。

また胸椎の4、6、7、8、9、10番に副脱臼を起こしますと、肝臓や膵臓に機能障害を来し、糖尿病になる恐れがあります。

姿勢以外で脊柱の狂う条件

では姿勢だけが脊柱を狂わすのかと申しますと、そうばかりではありません。一例を挙げますと、熱いお湯に長時間入浴したり、あるいは暖房装置の利いた部屋に長時間いたり、必要以上の厚着をしたりして不自然な暖気を取っていると、身体が麻痺して胸椎4、5、8、10番を狂わせ、やがては肝臓病になる恐れがあります。

昔から「怒りは肝を破る」と言われています通り、腹を立てたり、物を苦にすることによって肝臓を悪くすることもあります。また脂肪分の多い食物を食べ過ぎたり、お酒の飲み過ぎや糖分の摂り過ぎ、農薬の無防備使用、薬品の服み過ぎなどのため前期の脊柱を狂わせ、やがては肝臓病になることもあります。

食事の例を挙げましても、必要以上に大食したり、時に必要以下に減食したりして平衡を破りますと、胸椎5、6、7番を狂わせて胃腸障害を起こします。塩分の摂取が多過ぎて胸椎を狂わせ、やがて腎臓病になることもあり、愛情過剰のため腰椎の副脱臼を起こし、性的不能者になることもあり、心痛や立腹が過ぎた結果頸椎7番、胸椎2、3、4、10番を狂わせ、脳溢血になる場合もあります。

最近投資ブームで賑わっていますが、ほんの小遣い稼ぎや趣味の程度で株を売買する人は別として、全財産、全生活をかけてこれに没入し、株価の上昇、下落に一喜一憂する人は、胸椎4番から10番までが副脱臼して胃潰瘍や糖尿病に罹り易いとされています。

たとえ株式投資に没頭せずとも、職業上、あるいは家庭生活の上で絶えず心を動揺させ、不安の連続に慄く人も同様で、世相がますます複雑になるに比例して、こうした現象は一層増大する傾向が見えて参りました。

また日常生活の上に物事を絶えず苦にしたり、あるいは悲観の連続で暗い生活に終始する人があります。こうした人は胸椎9番が副脱臼している人で、他人から見ると外見は至って幸福そうに見えて、その実不幸な、不健康な人が多いとされています。胸椎9番は副腎と膵臓と胆嚢の関係神経ですので、これらの障害は早期に除くよう努めねばなりません。

しかし世間では往々目的した地位や財宝の蓄積には成功しても、その目的達成と同時に重病に倒れるという悲惨な事実があり、さらに不幸なことは目的達成の半ばで病魔に侵され、遂には再起不能の悪運に喘ぐ人の如何に多いことでしょう。

平床の効果と利用方法

先号にも述べましたように、物事を悲観的に考える人は、胸椎9番の副脱臼した人です。他人から見ると実に羨ましいほどの生活をしている人でも、その内容に至りましては、悲しいとか苦しいとか人一倍多く感じる方があります。これは胸椎9番の副脱臼による罪です。

胸椎9番は副腎と膵臓と胆嚢の関係神経でありまして、これはほとんど足首の不正から来ています。一番多いのは脚の両方が不揃いであったり、力学的に不正があったりした場合に、二次的に脊柱が狂うことです。したがって両手両足が揃い、硬軟よろしきを得て力学的に不正がないならば、少々の心配や過食や長湯や腹立ちで脊柱は狂いません。また両手、両腰が前記のごとく正しいときには、過食も過飲も、心配も寒がりも、腹立ちも起きないものです。

「脊柱正しからざれば夭折す」とも言われています。事実脊柱の副脱臼が健康上いかに恐ろしいものであるかは、これ迄の蛇足の文章であらましおわかりになったことと思います。

それではこの脊柱の狂いを大別しますと

1、前後に副脱臼している。

1、左右に副脱臼している。

1、左右にいづれか旋回している。

の大体3つに分けられます。

それではその副脱臼を、日常生活を通じて如何にして防止するかと申しますと、第1に就寝のとき敷布団やマットレスをやめて、なるべく平らで固い平床を用いることです。

平床の材料は、ベニヤ板か桐材の板かあるいは圧搾されたマルク板を用い、その板の上にシーツを1枚敷いて休みます。時代の逆行だとお驚きの方があるかもしれませんが、まあ最後までお読みください。ベニヤ板は三分板、あるいは四分以上のものを用い、一枚板の場合は、一寸以上の厚さが必要です。

それでは畳の上に直接寝てもよいのかと言いますと、畳は体温を吸収しますので悪い結果を生じます。腹が張ったり、体がだるくなった時この平床の上に休みますと、自分の体重で前後の狂いが次第に治され、特に肝臓や腎臓の働きがよくなって、翌朝目が覚めた時とてもすっきりとしていて、大変気持ちのよいものです。

「板の上に寝たら痛(板)かろう」と仰る方があるかもしれません。事実脊柱が前後に副脱臼している人ほど痛みを感じます。その副脱臼を治す為の痛みですから、なるべく辛抱することです。もし痛むために寝苦しいような場合は、最初毛布を2枚ほど敷いてしばらく休み、慣れたら1枚にし、最後はシーツだけにしてください。慣れるにしたがってこれほど気持ちのよい寝床はありません。特にこれから暑くなりますから、厚い敷布団に汗まみれで寝ている人は実にお気の毒です。平床を利用すると子供さんの汗疹が少なくなり、赤ちゃんは後頭部の格好がよくなります。私達は重い頭のために一日中脊柱を圧迫されていますので、1日のうちで5時間以上の仰臥または横臥を必要とします。1日に7時間休養して疲れの取れる人は、平床に寝れば6時間の就寝でより以上の休養となります。

或る大学の運動選手は、試合前の10日間を平床で寝ると聞きます。平床で寝たときの試合成績は良好だそうです。また腎臓で身体が浮腫み、小便の出の悪い人がこの平床に替えると、排尿がよくなって、浮腫みが少なくなります。肝臓が悪い場合、厚い敷布団の上で肝臓を下にして寝るといけません。ところが、平床に寝るときは肝臓を下にしても害がないのです。

次に、寝姿から病気を判断してみましょう。常に右を下にして寝る方が楽だという方は、右の腎臓が弱いか、膀胱の右寄りが悪いか、左の肺が弱い人で、反対に左を下にして寝ると寝られるが右を下にしては寝られないという人は、左の腎臓が悪いか、膀胱の左側が悪いか、右の肺の悪い人です。

私達が立って歩行する時の背骨は、背で少し後方に、腰で少し前方に湾曲していて、歩く刺激が直接脳に影響しないようになっています。ところが仰臥したら湾曲することなく、ピッタリと一直線に沿うのが健康体です。そうありたいものですが、大部分の人は腰椎が岩国の錦帯橋に近い程に反り返り、甚だしいのは拳固が自由に出入りする程に空間があります。これは腰椎間の軟骨が硬化し、腸や脚へ通うている神経が麻痺していることが容易に窺えます。この麻痺し、硬直した腰椎間の軟骨も、各種の療法と、この平床の利用で一直線に密着させることができるようになります。

硬枕の効果

この平床は書いて字のごとく平らかな板で作った寝床ことで、これに用います板は前にも申しましたように、なるべく硬質の板がよいとされています。ところでこの平床を使用致しますには、まずこれ迄の習慣を徐々に改めてゆかねばなりません。

現在ロマンス布団やエバーソフトに寝ていた人は、一応敷布団に逆戻りし、2枚の敷布団に寝ていた人は1枚にして、次第に慣れてから平床にします。また平床に寝ても、枕があまり高くては効果がありませんので、次は枕について述べてみましょう。

「安心高枕」などと言って、高い枕を好く人がありますが、高い枕は首が曲がるので、健康保持の上にもよくないのです。昔から「首の曲がっている人は夭折する」と言われています。よく大の字に寝ると言いますが、これとても首が曲がれば大が夭になります。

夭という字は辞書によりますと「かがむ」とか「わかじに」などと解説されています。すなわち夭は屈むで、首を屈めることを意味しています。それが瞬間的に屈むのは多く挨拶をする場合などで問題ではありませんが、長時間屈むことは若死にの原因となります。常に首を曲げている人は、往々若死にの運命にある人と言ってよいでしょう。なぜならば、首を曲げている人は頸椎に故障を持っている人で、咽喉が悪い人が多いのです。こういう人は風邪が引き易くなり、よく咳が出ます。また血圧が高くなったり、反対に低くなったりして異常が多く、一方腸の弱い人をよく見受けます。

エリオット・スミスという人はエジプトのミイラを研究して有名になった人ですが、この人の研究結果によりますと、ミイラの中で大病で死んだと想像される人の頸椎はみんな曲がっていると発表しています。また警視庁で殺人や強盗などをした悪人を調査しますと、彼らは上体ことに首の曲がった人が多いことが発見されたと言います。

インドの聖者であった故ガンジーの言によりますと「自分の部下を選ぶ場合第一に注意すべき点は、その人の首である。首が曲がっている人は往々野心を起こしたり、相手方と結託してこちらの秘事を漏らしたり、あるいはこちらの地位をひっくり返すような悪いたくらみを持つ人が多い。諸氏も相手の首に注意せよ」と言っています。したがって彼は自分の部下を選ぶのには、常に首の形の整っている者を選んだと言います。

首が曲がってくると徳分を失い、つまらぬ迷信に迷わされて自分で自分を苦しめ、遂にはこの世の地獄だとか苦の世界だとか言って厭世的に考えるようになり、他人を見ても欠点ばかりが目につく困った人になります。

首が曲がるのにはいろいろの原因がありますが、これには乳児期に早くから無理に歩かせたことが原因している場合があります。でありますから幼児時代にはなるべく長い間四つん這いに這わすのがよいのです。「這えば立て、立てば歩めの親心」とよく言いますが、これとても検討してしかるべきです。

また便秘すると、力学的に姿勢が崩れて首が曲がり易くなります。喘息の人は、往々首が前の方に突き出ている感じがします。フランスの英雄ナポレオンは、セントヘレナ島で一生を終わりました。彼は胃癌で死亡したのです。上背を曲げたあの姿勢を、ナポレオン姿勢などと言って一部の人が賞讃しますが、あれは胃癌に罹り易い悪い姿勢です。

どんな枕を選ぶがよいか

それではどんな枕を選べばよいかと申しますと、枕の大きさは本人の薬指の長さを半径とした寸法で、丸太を半分にしたようなものが適当です。丸太を半分にすると、底辺は小指側の3本を曲げて親指と人差指を広げた長さになります。これを図のごとく、真ん中辺である頸椎4番を中心に当てて寝ます。

図をよくご覧ください。この枕を使用致しますと、頸椎の副脱臼が治ります。したがって耳、目、鼻、歯、咽喉の病気を未然に防ぎ、またこうした箇所の病気が早く治ります。この枕をしただけで、肩が凝らなくなったとか、歯が痛まなくなったとか喜ばれる人がたくさんあります。

初めて使用される人の中には、頸椎が副脱臼しているために痛かったり首の辺りが痺れたりする人がありますが、これが普通であります。副脱臼の大きい人ほど痛みが甚だしいもので、逆に言えばこんな人こそこの硬枕の必要な人です。

最初は日本手拭のような布切れを2枚ぐらい枕の上に乗せて使用し、少し慣れるとその布を1枚とし、次にこの1枚を取り除いて、直接頸部に当ててください。慣れるにしたがって心地よく寝られるようになります。また時間も最初は10分か20分ぐらい利用してよく慣らし、次第に時間を伸ばして、就寝中常用するようにします。慣れるとこんなに気持ちのよい枕はありません。

この硬枕は、ある意味では自分の健康診断ともなります。硬枕を利用して痛さを感じる人は、腸内に無用の古便が滞留している証拠です。又どこかに故障のある人です。そして又その痛さに堪えて硬枕に慣れることは、その故障を治す方法でもあります。この枕は最初は桐の板で作ったものが首当たりがよろしく、大きさは大、中、小の3種の寸法に分けて市販されていますから、自分に適当な大きさをお選びください。

頭寒足熱の理

昔から健康の標語として「頭寒足熱」という語があります。頭は冷たくしておき、足は常に温かくしておくことが健康法の一法でありますが、この意味から言っても木枕は該当します。

首筋を強く締めると、止血して死んでしまいます。ところがポプキンの法則のごとく、木枕を使用すると自分の頭の重みによって頭にゆく血管が適当に圧迫されるのですから、頭にゆく血液の循環が非常によくなります。

頭脳の弱い人のことをよく、「頭の血の巡りの悪い人」と言いますが、どうか1日も早くこの木枕によって頭の血の巡りのよい人になってください。

たくさんの人の首に触ってみると判ることですが、大病をする人、頭の悪い人は首筋が固く、かちかちになっています。ところがこうした人が木枕をすると、首筋が軟らかくなります。世間ではよく、肩が凝るとか言いますが、実はこの肩の神経も歯の神経も頸椎の3番、4番から出ているもので、その原因は頸椎が副脱臼しているからです。したがってこれを治すと、両方の障害が治ります。

頸椎や胸椎などに副脱臼が起きますと、肺の拡張や収縮がアンバランスであったり、心臓の収縮拡張が不十分であったり、胃の働きが鈍ったり、あるいは亢進し過ぎたりするのは前々から述べています通りですが、平床と木枕を使用しますと、これが程よく調節されます。軽い胃病などは、この療法だけでも治ります。

幾ら甘い物が好きな人でも、一年中汁粉や餅菓子ばかりは食べられないでしょう。味の薄いご飯なればこそ、何年も何十年も続けられるのです。これと同様に、冬の寒いときに寝床に入って、さっそくこれは温かいと感じる程に保温してあるのは、一晩中7時間も8時間も寝るのには適しないのです。寝床に入って10分間ぐらいはちょっと冷たいと感じても、寝ている間に自分の体温で温める寝床こそ、健康上望ましいものです。

生存競争の激しい今日です。せめて寝ている間にでも十分五体を休養させましょう。病気を未然に防ぎ、罹病者は1日も早く治り、睡眠時間は少なくてもスタミナを伸ばすように努めましょう。それには平床と木枕の効果はあまりにも大きいものです。

ところで私がこう言ったからといって、平らで硬い板床がよいのであれば今晩から畳のない廊下か床敷の上に寝ようとか、あるいは平らな畳の上に直接寝ようとか考える方があるかもしれませんが、廊下や床敷は隙間があいていたり、1人の体に対して広過ぎたり狭過ぎたり、鉄釘の作用で体温が逃げたりして却って風邪を引きやすいものです。況や畳の上に直接寝ることは、体温が逃げたり腹が張ったりして、これまた風邪の原因をつくります。

前に述べましたごとく、平床を用いる準備行動として2枚の布団を1枚に減らした後は、いよいよ平床の出番です。この平床は幅2尺5寸、長さ6尺程度の滑らかな板を用いてください。その効果については既に述べた通りですが、特に乳幼児の場合は頭の格好がよくなり、夏でも汗疹の心配がありません。子供の時分からこの平床で寝ると身長法(伸長法?)ともなり、老人は腰や背の曲がるのを防ぎます。老若を問わず、男女を論ぜず、1日も早く平床と硬枕をご用意ください。暑い真っ盛りに敷布団で汗を流しながら寝ている人を見ると、全くお気の毒に思います。

頸椎7番の操作

脊柱や平床の効果についてあまり理論的に述べて参りましたので、読者の中にはいささか退屈された方があるかもしれません。そこでこの辺りで少々趣を変えまして、病気や怪我をした時、あるいは身体に異常を覚えた時などの応急処置として、背骨を叩打したり、指頭圧したりする方法を述べて、どんな時にはどの骨をどれだけ叩打すれば効果があるかなどを記して参考に供したいと思います。

まず一番応用範囲の広い、頸椎7番を操作することから始めましょう。頸椎7番を叩打するか指頭圧することが、疾病などにどれだけ効果があるかと申しますと

(1)頭感冒=頸椎7番を、本人が気持ちがよいという程度に叩打すると効果があります。

(2)偏頭痛=頸椎7番を叩打することによって、大変気持ちがよくなります。

(3)中耳炎=患者は正座のままで約30度後方へ体を傾け、術者が患者の体を5、6回左右に揺振させて1分間に150回~200回の速さで、約5分間叩く。でき得れば1日に5回から6回実施する。

(4)耳の充血=叩打することによって早く取れます。

(5)耳鳴り=1回約5分を、1日に5、6回実施します。

(6)脳貧血=頸椎1番を押した後で頸椎7番を叩き、次に胸椎8番を叩くこと。そして手の毛管(後で説明します)に主力を注ぐと治ります。

(7)つんぼ=神経性のときには、効果があります。

(8)聴力増進法=胸椎3番、4番を叩くと、逆に少し減退します。

(9)聴力障害=1分間に150ぐらの速さで、3分間ぐらいを1日に2、3回叩打します。

(10)視力減退=糖尿病のときには特に効果があります。

(11)眼の充血=ビタミンCの補給を要します。

(12)眼瞼筋の痙攣および反射=駆虫剤も併用してください。

(13)鼻風邪=便通をよくしながら叩打すること。

(14)鼻カタル性炎症=ビタミンCの補給を併用(ただし食物から)。

(15)鼻出血=ただし月経直前および月経中は注意を要する。

(16)鼻充血=ビタミンC補給(飲食物から)。


(17)鼻粘膜の炎症=右に同じ。

(18)声帯の痙攣(口きけぬ)失語症=宿便を取ること。

(19)吐血、喀血=強く叩打しないこと、押圧の方がよろしい。

(20)咽喉通=膝の痛みを取ること。

(21)=1分間150-200の速度で1~3分間実施する。

(22)百日咳=1分間に160ぐらいの速さで叩打し、足裏に芥子湿布(後で説明します)をすること。

(23)甲状腺機能亢進(疲れ易い)=頸椎6番も一緒に叩くこと。

(24)バセドー氏病=頸椎7番より6番を、突き上げるように叩打する。

(25)手足が冷たい人=毛管運動(後で説明)に力を注ぐこと。

(26)腕の麻痺=手足の毛管運動に力を注ぐこと。

(27)乳頭筋(心臓)の痛み=毛管運動に主力を注ぐこと。

(28)窒息=空気の流通に注意すること。

(29)心臓麻痺=心臓運転(後で説明)と毛管運動をすること。

(30)狭心症=1分間180ぐらいの速さで6~7分間叩打し、後で毛管運動をすること。

(31)心臓衰弱より来る呼吸困難=初めに極軽く叩打すること。

(32)心臓を収縮=心臓拡張症によろしい。

(33)肺臓を拡大=肺結核や肺尖にはよいが、肺気腫の人は叩いてはいけません。

(34)心臓衰弱症=強心法となります。

(35)心臓性喘息=心臓性喘息はたいてい赤ら顔です。気管支喘息は叩いてはいけません。

(36)心筋炎=心嚢炎にもよろしい。

(37)心臓肥大症=心臓を収縮するから当然よろしい。

(38)弁膜の不全症=弁膜狭窄症にはいけない。

(39)心臓鼓動過多症=1分間に180ぐらいの速さで1分~3分叩打し、次に胸椎1番~3番を掌圧します。

(40)心臓衰弱より来る高血圧=普通の高血圧は胸椎2番、3番、4番を叩打します。

(41)肺の働きを強くする=肋膜炎にもよろしい。

(42)肺の充血=1分間に150ぐらいの速さで5~6分間、1日4、5回実施する。

(43)風邪=脚湯法(後で説明します)を併用のこと。

(44)一般解熱=どんな熱病にもよろしい。

(45)鬱血を散ず=毛管運動をした後で叩打する。

(46)内臓の充血=どの内臓にもよろしい。

(47)動脈硬化症=生水を少量ずつ飲用のこと。

(48)赤血球を減少す。

(49)消化中毒=一応嘔吐させた後で叩打すればなおよろしい。

(50)胃を収縮する=胃拡張によろしい。腰椎の1番ー3番を押すこともあるが、月経時はいけません。

(51)胃下垂=胸椎6番、7番、腰椎2番などと同時に叩く。

(52)胃の機能増進=胃痙攣、吐き気症によろしい。

(53)脈拍容積を減少す=増加させるには胸椎3番、4番を叩く(チフスなどのときに応用)。

(54)脈拍の速さの減少=迷走神経の機能が増進する。

(55)血管運動神経麻痺=血液循環がよくなる。

(56)大動脈瘤=1分間150の速さで10~15分間叩打する。

(57)大動脈管を収縮=反対に反発して拡大するを意味する。

(58)大動脈管の機能増進=右の事情のため効果がある。

(59)血管拡張神経の疾患=血管が収縮する。

(60)迷走神経機能促進=迷走神経機能減退は、胸椎3番、4番を操作する。

(61)内出血の防止=怪我をしたときや、打身のときに応用してください。

(62)血圧降下=頸椎7番を叩き、さらに胸椎2番、3番、4番を叩くこと。

(63)月経過多=普通より多過ぎたり、日数があまりにも長過ぎたり、日数の間隔の少な過ぎるときに応用します。

(64)月経閉止=前項と反対で矛盾するようですが、矛盾ではありません。

(65)糖尿病=酸性をアルカリ性に導きます。

(66)入水者(溺水者)=台の上に腹這いに乗せて、手足をだらりと下げて叩くと水を吐く。

(67)日射病

(68)一時的発作麻痺=失語や仮盲症に応用す。

(69)陰萎

(70)踝の麻痺

(71)自家中毒

(72)坐骨神経痛における痙攣=他にも方法がありますが、この頸椎7番を叩打するだけでも大した効果があります。

頸椎7番叩打の時の注意

なお鼻血の時の注意を述べてみますと、頸椎7番を叩くと鼻血が止まりますが、婦人が風邪を引き、それが月経と同時になると、鼻血になって出血することがあります。そのとき頸椎7番を叩くと、そのショックで止血します。これは前記のごとく大動脈および心臓が収縮し、同時に肺が拡大します故、出血が止まるのです。しかしながらこの場合の鼻血は、無闇に止めますと偏頭痛を訴えることがありますので、或る一定度までは出す方がよろしい。

要するに量の問題が大切で、局部から出る量とだいたい同量でなくてはなりません。しかしながら放っておくと、鼻の方が下よりも余計に出ます。そのときは頸椎7番を叩打して止血してください。偏頭痛は血液の不和によって起き易く、男子の場合では静脈の鬱血に原因することが多いが、女子の場合には月経困難に起因して起きる偏頭痛が多いのです。

頸椎7番叩打の要領

頸椎7番の叩打または指頭圧その他の斉整刺激の場合には、必ず胸椎10番を術者の膝または他の方法で圧迫し、術者は軽く拳を握って小指の付根で1分間150回ないし200回の速度で叩きます。このとき胸椎10番を押圧しないと、腎臓や腎盂を悪くすることがあります。なお叩打の際に拳を作るとき、親指を中に入れますと本能線(生命線)がはっきりするようになります。叩打が強過ぎますと、逆効果になります。病人が気持ちがよいという程度がよろしく、重病人や小児は軽く叩打や指頭圧をしてください。

自分でおこなう場合には座位の姿勢をとり、右膝を正面から約40度ぐらい開き、右足の踵を右の臀部下に置き、左の胸を伸ばして後方に引きます。つまり左脚の直股筋(前側の筋肉)を引っ張ることになります。そして上半身を後方に反らせて、手を太陽叢(臍の左約1寸ぐらい上部の所でどくどくと脈打っている場所)に当てて、顎を引きながら頭部を後方へ倒し、また緩めるなどリズミカルにすること2分間ないし5分間ぐらいおこないます。

頸椎7番を叩打するだけでもこれだけの効果があります故、いざという時に慌てることなく、平常練習しておきましょう。

叶わぬ時の神頼みではいけません。

病気と脊柱

前号までは就寝時における脊柱の歪みの治し方を説明し、続いて頸椎7番を叩けば主にどんな病気に効くかということを申し上げておきました。そこでこの度は、どんな病気にはどの骨を操作(叩打するか指頭圧すること)すれば効果があるかということを、順序不同ながら思いつくままに記してみましょう。なお脊柱の位置を知るためには、5月号の46ページを御参照ください。

胃病

(1)胃を拡張、または収縮させる場合

=胃を拡張させるには、胸椎11番、収縮させるには、腰椎1番、2番、3番を叩くか、骨の両側を病人の口幅の半分の感覚で指頭圧いたしますと効果があります。叩く速度は1分間に150回ないし200回位で、叩打する要領は、親指を中にして握り、その上に四指を曲げ、小指の側で叩きます。

胃の入口を噴門と言い、出口を幽門と申しますが、食べた物が胃から下がらずに重苦しいときは、胸椎5番を叩くか、その両側を指頭圧いたしますと、胃の出口が開いて楽になります。

(2)吐き気がする場合

=むかむかしても、なかなか嘔吐できないときがあります。この場合は胸椎3番、4番を同時に叩くと胃の出口が閉まり、入口が開きます。そのとき病人が姿勢を正しくし、臍の1寸左で1寸上の場所(太陽叢と申します)を抑えながら頸椎1番を叩くと、楽に嘔吐することができます。頸椎1番は、嘔吐中枢であります。

(3)幽門狭窄症の場合

=病的に胃の出口が狭くなり、胃がじゃぶじゃぶと音を立てるような時は、よく神経質になります。この場合は胸椎5番と胸椎11番を叩きます。

(4)幽門痙攣症の場合

=眉と眉の間に縦筋のある人は、幽門痙攣症と言われています。この症状には胸椎5番と11番を叩くと効果があります。叩く時間は、1分間ないし5分間程度です。

(5)胃拡張、胃下垂、胃アトニー、ヒステリー性吐血の場合

=これらの病気の場合は、腰椎1、2、3番を、同時に軽く叩きます。

(6)胃潰瘍の場合

=胃潰瘍の場合もやはり前と同様で、腰椎1、2、3番を同時に軽く叩きます。吐血多量の場合は、仰臥のままにしておき、両手をそっと差し入れて指頭圧いたします。

(7)一般の胃腸病

=には胸椎の5、6、7番を指頭圧いたします。

(8)胃酸欠乏症および胃潰瘍の場合

=近時胃液欠乏症が胃潰瘍や胃癌の前駆症状と言われるようになりました。これには胸椎5番と11番の指頭圧が必要です。

(9)お腹が空いて堪らない場合

=腰椎の1、2、3番を叩くと少し楽になります。昔から「茶腹も一時」と申しますから、清水や柿茶を飲めば、暫くは我慢ができるでしょう。鳩尾を軽く叩くと、胃が収縮するので空腹の我慢ができます。反対に軽く撫でると胃が拡大し、食物がたくさん食べられます。ただし悪用すると胃拡張になる恐れがありますから、くれぐれもご注意の程を申し上げておきます。

腸の疾患

(1)腸を収縮または拡張させる場合

=腸を収縮させるには、腰椎1、2、3番を操作し、拡張させるには胸椎11番を操作します。

(2)内臓下垂症の場合

=この場合は腰椎1、2、3番を、一緒に軽く叩打します。

(3)腸出血、腸カタルの場合

=この場合も、腰椎1、2、3番の操作を致します。

(4)夏病みの場合

=幼児あるいは未成年者の夏病みにも、前と同様に腰椎1、2、3番の操作を致します。

(5)虫垂炎(盲腸炎)の場合

=虫垂炎(盲腸炎)のときは、腰椎1、2、3番を軽く指頭圧または叩打した後で、腰椎2番の右側を指頭圧しながら盲腸部の触手を1回5分間以上おこない、後で述べます金魚運動を致します。

(6)便秘の場合

=便秘には痙攣性便秘、弛緩性便秘、神経性便秘の3種類ありますが、痙攣性便秘には、胸椎11番を叩打あるいは指頭圧し、弛緩性便秘には、腰椎1、2、3番を叩打あるいは指頭圧し、神経性便秘には、胸椎11番と腰椎1、2、3番を交互に叩打または指頭圧しますと効果があります。

痙攣性便秘の人は、顔を見るとわかります。良く言うとキリッと締まった顔で、悪く言うと神経質な顔であります。また弛緩性便秘症の人は、良く言うと緩やかな顔であり、悪く言うとのんびりした顔であります。特に症状の酷い人は、間抜けな顔になるようです。

(7)下痢症の場合

=下痢症状のときは腰椎1、2、3番を叩打し、または指頭圧します。神経性下痢症の人は、胸椎11番を操作します。

(8)腸閉塞の場合

=胸椎11番を叩打した後で、金魚運動を治るまで続行します。

心臓

(1)心臓を拡張または収縮させる場合

=心臓を拡張させるには、胸椎8、9、10、11、12番を操作し、収縮させるには頸椎7番を操作します。

(2)心臓の機能を抑制し、また刺激させる場合

=心臓機能を抑制させるには、胸椎1、2番あるいは胸椎の4番を操作し、心臓機能を刺激させるには、頸椎3、4番を操作いたします。

(3)心嚢炎、高血圧、心臓内膜炎の場合

=これらの病気のときは、胸椎1、2番または胸椎4番を指頭圧します。

(4)心臓弛緩症の場合

=この場合は、胸椎3、4番を操作します

(5)心臓拡張作用および収縮作用の応用

=拡張作用の応用としましては、胸椎の8番から12番までと頸椎3、4番を指頭圧します。また心臓収縮作用の応用としましては、頸椎7番の操作が必要です。

(6)心臓痙攣および喫煙者の場合

=既に前月号で申し上げましたが、心臓痙攣および煙草を吸う人のときは、胸椎3、4番を操作します。

(7)肺と心臓の関係

=肺の右側の悪い人は右心房と右心室に故障のある人で、肺の左側に故障のある人は左心房と左心室に異状が認められます。

(8)中風の場合

=脳軟化症、脳エンボリ、トロンボーゼという脳溢血ならぬいわゆる中風は、心臓異常と見て操作をするとよろしいのです。

(1)肺を拡張させる場合

=肺を拡張させるには、頸椎7番と胸椎3、4、5、6、7、8番の操作が必要です。したがって肺結核、肺炎、肋膜炎、肺膨張不全のときは、これを応用します。

(2)肺を収縮させる場合

=肺を収縮させるには、頸椎4、5番および胸椎1、2番でありますから、枯草熱、気管支喘息、肺気腫などのときに応用します。

(3)肺臓内の血液を減少させる方法

=これには頸椎7番の操作が必要ですから、肺結核のとき応用します。

(4)肺臓内の血液を増加させる方法

=胸椎10番の操作が必要ですから、肺充血、気管支炎、気管支出血のときに応用します。

脾臓
 

(1)脾臓を拡張させる場合

=脾臓を拡張させるには、胸椎11番の操作が必要です。伝染病一切に応用いたします。

(2)脾臓を収縮させる場合

=脾臓を収縮させるには、胸椎1、2、3番の操作が必要です。脾臓炎、貧血症、白血病、脾臓拡大症、マラリヤ、白血球減少症などの場合に用いて効果があります。脾臓は赤血球の破壊、リンパ球の整正の場所です。

膵臓

(1)一般的な治療法

=膵臓病の治療は、胸椎4、5、6番、あるいは胸椎8番の応用です。膵臓炎や糖尿病にも応用します。

(2)糖尿病の時

=糖尿病は、酸性の代表的な病気です。胸椎4番を操作しますと血液が酸性になりますので、糖尿病の場合なるべく胸椎4番に触らないようにしてください。

腎臓

(1)腎臓を拡張させる場合

=腎臓を拡張させるには、胸椎4番から10番までの操作が必要となっています。代表として胸椎6番と10番のみの操作を致しても効果がありますが、この方法は、腎臓結石、腎臓の働きが鈍くなった時、尿毒症の時、腎臓病で身体が浮腫んだ時に使います。こんな病気のときは、前記の平床が特に大切であることを、もう一度申し上げておきます。

(2)腎臓を収縮させる場合

=この場合には胸椎12番の操作が必要ですが、これは急性腎臓炎、腎臓下垂のときに応用します。

(3)ゴルフと腎臓

=ゴルフをするときはクラブを振るため急激に身体を捻りますので、胸椎10番によく故障が起きます。この故障から腎臓が悪くなるとされています。

肝臓

(1)肝臓を拡張させる場合

=この場合は胸椎11番を操作します。

(2)脂肪性肝臓の時

=拡張作用の応用ですから、胸椎11番の操作を致します。胸椎4番と8番の操作も必要です。

(3)肝臓充血、肝臓膜瘍、肥大性肝硬変症の場合

=これらの場合は、腰椎1、2、3番を同時に叩き、次に胸椎4、8番を操作します。腰椎1、2、3番を同時に叩けば、肝臓が収縮します。それは前月号に説明しましたように、胸椎4、8番が肝臓の主神経だからです。

胆嚢

(1)胆石で痛む場合

=胆石で痛むために苦しんでいるときは、胸椎4、5、6番と、胸椎9番を交互に叩きます。胸椎4、5、6番を叩くと輸胆管が収縮し、胸椎9番を叩くと拡大します。それ故に胸椎4、5、6番を叩く時は軽く叩き、胸椎9番の叩打は、少し強く叩きます。小さい胆石のときは、1回で癒ゆることがあります。

(2)胆嚢炎の場合

=この場合は胸椎4番と5番と6番のみを操作します。

子宮

(1)拡張させる場合

=子宮を拡張させるには、胸椎10番を操作します。それは、月経不順、白帯下のときにします。

(2)収縮させる場合

=子宮の収縮作用を起こさせるには、腰椎1、2、3番を操作します。どんな時に使うかと言いますと、子宮内膜炎、子宮外膜炎、月経過多症、子宮収縮不全、子宮後傾症、子宮前屈症、子宮脱、子宮出血などの場合です。

(3)月経痛の時

=月経痛の場合には、腰椎1、2、3番と、胸椎3、4番を操作します。

(4)難産の場合

=難産のときは、胸椎10番を少し強く叩き、腰椎1、2、3番を軽く叩き、次にまた胸椎10番を強く叩きます。これを交互に何回も繰り返します。

(5)妊娠を望む時

=胸椎10番を叩打または指頭圧するか、蒲鉾板に布を巻いてこれを胸椎10番に当てます。昔妊娠を望む婦人が腰枕をしたのは、胸椎10番でありました。ただし叩打や指頭圧のときは12、3分しか続きませんので、ご注意ください。

(6)避妊を望む時

=腰椎1、2、3番を軽く叩きます。あるいは前記の蒲鉾板に布を巻いたものを当てます。昔避妊の目的の腰枕は、腰椎1、2、3番に当てたものです。ただし叩打のときは12、3分間しか持ちません。

摂護腺(前立腺)

(1)摂護腺を収縮させる場合

=摂護腺を収縮させるには、胸椎12番と腰椎の1、2、3、4番の操作ですが、特に腰椎4番が必要です。

(2)摂護腺肥大症、摂護腺癌腫、摂護腺硬化症、摂護腺腫脹などの場合、これらの病気には、前記の収縮させる方法を応用して操作します。

これは男子のみの病気ですが、近頃では40歳以上の男子で、前立腺で悩んでいる人が随分多いようです。現在では婦人科のみしかありませんが、将来は男子科ができるかもしれません。昔は摂護腺と言っていましたが、現在では前立腺と言います。

小児麻痺

(1)小児麻痺の場合

=胸椎9、10、11、12番を操作します。他に運動障害、下股麻痺症のときにも応用して効果があります。

血圧

(1)血圧を下げる場合

=この場合は、胸椎2、3、4番を斉整いたします。ただし高血圧は酸性の病気で、胸椎2、3,4番は血液を酸性に致しますから、この前に必ず頸椎7番を叩打することを忘れてはなりません。

(2)血圧を上げる場合

=低血圧症の人の血圧を上げるには、胸椎6、7番を操作します。

以上の方法は、全て他の関係を無視してその病気のみの操作方法を述べてみました。もちろん高血圧にしろ、胃腸病にしろ、心臓病、肺結核にしろ、その他すべてこの脊柱の操作のみによって全快するとは言えません。他の各種の方法と絡ませ合って初めて効果が出るもので、これは飽く迄も治療の一部であることを念頭に置いてください。

金魚運動について

前回発表いたしました平床、硬枕による療法は、脊柱の副脱臼を治癒するに大変効果のある方法です。そこで今回は左右の副脱臼を治す方法をお伝えして、皆様の御参考に資したいと思います。

この療法は一般に金魚運動と呼称されていますが、その語源は、嘗て日本から外地に金魚が盛んに輸出されていたところ、せっかく完備した水槽に入れて送り出しても、先方に到着すると3割から4割の金魚が死亡していました。

そこで或る人が輸出する金魚の尻尾を持ち、これを左右に振った後で送ったところ死亡率が大変減少しましたので、これからヒントを得て考案された療法であります。そこでこの治療法を金魚運動と呼んでいるわけであります。

無理に金魚と言わなくておも、鯉でも鮒でも一向に差し支えはない訳ですが、事の起こりが金魚にあるのですからこう呼ばれているのです。

鮒で思い出しましたが、私達が少年時代によく鮒を生け捕って遊んでいます裡に、その鮒が弱ったので”いきいきごんぼう”と言いながら、鮒の尻尾を掴んで左右に振るとまた元気を戻してきた記憶があります。これも金魚運動の一部を応用した訳で、この療法を知る上に大いに参考になることと思います。

金魚運動の効果

さて本論に移りますが、まず金魚運動が人体に及ぼす効果について述べておきましょう。この療法は脊柱の左右の副脱臼を治すばかりでなく、胃腸の働きを活発にする作用があります。元来われわれの腸は、大食したり減食したり、固いものを食べたり流動食を摂ったりするために、あたかも蛇が蛙を呑んだごとくに或る箇所は膨張し、或る箇所は萎縮し、また或る箇所は過長結腸と言って弾力を失ったゴムのように伸び切っています。こうした腸の太さを揃え、また麻痺している箇所の神経を再び働かせ、伸び過ぎた腸は生理的に正常な長さに調節するのがこの金魚運動の目的です。したがってこの方法を頻繁に実行していますれば便秘に苦しむこともなく、下痢や腹痛もなく、腸捻転、腸閉塞、虫垂炎(盲腸炎)に罹ることがありません。たとえ何かの拍子でこうした病気に罹ったとしても、極めて軽症で済むのです。

前にも述べました脊柱が左右に副脱臼しているということは、左右の筋肉にも異常がある証拠でありまして、例えて申しますれば胸椎5・6・7・8番が右へ湾曲しているということは、脊柱の右側の筋肉が硬直していることであります。したがって左側の筋肉は弛緩していることになります。金魚運動はこうした筋肉の硬直、弛緩を生理的に治癒するわけであります。

金魚運動の方法

金魚運動はその治療目的によっていろいろの方法がありますので、各種別に分類して述べましょう。

1、正常な金魚運動

まず仰臥して身体をなるべく一直線に伸ばし、足先を膝の方向に直角以上に曲げて両踵面を平面上にあるようにし、両手を組んで頸椎4・5番辺りに当てます。この場合両肘は十分張って開き、床上に安定します。また組んだ両手の指は、床上に微かに触れるか触れない程度の高さにします。この姿勢ができましたら腰と肩を反対側に動かし(したがって足と肩が同じ方向になります)魚の泳ぐ真似を素早くおこないます。この方法を健康な人で朝夕2回、1分間ないし2分間ずつ実行して頂ければ結構です。尤も最初は簡単に動きませぬので、金魚運動ならぬ砂上の泥鰌に似た動作になりますが、慣れるにしたがって本当の金魚運動になります。

なおこの場合足先を十分に膝の方に引き寄せると、どうしても踵は床上から離れるのが普通です。そこで初心者は踵を床面で擦り、あたかも大工が鉋を掛けるように摩擦するのです。これも慣れるにしたがって次第に擦らぬようになりますから心配は無用です。

肘を十分左右に張ったときに、たとえば右側の床上に肘の着かない人は右の神経痛か、右側の胸部に癒着のある人です。左側また然りでありまして、こうした疾患のある人も金魚運動を熱心に実行することによって、完全に治癒されるわけであります。

2、他人が施術する金魚運動

(A)

ここに揚げた図のごとく仰臥している病人の枕を取り去り、他人がその両足首を持って、左右に小さく振動させます。このとき施術者は病人の踵を自分の方に引っ張る気持ちでおこないます。

虫垂炎の痛みのため右足を曲げている場合が多いような人には、右足を十分引っ張ってこの金魚運動をおこないますと早く治ります。

これは非常に良い方法ですが、施術者にはいささか無理な体位ですから長く続きません。この場合病人の足の高さを低くするほど頭部まで振動し、足を高く上げれば腹部の運動で止まります。振動の緩急、振動の幅などが病気と重大な関係がありますので、病人が気持ち良く感じる程度におこなうことが大切です。

(B)

前記の方法は長続きすることが不可能ですから、施術者の楽な姿勢を述べてみましょう。まず病人が仰臥し、術者は病人の右側または左側の下肢の部位に病人に直角になるよう正座します。たとえば右側に正座したとして、術者は病人の足骨を膝の上に乗せ、自分の膝下に2つ折りにした座布団か毛布を折って敷き、膝が水平になるようにします。次に術者の左人差指を病人の土踏まずの箇所に指し入れながら、残った4本の指で足首を握り、踵の方向に引っ張ります。この場合、右手は病人の足裏に当て、本人の膝の方向に押しています。この位置で左右に微振動しますと、割合い長い時間おこなうことができます。

(C)

病人は仰臥して膝を立てます。施術者は病人の左側、もしくは右側に病人と直角に座って両膝をくっ付け、膝をハンドルにして腹部を動かす気持ちで左右に微振動します。

この方法は何時間でもできますので、虫垂炎(盲腸炎)盲腸の破裂、腸閉塞、腸捻転などのごとく長時間の金魚運動を必要とする場合に主として用います。盲腸が破裂したときでも、この方法で完全に治癒された例がたくさんあります。この場合盲腸の破裂によって漏出した液体(膿汁)は、この金魚運動の続行によって破裂した箇所から吸収され、やがて肛門から排泄されます。人体に及ぼす自然の治癒力には、まったく頭の下がる思いがいたします。

(D)

次に腰金魚について述べておきましょう。それは、10歳以下の子供に対しては足首を持って振動させる金魚法は効果が少なく、時として股の関節部を痛める恐れもありますので、子供の場合はその子供の右側もしくは左側に直角に正座し、施術者は子供の腸骨(腰の大骨)を両手で圧定(しっかりと持つ)します。たとえば小児の右側に術者が正座したとして、術者の右手は小児の左腸骨を持ち、術者の左手は小児の右腸骨に圧定します。

そして次に右手で引き、左手で押す事をリズム的に繰り返します。腹痛で苦しんでいる子供などにこの方法を施しますと、最初は嫌ってもだんだんと気持ちがよくなるので次第に大人しくなり、やがてすやすやと眠り始めます。

(E)

次に俯臥金魚について述べましょう。この場合は病人を伏臥(うつ伏せに寝る)させて足首を直角に立て、両手を重ねて前額部の下に敷き、施術者は病人の右側もしくは左側に座し、病人の両踵の間に片手の人差指を入れ、他の4本の指で圧定して左右に微振動しますと、病人の頭部まで振動します。

この療法は婦人病(子宮後屈など)腎臓病を初め伏せって苦しんでいる胃腸病などに応用して効果があります。この方法は他人に施術して貰わなくても、自分で施行することもできます。

(F)

次は大金魚法(仮称)です。胃が痙攣する場合の治療法は他にもいろいろとありますが、これを金魚法で申しますと前に述べましたAの方法で病人の身体を大きく左右に振ります。なおこの際摺ったリンゴの中に食卓塩または煎塩(生塩はいけません)を約4グラム程度混入して飲ませますと一層効果があります。

なお塩分が不足していると思われる場合は塩の量を増す事もあります。この場合病人には塩を混入した事を知らせないで、ドイツかアメリカの高貴薬だと言った方が効果がよいようです。これは病人の心理的効果を狙った物です。

寄生虫による腹痛のときにも、この大金魚法をおこないます。この場合はよく本人が涎を流していますのが見受けられます。この症状には野菜の青葉を3種類ほど擂鉢で摺り、これを布で濾した汁を約100グラム飲ませます。すると方々に移動していた回虫が腸に戻って来ますので、そのとき駆虫薬を服用させると大変効果があります。

(G)

次に腰椎圧迫金魚法(仮称)について申し上げておきます。この療法は病人を伏臥(うつ伏せに寝る)させ、施術者は病人の腰椎を片手で押さえ、他の手で病人の両膝を伸ばしたまま両足を逆さに持ち上げ、足を支点として金魚法をおこないながら、腰部の手を腰椎に当てて一節ずつ下へ移ります。これは腰椎の副脱臼を治し、特に陰嚢水腫(腰椎3番)に効果があります。

3、膝立金魚運動

仰臥した病人の両膝を揃えて立て、その両膝を離さないようにして左へまた右へと膝が交互に床面に着くまで倒し、脊柱に左右均衡の旋転運動を与えます。回数は30回ないし200回ぐらい往復することです。

この療法は特に婦人病(子宮癌・子宮筋腫・月経痛・子宮後屈・子宮前屈・卵巣やラッパ管に障害がある時)や腰痛の場合に用いて効果があります。また胃腸を整え、盲腸炎を予防する上にも効果的です。

4、立金魚運動

神経痛や腰痛の方が、映画館や駅または公園などでベンチに腰を掛けて立ち上がった時”ア痛ッ、ア痛ッ”と言いながら顰め面をされているのをよく見掛けます。こう言う症状の人は、腰掛から急に立ち上がると病気のために悪いのです。そこでこう言う人は立ち上がる前にまず予備運動が必要です。その方法は座したままで腰を左右に7、8回動かし、次に身体を左右に振動させながら立ち上がりますと、苦痛もなくて立つ事ができます。

5、逆金魚運動

内臓下垂、特に胃下垂の方は、仰臥して壁または箪笥などに両足をもたせ掛けます。したがって両足は顔面よりも高い位置となります。次に両手で自分の腸骨を支えて左右に金魚運動をおこないます。ただしそのために壁を汚したり、箪笥に傷を付けたりして家族の方からお小言を受けないように注意してください。

なおこの運動は高血圧の人にお奨め致しません。また他人に施術して貰う事はできます。

6、横着金魚運動(仮称)

夜分床についても眠れないいわゆる不眠症の人は、枕をして布団を着たまま、仰臥した姿のままで身体を左右に微振動いたしますとよく眠れるようになります。また横に向かねば眠れない癖のある人も、仰臥してこの運動を続けられるとその癖が治ります。

以上で大体金魚運動の説明を終わりますが、この運動はその目的と年令によっていろいろ方法がありますことに御注意ください。

普通は第1項の正常な金魚運動を続けられれば良い訳ですが、この場合腰椎が床面に触れるように、また踵は床面から離れるように努め、他人と談笑しながらでも楽に運動ができるように習慣づけてください。こうなればまず一人前ということができるわけで、自然と健康体を持続することになります。

生活にみる正しい脊柱の検査法

以上によりまして、四大元基のうち、第一である「脊柱は正しいか、曲がっているか」の点につきまして、その応用方法と直し方を申し上げました。

本日、74歳のアメリカから帰って来られました、婦人が言われますに、「私は、ロスアンゼルスで西式をやっておりましたが、ホンの真似事でした。ここ半年間、熱心に、西式生活に打ち込みましたところ、第一、夜中に3回ぐらい便所に起きていたのが、1回も起きる必要がなくなりました。第二、頭のモヤモヤが取れて頭が軽くなった。第三、胃腸がスッキリとして、食物の本当の味がわかった。第四、背骨の曲がっていたのが真っ直ぐになった感じがして、とてもありがたいが、不思議な事に、本日手紙を久し振りに書いてみますと、字が斜めに曲がって困っていたのが、真っ直ぐに書けるようになった」と、喜んでおられました。結局、どんなに習字をしても、脊柱が前後に、または左右に、湾曲していましては、なかなか上達できにくいし、字の列が乱れるということが、おわかりでしょう。

この事は、書道の本である「正筆」に、「書道と健康」」と題して、詳しく書きまして、同会員に証明して頂きました。疲れたときの字は、崩れ易く、━や┃が思う様に書きにくいが、金魚運動をした後の字は、真っ直ぐに書きやすい事を、皆々様も、実験してみてください。

もちろん、習字だけではなく、活け花でも、舞踊でも、剣道、その他の武道でも、各種の運動競技も、頭を使う人、その他、各種の仕事も、平生姿勢悪く副脱臼の甚だしい程、本人の努力の割合に能率が上がりません。

相撲の勝負と脊柱

若き横綱、大鵬が、土俵上で仕切りをする折、拍手を打っているのを、テレビで、ご覧ください。他の力士に比べて、左右の指と掌がよく合うでしょう。左右の掌がよく合うということは、頸椎や胸椎の副脱臼が少ないということです。この大鵬も近頃、高血圧で悩んでいるとか?直ちに西医学生活に入れば、天凛の技能に、健康法で鬼に金棒という所ですが、誠に惜しいものです。

仕切りをし、また四股を踏んでいる東西両力士を見て、勝負の結果を見ますと、何となく、前屈みになる人は、前に倒れ易く、後ろに上体が傾き、上体の重心が後ろにあるような感じの人は、後ろに押されたときには弱いようです。こうして見ますと、力士の方々も、西医学生活に入って努力をすれば、一層の好成績が挙がることでしょう。

左右の神経は揃っているか

四大元基の第二の、左右の神経は揃っているか、どうかについて述べます。目を瞑って、両手を広げて、何処でも、左右の手が、ピタリと合う人は、左右の神経が揃っているということであり、その上、左右の足の裏が、ピタリと何処でも合う人は尚更です。

こんな人は左右の筋肉の硬軟が正常であって、最早、半身不随とは縁のない人です。

左右の足の不揃いから来る病気は、婦人病が一番多く、子宮癌、子宮後屈、前屈を初め、難産を防ぐには、まず両脚を揃えることです。その他、呼吸器病、胃腸、肝臓などの消化器の病気から、心臓、腎臓病などの循環器疾患に至るまで、あらゆる疾患の予防と療養に脚を治す事を忘れてはなりません。病気だけでなく、両脚の不揃いな人は、短気であったり、記憶力が悪かったりします。

精神的に肉体的に智能的に円満にして強く、鋭くなるために、脚は柔軟にして強く、左右が揃っていなくてはなりません。昔、宮中の女官たちは、袴の下で合蹠して、座っていた為、婦人病は1人も居らなかったと聞いています。私達、子供の時の内裏雛は、天神様も共々、合蹠した姿の人形でした。

昔の武士は、いざ敵という時に備えて、しびれが切れないように、常に合蹠して座っていたと、伝えられます。

男子が、胡坐をして座っているとき、右足を前側に出すか、左脚を前側に出すか、たいてい一定でして、反対にすると座り心地が悪く、婦人の座ったときに両足を右に出すか、左に出すかして、反対側に出すと倒れそうになる。椅子に腰掛けた時は、どちらか一定の膝を上にあげる人が多く、仰臥すると一定の足首を上に乗せる。これらは共に左右の筋肉神経は揃っていなくて、脊柱も又、副脱臼しております。

足裏が合うだけでなく、目を閉じて、両手掌を左右に開き、ピッタリと合う人は、頭の働きがよいと、西先生は言われました。

日本の舞踊を見ていますと、片足で立てる前には、両手を合わせてから、片足で立ちながら踊ります。

丁度、片足で踊っても差し支えないかどうか?あるいは、片足で立って踊って所作よく踊る準備工作とも見えます。

両手が正しく合うか否かのテスト法は、ガラスに、うどん粉か、チョークの粉を、両面に付けて、他の人が持ち、本人はガラスを中心に、左右へ大きく両手を広げ、目を閉じて静かに手を合わせると、両手の狂いがわかります。合わせた後に直すと粉が付いているからわかります。

体の前面の中心で両手10指を組み合わせたときに、右の親指が外になる人と、左の親指が外になる人とがあります。これを反対にすると、何となく、ぎこちなく感じられます。この場合も左右の神経が揃っているとは思えません。ただし、体の左側か右側で両手指を組み合わせると、親指の外側になるのが反対になる場合もあります。左右の神経が不揃いであれば、目に大小があったり、鼻が捻れたり、人中(鼻と口の間の縦溝)が曲がったり、仰臥あるいは、伏臥した時、左右足の格好が違います。左右の肩も、厚み、幅、また上下の差があります。

臀部も大小と硬軟があり、臍も左右が不揃いであったり、甚だしきは曲がっています。こんな人を臍曲がりの人というのでしょうか?

これらの1つ1つを見、あるいは、総合してみて、何処が悪い、あるいは何処が弱いという様に体貌観測をしますが、その体貌観測の仕方は、後日に譲りまして、ここではその治し方を説明します。

左右の神経を揃える方法

、扇型運動と上下運動、及び前後に毛管運動

、合掌合蹠および40分間合掌行

、金魚運動

、背腹運動(左右揺振)

、3号機、懸垂器、旋転儀などですが、最初に合掌合蹠の説明をします。

◎合掌合蹠法

合掌合蹠は座った位置でおこなうこともありますが、普通、(殊に妊婦)は寝て致します。

、合掌をおこなうには、図のごとく両手の指を開いて指頭を合わせ、両側から押し付けるようにする。運動を数回して、そのままの位置で手を親指の方向(体の方向)へ回します。その時、手相の理知線の終わりは、月丘の下の方へと、下降し様とします。つまり、酸性の手になろうとするわけです。次に指頭を合わせたまま、小指の方へ回すと、理智線の終わりは直感線に近づこうとする。つまり、アルカリの手になろうとするわけです。こうして、回転すること、5、6回ずつで、手を垂直の方向に立てた位置で合掌します。

、合蹠は、図のように、膝を曲げて開き、足の裏をよく合わせた位置で、足を前後の方向に、往復的に滑らす運動を10数回から200回ぐらいします。この時、腰をなるべく平床上に着けるようにしてください。

伸ばすときには、指先に力を入れるような気持ちで、伸ばし切ったときに、小指側を平床上からなるべく離さないようにすることです。縮めるときは、勢いよくし、踵の方に力を入れるような気持ちで縮めますと、腰がよく伸びます。

、速度は、1分間に60回から100回ぐらい迄になるのが理想です。

、合蹠の滑らす距離、回数、速度は、重病人ほど小さく、少なく、遅くして、健康者ほど大きく、多く、速くするのです。そして終わった後は、2分ないし5分間、そのまま合掌合蹠していてください。

、運動中、膝はなるべく開き、両方の足の裏が、なるべく離れないように注意する。そのためには、紐、ゴム、皮、縫い合わせた足袋などを履くと便利です。そうしないと、伸ばし切ったときや、縮めたときに、小指側、親指側、足の裏などが開きます。開いたままでおこなうと、縮んだ筋肉が伸びないので、効果が少なくなります。

、運動の為、何処かの筋肉が痛くなりますと、芋薬(リウハップ)を貼って、痛みを取ってください。

そうしますと痛みの出た所は筋肉の硬直場所ですから、そこが早く良くなります。

、起床時、就寝時に寝床の中でおこなうほか、随時におこなうとよろしい、ただし、その前後に金魚運動と、毛管運動をおこなうことです。健康者も朝夕2回、少なくとも45日間は実行してください。

一、平床上を、一直線に滑らすだけでなく中心より左へ、あるいは、右へ、また上に挙げて、さらに左へ、右へと、症状によって変化する時もあります。合蹠したまま、上に110度まで上げると、何処かで半円の崩れる所があります。そこが、特に筋肉の異常のある所です。又、たとえば、60ぐらい上げて、左右に振ってみると、半円の崩れる所がある。そこもそうです。そうしますと、合掌合蹠法の不必要な人はなかなか少ないことでしょう。

、自転車のチューブ、または、スプリングのごとき物で、合蹠した足を、引っ張りながら、おこなうと、さらに効果が上がります。しかしそれができ得ない人は、腰、背、首、つまり椎柱全体を自分で伸ばしながらおこなうと、脚に力が入り、おこない難いが効果が上がります。

40分合掌行

一、方法

次に、左右の神経を揃える方法に40分間合掌をする方法があります。方法は、まず、靴下や、足袋を取り去り、両脚の末端を接触します。普通には両親指を重ねます。手は、腕時計を外し(できれば指輪も)図のごとく両手の5指を全部各指間が離れないように密着させて、顔面の高さにて合掌すること、連続40分間いたします。

このときに中指は第2関節まで、他の4指は、第1節が必ず付着するようにし、また一度定めた位置からは、下がらないようにしてください。ただし、上がるのはよろしい。

合掌の効果を十分に発揮するためには、ぼんやり単純に手掌を合わせていたのでは、少なくとも40分間かかりますが、次の方法を合掌する前に行えば、35分間ぐらいでもよいと言われます。

 まず指間を開きまして、胸の高さで、指間にうんと力を入れて押し合い、後力を抜く事を数回繰り返します。

 指頭に力を入れたまま、親指の方向と、小指の方向へ、交互にくるくると回転させます。この時、最初の回だけは、親指の方へ、回すときに、特に親指に力を入れると同時に背を伸ばす。小指の方へ回すときは、特に小指に力を入れると同時に腰を伸ばすようにすれば、姿勢がよくなります。

3 次いで、右方へできるだけ持って行く。

 今度は、左方へ持っていきます。

 さらに下方臍部の辺まで移動します。

 最後に上方顔面の高さに移して、元の位置に戻し、今までの力を緩めて、前述の形式道りに軽く合掌いたします。

このような準備運動をしてから行えば、楽に、しかも早く効果を現すことができます。

二、効果

合掌の効果は

1 水素イオン濃度を、生理的に調整する方式であり、

 酵素作用の方面では、その機能発揮の方策であり、

 毛細管の内径を、生理的に収縮拡大せしめ、血液循環を正しく行わさす一手段であります。

 血液の酸性と塩基性の状態を平衡にすべく、合理的に導く行為であり、

 自律神経(交感神経および副交感神経)を、生理的に引き戻す、すなわち、神経系の拮抗作用を求むる方法であります。

6 内分泌腺の分泌作用を、適度に発揮させる行為である……。

と聞いています。

この合掌行は、一生に一度すればよろしいが、毎日5分間ぐらいの合掌はその日の無病息災を、保証するものであり、食事ごとに、1分15秒以上の合掌行を実行すれば、体液は、酸塩基の平衡状態となり、食物の中毒を防ぐ事ができる……と、実践宝典に書いてあります。

合掌を一度すれば、40分間は、血圧の値が正常になる。しかし、1時間以上経過すると、また元の悪状態になるから、1時間ごとに合掌をすれば、脳溢血に罹る心配はない訳ですが、そんなこともできないから、四大原則により、根本的に治す必要があります。

しかし、合掌は、血圧に対してそれだけ偉大な効果があるという意味です。高血圧症の方は、例え、一時的にもせよ、正常値に下降し、低血圧症の方は、正常値に上昇するするので、生命保険に入れないような高血圧の人でも、3分から、5分間の合掌直後に血圧を測定して貰えば入れるような血圧になるわけです。

断食中に合掌をして腹痛が起きて、後たくさんな排便のある人が、時々おられます。

合掌中は、前記のように、血液の酸性と塩基性の状態が平衡し、交感神経と副交感神経が拮抗しますから、合掌中は、「ままになる世の中」となります。「ままになる世の中」とは、良い意味だけでなく、悪い事を考えれば、悪いような雰囲気が出ますから、悪い事は考えないで、良い事ばかりを考えるようにしましょう。

雑誌、テトラパシーより

西先生のテトラパシーより、合掌、触手の項を転記しますと、

「5本の指のうち、中指は第2節まで、他の指は第1節を、互いに離れぬように密着させ、できるだけ真直ぐに、顔面の高さに合掌すること40分間に及ぶこと。この行は、爪郭および、手掌の毛細管蹄係の捻転を整復し、その血液循環を完全ならしめるものである。ここにおいて、本人の心身は、酵素を初めとする全般的平衡を具現して、全く一如となり、完全に、自利を得るであろう。しかのみならず、これはまた利他の、菩薩行でもある。すなわち、病者をして血液循環の完全に行われるがごとき、体位に就かしめ、手掌をもって、その四肢や体躯の不整を矯正し、患部の触手をおこない、さらに指頭圧を施す等により、よくその疾苦を治癒に向かわしめ得るのである。」云々。

右の文のごとく、合掌行は自分が健康になる(自利)だけでなく、他人の体も健康にする(利他)事ができます。

触手療法についての注意

世の中には手掌療法、プラナ療法、霊気療法など、いろいろな名称の療法がありますが、触手療法とはほとんど、同様なものではなかろうかと思われます。40分間の合掌行をした人は、患部を治す力を得、なお、その上に毛管をすれば悪い所を知り得る能力を得ますが、他の療法のごとく、ただ漫然と、患部に触手するのは、労多くして功少なしです。

病人は、平床上に横たえ、毛管運動により血液循環を良くし、金魚運動で脊柱の左右の副脱臼を治し、筋肉や神経を刺激して後、その原因が他にあれば、その原因の第一次、第二次、第三次と追及して、これを整正した後に触手すれば、効果は驚くばかりである。掌をただ当てれば治る物と信じて、終に重態に陥らしめたり、何十分も触手して、自分の体力を失うがごとき事は慎まねばなりません。

特に、他人に常習的に施術するときは、医師法違反ともなることもありましょう。止む得ずして他人に施すときには、まず毛管のように、3、4回手を挙げて振って触手をし、後に、下方に垂れて、3、4回振り動かしていわゆる封じておくのです。

岡山から東京へ行くには

戦後、岡山地方には、○○式霊気療法が盛んでした。その霊気療法の先生?が、どんなに霊気を当てても良くならないのに、西式により、僅かの日時で健康になった。私の所へ来て「私は霊気療法には相当自信がありましたが、今度の病気は、どうしてもなかなか治りませんでしたが、西医学生活をしてから早く治りました。私の霊気は今までは良く効いていましたが、もはや効かなくなったのでしょうか?」と尋ねられましたので、私は「あなたのはやはり効果があるのでしょうが、たとえば、岡山から東京へ行くには、飛行機でも、汽車でも、自動車でも、自転車でも、歩いてでも、行く事ができますが、あなたのは歩いて行く様な療法で目に見えないのでしょう。しかし西医学生活をすれば、飛行機か、汽車に乗った様な速度ですから、目に見えるのです。ただ手を当てるだけで万病が治ると信じるのは考え物です」と申し上げました。

世の中には西医学は良いが、あれもこれもと各種の方法があるので面倒だ、と言われる人もありますが、この事実をよく考えてください。これ1つで万病が治るという方法はないと思います。

40分間の合掌合蹠法

合掌は横隔膜より上の中和が得られますし、合蹠は横隔膜より下の中和が得られますので、でき得れば、合掌と同時に合蹠するのも良いでしょう。

ただし合蹠して背の曲がる人は合掌だけの方がよいと思います。

40分間の合掌合蹠行を一度実行してみようと思われる、体力と姿勢に自信のある方に、合蹠の効果を早く上げる方法を書いてみます。出産期の近い妊婦の方は、この準備法を見合してください。

 まず足の裏を合わせて合蹠し、踵をできるだけ臀部の方に接着させます。

2 合蹠したままで、足先を丸く右に2、30回回転し、次に左へ、2、30回回します。この際、両足先は離れないように密着させて回転します。

 合蹠したまま、足先の離れないようにして両膝関節部の曲伸運動を、2、30回おこないます。このときは膝関節部の曲伸が主となります。

 最後に合蹠した足先が離れないようにして、両膝関節部をできるだけ広げつつ伸ばし、また縮めるという、往復運動を2、30回おこないます。このときは、前項と違いまして、合蹠の運動が主となりますから、運動が活発になります。

 こうして合蹠した時、脚の外側が平床上に、ぴったり着くのが理想ですが、これはなかなか至難です。ただし、男性は普段に胡坐をかく習慣がありますから、女性より開く度合が大きいのです。以上の方法は理想的ですが、一般には前月号に記載しました合掌合蹠行を行った後に、40分合掌行をされれば良いと思います。

最大の能力

弱者が強敵の前で手を合わせるのは、単に憐れみを乞うばかりでなく、弱者なりにも、次の段階への、最大の能力発揮への手段である…と、書いた本を読んだ事があります。

手術をするか、しないかの瀬戸際の病人は、診察の前に合掌をすれば、手術はしなくてよろしい事もあると言われるし、歯科に行き、歯を削る前に、病室のエプロン?の下で合掌しておれば、過失で歯齦に傷が付いたときでも、黴菌が侵入し難い等と、聞いています。

合掌の姿は、尊いものです。一生に一度と言われる40分合掌行は、是非とも、試みて自利と利他を得ましょう。食事の際にも合掌してから食事をする習慣を付けたいものです。

左右揺振(背腹運動)

左右御神経を揃えるのに必要な運動の王様は、何と言っても、左右揺振(背腹運動)でしょう。

西医学健康法の大眼目であるこの運動は、嘗て、金魚運動を怠け者の運動法と言って、発表せられた西式強健術時代より、これだけの実行でも、如何にたくさんの人々が健康になった事でしょう。

運動をおこなう前に準備運動をしてから本運動に入ります。猫が鼠を捕る前や、喧嘩鶏が喧嘩を始める前には、首を動かしてから始めると言います。準備運動をして頸椎7番の神経の圧迫を除いてから致します。

準備運動

(1) 両肩を同時に上下すること10遍

(注意) 肩を上げたときに、顎を出したり、首を竦めたりしてはいけません。下ろすときには、急に、肩の力を抜いて、ストンと真直ぐに下ろします。

(2) 右に頭を曲げること、10遍。

(注意) 学校の体操のように、1で右に倒し、2で元の位置に戻すのではありません。したがって、イチーで倒して元の位置に戻すので、右に倒して、直ちに元に戻します。頭上に乗せた品物を右に放り出して、直ちに元へ戻すような気持ちでします。

(3) 左に頭を曲げること、10遍。(2)と同じですが方向が反対であるだけです。

(4) 前方に頭を曲げること、10遍。背を伸ばし、肩を引き気味で致します。

(注意) 背が曲がり、肩が前に出て、(4)の運動をしますと、頸椎7番の刺激とならず、胸椎上部の方へ、力が逃げます。

(5) 後方に頭を倒す事、10遍。

(注意) 頭を引いて、後ろに倒すのです。顎を引かないで倒しますと、頸椎7番の刺激とならないで、頸椎の上部へ、力が逃げます。

(6) 右後ろに頭を回す事、10遍

(注意) 真後ろを見る位の気持ちで回し、(2)や(3)と同じく回すと、直ちに、元の位置に戻します。したがって、回して元の位置に戻すのが、イチーです。

この運動をしていると、老人になってから、口の辺りにできる、皺が少ないそうです。

(7) 頭を左後ろに回す事、10遍。(6)と同様ですが、方向が反対なだけです。

(8) 両腕を左右に水平に伸ばし、頭を、右と左へ、1遍ずつ回す。その際、掌は図のように前方へ向ける。

(注意) 手は円を描いて、左右に、水平に伸ばすので行き過ぎて、元へ戻さないことです。もしも手に水が付いていれば、左右180度に飛ぶごとくします。膝から掌が上がるときは少し、ゆっくりで、次第に速くなって、左右水平位置で、ピタリと止まるようにします。この時、手首から先が、小指側の方へ曲がれば、アルカリ過剰体質であり、親指側の方へ曲がれば酸性体質と言われます。

(9) 両腕を垂直に挙げ、頭を右と、左へ1遍ずつ回します。

(注意) この時、人により左右いずれかよく回る方向と、回り難い方向があります。それは、回り易い側の胸部の厚みは、回り難い側の胸部の厚みより薄いのです。臍も一緒に回すぐらいの気持ちで(もちろん、臍は正面に向いています)回すとよく回ります。

特に回り難い側に力を入れて回し、左右平等に回るときは、左右の胸部の厚みは同じになっているはずです。(それには脚から治す事)。

普通に回り易い側の脚がモルトン氏病で、反対側を下にして寝る人が多いようです。手はなるべく、耳の後ろに来るように挙げる位で適当になります。

(10) (9)の両腕を上に挙げたまま、掌を堅く握り、拳を握ったまま、腕を直角に曲げて水平に落とす。ただし、親指を内側に入れて握ること。

(注意) 直角に曲げて水平に落としたつもりでも、肘が下がり過ぎた人が多いので、ご注意ください。

なお、親指は十分曲げて、親指が小指の付根または、外に出る位にしますと、本能線がはっきりします。

(11) 前腕を垂直にし、上膊を水平のまま、後ろに引けるだけ引き、同時に頭を後ろに反らし顎を上へ、突き上げる。

(注意)顎を上に突き上げたときに下唇を上唇に重ねる気持ちです。この運動は、甲状腺の機能不全にも効果があり、(10)、(11)をしていると、冬季に耳に霜焼けができる人が、できにくいと言われます。説明すると長いのですが、以上11種の準備運動を約1分間内に終えるのです。

この準備運動と、木枕をしただけで、肩凝りが治ったという方はたくさんおられます。左右揺振の前に軽視して準備運動を省略しないようにしてください。

本運動の仕方

準備運動の、(11)が終わりますと、直ちに、力を抜いて掌を開き、中指と薬指を膝の上に立てます。

両膝関節は、本人の握り拳の約5倍ぐらいに開きまして、親指は軽く重ねます。腰と背を伸ばし、顎を引きます。したがって鼻と臍が相対し、耳と肩が相対する姿勢となります。

体を右(又は左)へ倒したときに、下腹部の中心へ軽く力を入れ、体が中心に戻ったときに力を抜き、次に左(又は右)に倒れたときに、右側と同じように下腹の中心へ軽く力を入れて、中心に戻ると力を抜きます。ただし呼吸とは関係ありません。

こうして1往復を1回と数えて、1分間に50回ないし55回できれば理想です。

しかし、そのために姿勢が崩れてはいけません。最初は200回でも、300回でもできるだけ行って、次第に10分間で500回できるように努力します。10分間を朝晩いたします。

膝関節を握るようにして、左右揺振をする人がありますが、体が制限されて十分に動きません。最初は腕から下の力を抜いて掌を上に向けておこない、少し慣れてから、掌を横に小指側を膝に軽く置いて、体の倒れる方向へ、交替に手首以下を倒して、いよいよ慣れてから両掌を縦に膝の上に乗せるのも一方法です。そうしないと手に気を取られて、体の動かない人もありますから……。

頭は重心に反抗して上に伸ばします。丁度、鉛の玉に糸を付けて振っているような感じです。

最初は頭上に意識を持って行き、次第に重心を下げます。胃の悪い人などは、胸椎5、6、7番辺が後ろへ曲がりますから、そこの力を抜いて(その辺に大きな穴が空いた感じです)背を伸ばしておいて、重心を下げます。

この運動は、A図のごとく、尾骶骨が中心(支点)となって身体を左右に振るのですが、腰が曲がると、B図のように、仙骨の2番、3番辺に中心(交叉点)が上がり、背が伸びないと、C図のように腰椎5番辺りへ、中心が来るようです。

まして、腰も背も伸ばさず、顎を出しておこないますと、中心は上がり、姿勢が崩れます。

薬指と中指を膝に立てると、腰や背が伸び易いようです。

姿勢を正しくして尾骶骨を中心に頭の頂端までをなるべく一直線に近くして、ちょうど1本の棒のように左右に揺振いたしましょう。

左右揺振(背腹運動)

実行上の諸注意

脊柱の多少歪んでいる人は、最初は、上体が斜めに揺れたり、前屈みになったりしますが、練習し、運動をしているうちに、自然と正しく揺れるようになります。

脊柱の前後の副脱臼は、平床、硬枕で治りますし、左右の狂いは、金魚運動でよくなりますが、左右揺振は、前後、左右の狂いがよくなります。ただし腰を折ってはいけません。運動中に、身体が左へ左へと旋回する人と、右へ右へと旋回する人もあります。このときは、旋回する側の親指を掌面に強く折り曲げますと、旋回し難いようです。

脊柱の狂いは、そこから出ている神経を圧迫して、神経の抹消が十分の働きをすることができなくなる故、我々の身体に、いろいろの病気や、故障が起きる……ということは、前にも申上げました。挿絵をご覧ください。

ここに1個の円筒形の中に、イのように、幾つかの、円筒体を乱雑に入れて、これに一定の振動を与えると、ロのごとく中心に正しく、積み重なってしまう。

もちろん、我々の脊柱は、この図のごとく、単一なものでなく、神経、筋肉、血行と一連の関係があります。

本運動法は、この原理を応用し、かねて頸部、胸部、腹部、背部および腰部の各筋肉に微妙なる運動を与えるのです。

鼻の悪い人は、身体を少し後ろに倒して(約15度くらい)、左右揺振を致します。

あるいは、1日に3000回往復ないし5000回往復して、2、3日でよくなった例もあるそうです。もちろん、程度にもよりますが、この運動をすれば、鼻はスーッとよく通ります。これを実行するときは、座っていても、胡坐をかいていても、椅子に腰掛けていても、どちらでもよろしいが、立っておこなうことは、絶対にいけません。必ず尻を付けて運動をします。

昔から立って運動をする健康法は、沈着を欠き、人相が野卑になります。立って運動をする健康法をおこなう場合は、必ず別に精神修養法を行わなければ、品性が粗野となり、皮膚が荒れてくると言われます。

この運動法は、肉体の強壮と、精神の修養とを兼ねた物ですから、尻を付けておこないます。

準備運動は、目を閉じておこないます。ただし、無念無想になるのではなくて、ことごとく意識し、努力しておこないます。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、または癌のごとく、腹部に機質的な変化の大きい場合には、程度の差にもよりますが、平床、硬枕、金魚、毛管などをして、故障を治して、後におこなうのです。一時に無理をしてはいけません。しかし、腸閉塞の方が、初め徐々に行って、遂に治った例もあるそうです。

糖尿病、神経痛、腎臓病などの交感神経緊張症は、初め脊柱を左右に振るよりは、幾分腹部の凸凹を主とし、大きくし、喘息、癲癇のごとき、副交感神経緊張症は、腹部の凸凹をするよりは、脊柱を左右に主として振りますが、両社とも後には、等々にして平衡を保つ様に致します。

テトラパシーより

テトラパシー第6巻の6、運動の項より転記しますと、方法と効果の欄に、

「朝夕10分間くらい脊柱を左右に揺振すると同時に、腹部の運動を併せておこなうことをし、それと共に、常に清水を、チビチビ飲んで、もってその1日の量を、少なくとも2リットルから、多きは3リットル位に及ぶ楊にし、なお、常住座臥、良くなると思い、能くなると信じ、善くなると念ずること。脊柱および腹部の運動は、それぞれ交感神経および、副交感神経を鼓舞する働きを持つもの故、ここに両者は拮抗状態を現出して、自律神経本来の職能が発揮されるのみならず、前者は、脳髄血管の膨張を防止し、後者は、腸麻痺を防ぐ物である。なお清い生水は、生化学の本領であり、よくなると思う事は、心理的に見て、閑却すべからざる重要因子である」……と。

これでわかりますように、解剖学的に、生理学的に、心理学的に、古今東西の、健康法を合わせて1つとし、よくもここまでつくられた物と、西先生に対し、満腔の感謝を惜しまぬ次第であります。

自律神経の拮抗

われわれ生体の筋肉は、自分の意志で動かす事のできる随意筋と、意志で動かす事のできない不随意筋とがあります。

神経系統は、自由になる脳脊髄神経と、自由にならぬ自律神経とがあります。自律神経は、交感神経と、副交感神経とに分類されております。

この交感神経と、副交感神経の不調和が、病気と如何に関係が大きいかは、医書に説く所でございます。そして体液が酸性に過ぎても、アルカリに過ぎても、健康体になれない事も、また説明してございます。

私達の信奉するこの背腹運動は、脊柱を左右に振ることによって、交感神経を興奮させ、また体液を酸性化させ、腹部を出し入れすることによりまして、副交感神経を興奮させて、体液をアルカリ化させる力を有し、一緒におこなう時は、両者は拮抗されて、自律神経本来の職能が発揮され、その上、脳脊髄神経の働きがよくなり、体液は中和すると言われます。

西先生が、多年ご苦心されたでありましょう、この完全な健康法を、私達会員は、ただ実行するだけで健康体をつくり、また維持して行けるのは、涙の出る程、ありがたいことではありませんか。

清水を飲む事

水につきましては、前にもお話し致しましたし、前月号に石井孝始様が、詳しくお書きになりましたが、この本運動をおこなう人が、平常、清水を飲んでおれば、身体の各組織への循環が特に良く、また、少量の食糧でも良く吸収し、昼食は良く噛み、夕食は普通に噛んだだけでも、良く消化、吸収すると聞いています。ただし朝起きた時と、食事時と入浴後以外は、チビチビと飲む事が必要です。

良くなる。能くなる。善くなる。

良くなる良くなると思っても、体液の酸、アルカリが中和せず、自律神経の交感神経と副交感神経が拮抗していないときは、なかなかよくならないようです。

左右揺振によって、交感神経と副交感神経を拮抗させ、体液のpHを、生理的にしておいて不良がよくなる、不能がよくなる、悪が善くなる。また肉体的に、精神的に、金銭的によくなると思う時は、次第次第によくなると言われています。

良くなったでは、決定的な言葉で、向上が見られませんが、良くなる、能くなる、善くなる、の言葉は、進歩的であり、向上するに最もよい言葉だと思います。

ホール氏の格言を転記しますと、

「我々は、我々の思惟の種を蒔いて、我々は、我々の行動を刈り取る。

我々は、我々の行動の種を蒔いて、我々は、我々の習慣を刈り取る。

我々は、我々の習慣の種を蒔いて、我々は、我々の性格を刈り取る。

我々は、我々の性格の種を蒔いて、我々は、我々の運命を刈り取る。」

西先生は、観世音菩薩とは、自分で放送して自分で受信し、その通りになれる人、自分で思う通りになれる人で、これが覚者だと言われます。悪い言葉を口に出し、また思うと、必ずそれが、我が身に返ってくるのです。常に不吉の事を考えず、言わず、前途に光明を見て生活するところに、健康長寿、生成発展の幸福を受けることができます。

背腹運動を、楽しく、そして忠実に希望を持って、朝夕おこなうと同時に、

常住座臥、良くなると思い、能くなると念じ、善くなると信ずる事……が大切です。

頭脳明快法

テトラパシーの文中にありますように、「脳髄血管の膨張を防止し、腸麻痺を防止する」……ですから、脳溢血を防止するのはもちろんですが、頭脳明快法ともなります。

岡山の都市計画前に、駅前の或る薬屋さんは、病気の為ではありますが、常に頭を左右に振っています。

記憶力がよいであろうと思って、聞いてみますと、果して売掛は、帳面に記入しないでも、記憶しているとの事でした。その上、70歳前ですが、耳も良く、鼻も良いとの事です。何しろ、いつも振っているのですから……。

ただし、目が悪いのです。私達は振っても、書物や新聞を読む時には、頭を振るのを止めますが、この薬屋さんは、病気のために、頭を振っているのですから、文字を見ながら、頭を振っていますから、目の悪いのは当然でしょう。それ故、左右揺振をしながら、1つの品物を見つめたり、テレビを見ながら行ってはいけません。

西医学の三種の真機とは、旋転儀、懸垂機、美容器ですが、この美容器は、一名、頭脳明快機とも言われています。

本運動は、さらに腸麻痺を除きます。

便秘したり、宿便も溜まることでしょう。「下痢症に馬鹿なし」……の反対に、便秘すれば、記憶力は低下します。思考力、判断力も鈍りまして、正しい判断が付きかねるようになります。

一方では、記憶力がよくなりながら、さらに又その原因である、腸麻痺を除去するという素晴らしい方法です。

人間は、常に頭脳が心臓より上にあるから、万物の霊長となったと言われます。その上、この本運動を実行することにより、その人その人の100%の頭脳明快を得る事と思います。

美容法にもなる

目の不揃い、鼻の曲がり、肩の左右の高低などは、どんな美男子や、美女でも、個性としては良いかも知れませんが、或る程度気に掛かります。

左右揺振をしておりますと、次第に、左右の調和が取れて来ます。西医学生活に入った方は、他の方に比較しまして、何となく、キリッとして感じがよいようです。もちろんこれは、温冷浴や食養法、その他にも原因はありましょうが、この運動も効果が多いようです。何となく、顔が腫れぼったくなっているときにおこないますと、スーッと引いて来ます。

西先生は、左右揺振を1日に、もしも1万回往復すれば、その日の内に若返り、顔は美化されるとも言われました。

1日に1万回は、到底でき得ないので、熱心に連続することです。ただし、この運動は、朝夕、500往復ずつを、2000回(3年間)続行すれば後はその必要なく、旅行などで疲れたり、背骨に副脱臼のできた時だけ、実行すれば良いのです。

そして寒中に屋外で裸体で実行して、鳥肌ができなくなるのが目標です。

健康と精神修養と、そして頭脳明快法に美容法と、吾人の欲する全ての事柄を包蔵した、この健康法を知らない人は、実に気の毒であり、また知っていても、実行しないのは残念な事です。

市井にて悟りを得る

西先生は「西医学を実行すれば、悟りを売るために、山奥にて修行する必要はない。市井において悟りを得ることができる」と言われました。

何とありがたいことでしょう。悟りを開く為に、各自が山奥に入ったならば、大切な家業は一体どうなることでしょうか?市井での悟りの方法には断食法、生食法、温冷浴、その他がありますが、運動法としては、この左右揺振が与っていると思います。

悟りを得るには、自律神経が拮抗し、酸、アルカリが中和した体でないといけないと言われます。

前記のように、自律神経が拮抗し、体液が中和する。この運動法を、希望を持って実行したいものです。

健康原理実践宝典や、家庭宝鑑中に、西医学の定義として「西医学とは、自然事物の哲学であり、科学であり、宗教であり、また技術でもある。すなわち、保健療養上の根本原理を把握し、常に、心身を一者となして、その均衡を保つ方法である」……と。

また次のようにも記載されてあります。

「西医学とは、心身一者たる健康の色沢、九官が完全であって、現在意識および潜在意識ともに、健全なる全機(生体として認められる事象複合が、常に全体として、自己同一性を示し、外界、内界の状況の変化に対応して、常に統一態を維持し、他から区別せられる事)を有することが、他人によって観測せられ、また自己によっても認識せられ、四肢は、対蹠的に均衡を備え、常に、粗食を美味と感ずる、一者たる心身をつくり上げる方法を言う」。

文中の九官とは、眼、耳、鼻、舌、身、意の六識に、阿頼耶識(奇魂であり、交感神経に当たる)、末那識(幸魂であり、副交感神経すなわち迷走神経に当たる)、に庵摩羅識(神直比魂)の三識を加えた物としてあります。

今までの悟りへの講演や本では、唯心的な説き方が多いようでしたが、西先生は、唯心的でなく、唯物的でなく、心身一者のご説明をしてくださいました。

悟りを開いた、と自他ともに許している偉い僧侶でも、胃潰瘍や、脳溢血で倒れたのでは、本当の悟りではないとも言われました。これこそ吾人の目標とする所です。これほど立派な説は他にないと信じます。

次にテトラパシー、第3巻より六神通の項を要約して転記いたしますと、

六神通は六通と同じ事で6つの通力、すなわち、自身また境界の変現自在なる力にして、栄華物語、玉台の「六通三明そなえたり」、とある六通の事でして、一代経律論釈法教法界次第の「一、天眼通、二、天耳通、三、知他心通、四、宿命通、五、身如意通、六、漏尽通」とあるのが、六大法則で得られる。

、平床上で寝ることは、天眼通に達することです。

天眼通とは、詳しく言えば、天眼智作証通ということで、天眼の神通力ということであり、またその神通力を有するもので、事物を洞見することのできる者とか、先見に明らかになる事などを全て天眼通と言います。

平床に寝て、静脈血管に収縮作用の働きが行われ、毛細血管は完全にその使命を全うするために、完全な循環が行われます。

外胚葉から発生した皮膚、この皮膚は元来眼です。そして神経などが平床では麻痺しない為に完全な頭脳の持主となって天眼通を備える能力もできるし、もしならなくとも、事物を洞見し、先見の明ができます。

、硬枕をして寝ることは、天耳通となる。

天耳通とは、詳しく言えば、天耳智作証通ということで、千里の遠きも、これを聞き得るの能力あるものに名付けたもので、要するに完全なる耳という意味です。

耳の故障は、頸椎第3、第4、第5などの、副脱臼が主でして、平床と硬枕で防止できます。そして、天耳通と言われる程の健全なる耳ができて来ます。

、金魚運動をすることにより、知他心通を備える力ができます。

知他心通とは、詳しくは、知他心智作証通であって、他人の心の中を見通す力を備えていることです。

それには、平床と硬枕で脊柱の後弯症、前弯症を治して、金魚運動で側弯症を治した人でないと、それだけの力はできて来ないのです。

、毛管運動によって、宿命通を得ることができます。

宿命通とは、詳しくは、宿住随念智作証通ということでして、自在に過去宿世の生存を知ることです。

それには、毛管運動によって、毛細血管現象を十分発揮させて、我々の身体の血液循環の不正循環を正常にすることです。それには、健康体であることでして、健康体の上に、さらに毛管運動によりまして、自分自身の過去の姿を、まざまざと見ることができるのであります。

、合掌合蹠と40分合掌法によりまして、身如意通の力を得ることができます。

身如意通とは、詳しくは、死生智作証明通ということで、自分は元より、他人の生死を知ることができまして、またその身体を思うままにする力の事です。

それには、平床、硬枕、金魚運動、毛管運動により、必要なれば、ローブリー式裸療法や七掛温冷浴湿布をして、本法を実行すれば、その力を得ることができます。ただし、半信半疑であれば、心身に作用する自律神経の拮抗作用も半減されます。

、左右揺振運動の実行によりまして、漏尽通を得ることができます。

漏尽通とは、詳しくは漏尽智作証通ということでして、自己の一切の煩悩を断ち切る智恵の事です。

それには、自律神経と、副交感神経が拮抗し、酸、アルカリが中和しなければ一切の煩悩を断ち切ることはできません。

しかし、それは達人、聖人でなければできないことですから、我々凡人は、平床の力を借り、硬枕の保護を受け、金魚運動をおこない、毛管運動によりまして、血液循環を正常にして、合掌合蹠や、40分間合掌行をおこない、さらに必要であれば、温冷浴、裸療法、断食法などの力を借りて、健康体をつくり、その健康体で、朝夕2回、脊柱と腹部とを同時に動かす運動をすれば、一切の煩悩を断つの精神を得ることができます。世紀の医聖、西先生にして初めて考え得られ、作り得られたこの運動法を希望をもって、忍耐をもって、不壊の健康体をつくり、悟りへの道を目指して、お互いに実おこないたしましょう。

以上によりまして、「左右の神経は揃っているか、いないか」の項を終えます。

血液循環の原動力は何か?

四大元基の中の、

一、脊柱は正しいか?否か?

一、左右の神経は正しいか?否か?の2つの項の大体を終えましたので、次に、

一、血液循環は良いか?否か?の項に移ります。

血液循環の良し、悪しを決めるのは、まずこの原動力を知る必要があります。

西紀、1628年に、英国皇帝の侍医であるウィリアム・ハーヴェーが、「血液循環の原動力は心臓である」と発表してから、今日まで330余年間、心臓原動力説が、遍く生理学界に承認せられまして、誰一人として疑問を抱く者がなくなりました。

西先生は、血液循環の原動力は心臓ではなく、それは単なる調節機関である。「タンク」又は、「サック」であるという医学の革命を発表されました。誰もが考えもしなかった、この偉大な学説の要旨を転記してみますと、

消防ポンプは吸入側から吐出側へ駆動する部分が、ポンプの主体である。吸入側には吸入管があって、水溜りに繋がり、吐出側には吐出管があって、その先は、ノッズルに繋がっております。吸入管は水溜りから、水を吸い取るのですから、吸入管内に真空ができます。

もし吸入管が吐出管のように柔らかい布ホースであれば、外から空気の圧力が掛かって潰れて、扁平になって、水は通らなくなります。

これを人間の循環系統に比べてみますと、動脈管は厚く、弾力がありまして、常にその形を保とう保とうとしておりますから、ポンプの吸入管の構造に相当します。静脈は軟らかい管ですから、ポンプの吐出管に相当します。

これから見て、人体の動脈管は、ポンプの吸入管でありまして、静脈管は吐出管とより、他は考えられません。

そうしますと、消防ポンプが吸入管から、吐出管へと駆動する接合部であり、原動力であるように、動脈管と静脈管の接合部にも原動力、すなわち、ポンプがあるはずです。

動脈管と静脈管の接合部は毛細血管ですから、この毛細血管が原動力、すなわちポンプとなるわけです。

もちろん、自然と人工の物とは違うという事も、一応は言えますが、現に動脈管が弾性を持つ筋肉組織で、常に円形を保とうとしているのは、何か理由があるはずです。

この理由は、毛細血管の吸引作用によりまして、管中の血液を吸引して、その中が真空をつくり、このために動脈管の潰れるのを防ぐための構造と作用を持っている、というより他には説明のしようがありません。

毛細血管が動脈側の血液を吸引しますから、動脈管は真空になって収縮します。収縮した動脈管が、その弾性で拡張するときに、左心室の血液を吸引する為、左心室が収縮します。左心室が、その心筋の弾力によって拡張するときに、左心房の血液を、左心室は吸引いたします。

このようにして、動脈管や心臓に拍動が起きます。

つまり、血液が周期的に通過するために、動脈や心臓が収縮したり、拡大したりするのが拍動です。

毛細管現象を検討する前に、水を満たした箱を置きまして、その中に3本のガラス管を立てます。

第1のガラス管の中に、直径2ないし5mmの砂を入れ、

第2のガラス管に、直径0.2ないし0.05mmの砂を入れ、

第3のガラス管に直径0.002ないし0.005mmの砂を入れます。

こうして水を張って置きますと、一昼夜にして、水は第1のガラス管は、水面よりは25mm高く上がり、第2のガラス管は、2000mm(2m)、第3のガラス管は、143mm、夫々水面より高くなります。

つまり、第2のガラス管が一番高く水を上げたということは、第2のガラス管内の砂の間隙が毛細管現象を起こす、最も良い条件というわけです。

第2のガラス管内の砂の直径は、0.02から0.005mmで、平均0.035mmですから、砂と砂の間で作る毛細管の直径は、0.0054mmでして、これは不思議にも動脈管と静脈管を繋ぐ、毛細血管の平均直径と全く同一なものです。

すなわち、毛細血管は、最も収縮した時は、直径0.002mmで、最も拡大した時は、0.009mmですから、平均しますと0.0055mmとなりまして、第2のガラス管内の砂の間にできた、毛細管の直径と等しくなります。

人体の毛細血管は、平均0.0055mmの直径ですから、水であれば2mの高さに吸引する力があるのです。

そしてこれは、200g/cm2の圧力に相当します。

血液が毛細血管を通過するためには、これだけの血液の圧力が必要であります。直径0.0055mmの毛細血管は、水柱の高さ、2mまで吸い上げることのできる能力がありますから、もしもこの毛細管現象がなく、吸い上げる力が零しますと、どうしてもこれに相当する力を外から加えなければなりません。

200g/cm2は、水銀柱では147mmに相当する圧力に相当します。

しかし実際には、毛細管の部分の血圧は、15ないし40mmですから、到底これだけの力は出すことができません。そこで、これは毛細管の毛管現象でなければなりません。

数十メートルの高さの樹木が、その頂点まで、樹液を吸い上げるのも、富士山の頂上に金明水や、銀明水が湧き出るのも、毛細管現象によるものでありますし、卑近な例では、吸い取り紙がインクを吸い取るのも、木綿などが水に浸った場所より広く濡れるのも、毛細管現象によるものです。

心臓原動力説に対する反証

血液循環の原動力は、心臓のポンプ作用ではない。つまり、心臓の収縮力に依るのではなくて、毛細血管の毛細管作用(その根元は真空の力ということになる)、すなわち、毛細血管の吸引力であるということについて、大要五十二の証明があります由ですが、そのうち二十三種発表せられておりますので、

西先生のそのままを転記いたします。

第一 人間でも犬猫のような動物でも、病気とか怪我をした場合には、食欲不振に陥るのが自然現象である。

第二 食物の摂取を断てば、血液中の炭酸とか、ヒスタミンとか、コリンとか言う様な老廃物質が過剰となる為、静脈管は少しも早く斯くのごとき不浄の血液を心臓に輸送し様として、収縮作用を旺盛ならしめる。

したがって小静脈管と毛細血管との接合部に真空が出現する。その真空を満たさんとして動脈側から血液を吸引して静脈側に移す。この作用が毛管作用であって、これが血液循環の原動力に他ならない。

第三 各細胞は生命があって、清浄にして完全なる血液をその必要に応じ、自主的に要求している。

第四 細胞には、その周囲を循環する血液から、栄養素を摂取する能動性がある。血液が何らかの毒物を含有しているとか、細菌が付着している場合には、細胞はその血液を拒否する為、毛細血管を収縮せしめる。その一時的の調節は神経、血管球に依って、血液循環を支障なくおこなうとも、結局は食欲不振に陥るのである。

第五 血液は、その個人の性格と肉体とを造るものである。故に血液は、細胞がそれを拒み、毛細管は収縮して、その吸引作用が鈍くなるが故に、脈拍も弱くなり、強さも落ちるのである。故に心臓に自働力が有って、各細胞の状況に無関心に血液を輸送し供給する役目を果たす物と断定することは、不合理である。血液はその要求する部分に重点的に配給される物と考えねばならぬ。

第六 心臓を持たない動物の血液循環は、何に依って行われるか。循環していることは確実である。これをどう説明するか。毛細管原動力以外に説明の方法はないであろう。

第七 下等動物の動脈管と静脈管とは、細胞中に開口している物もある。

第八 妊娠の場合、母体より胎児への血液循環を如何に説明するか。もし母体が妊娠以前より、心臓の弱い人であればますます心臓は過労に陥るわけである。それが双子であったり、三つ子であったりする場合はどうか。

第九 水の4.5倍の粘着力の有る血液が握り拳大の心臓の4分の1である左心室の収縮力に依って、1mmの1000分の5.5すなわち5.5μの直径を有する数十億の毛細血管を通して、11秒間で押し出されていると信じられているが、如何なる水力学的説明ができるか。

第十 慢性の疾病で死んだ人、及びチフスとか、インフルエンザ、ジフテリアなどの急性伝染病で死んだ人の屍体を解剖すれば、心臓の左心室は拡大しており、その中には血液が充満されている。然るに打撲傷を受けたり、脳溢血、腸閉塞のごとき疾患で急死した人の心臓の左心室は、収縮して血液の無いのは如何に解釈すべきか。

第十一 心臓には自働力が有って、これを切り離しても、その処置が適当であれば、若干時間その固有の収縮拡大運動を続けているという。走りつつある電車は、途中で電気を切っても走るものであって、これは惰力に因るものである。同様に動脈を切った場合、血液の噴出するのは慣性であって、何らいわゆる心臓の自働と考える必要はない。

第十二 受胎後、26日目位にして胎児の心臓の形は漸くS字状を呈し、6週間目にして形状は不完全ながらもやや整うてくる。しかし、それが胎児自身の血液を循環せしめる原動力とみることはできない。胎児の静脈の収縮、動脈の拡大によって毛管作用の起こることがわかれば、全て解釈が付く。

第十三 動脈管は、構造上ならびに神経分布の上からみても、拡大することが本来の性質であることがわかる。

第十四 静脈管は、構造上ならびに神経の分布上よりみて、本来の職能は収縮することにありということがわかる。

第十五 蛙の舌、水掻きなどの毛細血管を顕微鏡の視野にみるとき、血球の行動はあたかも道に迷った二十日鼠が、右往左往するがごとくであって、心臓の圧力で通っているようにはみえない。

これをもってしても、心臓および動脈管の収縮力によって、血液が輸送されているもので無い事がわかる。

第十六 脈管抵抗の理論上、心臓はポンプに非ずして、血液の適量輸送に応ぜしめるタンク、あるいはサックの役目をしていると想像するのが最も論理的である。

第十七 心臓がポンプに非ずして弾力性あるタンク、あるいはサックとすれば、将来の医術は破損した心臓を健康なる心臓と交換する手術を可能にするに至るであろう。

第十八 断食が、ほとんど万病に効果のあるということは、要するに数十億の毛細血管と、小静脈との接合部に真空が出現するからである。この真空がすべての原動力でえある。すなわち飢えることが、精神的にも肉体的にも全ての力の源泉であって、心臓は原動力ではない。数十億の毛細血管は、真空によって惹起された毛管現象によって、動脈から血液を引き出すが故に、動脈が収縮するのである。弾性に富んだ動脈は、その拡大と同時に左心室の血液を動脈内に吸入する。そこで血液のなくなった左心室は収縮するのである。収縮した左心室は、その心筋の弾性によって拡大するとき、左心房から血液を取り入れる。これが心臓の鼓動であり、また動脈管の脈拍であることは、既に述べた通りである。近代医学の非常な誤りは、左心室の収縮によって、血液が押し出されると主張するところにある。私はここに血液循環の原動力は、毛細血管の真空力に惹起された毛細血管現象にあるということを、さらに指摘し強調しておきたい。

第十九 動物は、生まれながらにして飢えている。これが生物学上の真理である。栄養を欲求することは、我々の本能である。

飢えの感覚は、我々を生成発展に導く自然の最初の用意の一つである。飢えは、我々を進歩に、犯罪に、戦争に、殺人に、自殺に、ないし共食いに、しかしてあらゆる人生活動に導く物である。飢えこそは、実に全ての原動力である。人間の発達も文化の進展も、飢えなくしては望む事はできない。

第二十 飢えすなわち断食が、万病の予防と治療の最良法だと言って、ただ空腹にさえすれば、健康になれると早合点してはならない。飢えの適当なる導き方こそ肝要である。これが、西医学健康法に西式科学的断食療法のある所以である。日本の古語に「飢えたる者に飯を食わせてはならぬ。必ず粥を与えよ」とある。その理由は、腸閉塞の防止にある。

第二十一 西医学健康法の根本原理は、心臓をもって、血液循環の原動力であるという従来の説を排し、全身に隈なく分布されている毛細血管━我々肉体の1立方インチに百三、四十万本分布されている毛細血管の毛管作用に、その原動力ありと主張するのである。

今ここに血液循環の概要をみるに、左心室を出でた大動脈は2つに分かれて、上行する物は頭部および上肢の毛細血管を通過して夫々の静脈に入って右心房に帰る。下行する動脈はまた2つに分かれて1つは肝臓毛細血管に入る。他の1つは、叉2つに分かれて1つは消化器の毛細血管に入り、これは門脈に集まって、また肝臓の毛細血管に入り、先に肝臓に入った物と一緒に集まって肝静脈となって上行大静脈に入る。

さらに、下行する大動脈は、叉2つに分かれ、その1つは腎臓に入って、腎静脈に集まり、上行大静脈に入る。下行する大動脈は叉2つに分かれて下肢に循環して、下肢静脈に集まり、上行静脈に合して、右心房に帰る。

右心房に帰った静脈血は、右心室に吸引せられ、これから肺動脈を経て肺胞の毛細血管に入り、ここにて酸素を得た清浄なる血液は肺静脈を経て左心房に入り、これより左心室に吸引せられて、上記の循環を繰り返すのである。

この循環過程において、消化器、門静脈、肝臓の循環は、2つの毛細血管を通過する。左心室の1拍によってこの2つの毛細管網とあまりの毛細管網とを通過する物と考えることは、不合理である。これが、全て毛細管の吸引力によって動脈管から血液を吸引し、これを小静脈に送り、ここよりは静脈の収縮作用と、静脈弁の逆流阻止作用によって、順次血液を右心房に帰す物とするときは、二重の毛細管網の通過にも何らの矛盾なく、全身の血液循環が説明せられる。

第二十二 心臓以外の人体の各器官の機能を促進する物は、全て迷走神経である。たとえば、腸の蠕動運動を促進したり、膵臓の内分泌を促進したりする神経は、迷走神経が司り、これに反するそうした運動や、機能を抑止する働きは、全て交感神経がこれを司るのである。

今この2つの相反する神経の機能を、心臓に当てはめてみるとき、正にそれが、正反対であることがわかる。すなわち従来の血液循環論の主張によれば、交感神経は心臓の機能を促進し、迷走神経はその促進された機能に拮抗するというのである。そしてなぜ心臓の自律神経支配だけが正反対であるかは、誠に不思議であると現代医学者は言っている。

換言すれば、この2つの神経系統の心臓に対する作用は、身体の他のあらゆる器官に対するそれと、正反対である。何故こうした差異があるか。この外見的矛盾は、私の血液循環の新見解をもってすれば、直ちに氷解されるのである。

血液循環の機構を理解するためには、まず血管の構造と機能とを了解する必要がある。すなわち動脈は、血液を受け入れるとき拡がる性質を持っており、静脈は血液が入ってくると収縮する性質を持っている。もしも、動脈が血液が入ってくるとき、収縮するならば、その血液の進入を拒否することになり、また静脈が、血液が入って来たときに拡張するならば、血液は静脈管内に停滞するであろう。したがって斯くのごとき脈管の性質では、血液は循環することはない。

動脈管は、血液が入ってくると拡大するから、その血管の収容力はますます大きくなり、血液はこれに充満する。この充満した血液は、毛細血管の吸引作用で吸入せられて、毛細管を通過する間に細胞の新陳代謝を終え静脈の方へ送られるのである。静脈管にこの新陳代謝を終えて不浄となった血液が入ってくると、静脈管は少しも早くこれを排除し様として、収縮するから、血液は押し流されるが、静脈弁の作用で逆流が阻止されているから、血液は、毛細管の方から心臓の方へ順次還流するのである。すなわち動脈は拡大することがその本来の性質であり、静脈は収縮することが本来の性質である。

この本来の性質である動脈管の拡大と静脈管の収縮とが、血液循環を促進することであり、その原動力は心臓の収縮力にあるのではなくして、毛細血管の吸引力、すなわち毛管作用にありとするのが、私の血液循環の新見解である。斯く考えると、心室や動脈を拡大させる機能を持つ迷走神経は、その機能を促進し、それに拮抗する作用をなす交感神経は、これを反対に抑制する物とすれば、何らの矛盾もなく、余の全身の迷走神経と交感神経とその作用が一致するのである。

第二十三 毛細血管付近の細胞が栄養を要求しないときには、その細胞は収縮する。収縮すると中から毒素が出て来て、その毒素によって毛細管を細くしてしまう。すると今まで通っていた血液は向こうに行く事ができなくなるので、毛細血管より手前にある特別の管を通って静脈の中に入る。この装置を神経血管球(les glomus neuro-vasculaires)という。この動静脈吻合は、フランスのリアリ・リアリス(Lealis-Leails)が西紀1707年に、精系動脈と精系静脈との間に見出したのが最初である。強心剤を注射して心臓にポンプ作用を起こさせても直ぐに死なぬのは、血液が毛細血管を経ずに、応急迂回路たる神経血管球を通って抜けるからである。勃起器官が六官の刺激によって充血したり、口唇の血管が熱い物に触れて充血し、冷たいもので貧血するのに、一々心臓が調節を取ってはいない。

毛細血管原動力説

血液が静脈管内に入りますと、静脈管は、直ちに収縮して血液を次に輸送する。そのときに、毛細血管側は真空となります。この真空が毛細血管の動脈血を吸引する力となるのです。

その上に各細胞は生命がありますから、清浄にして完全な血液を求めます。各細胞の生命力は毛細血管の吸引力を必要としますので、毛細血管を適当に収縮させたり、拡大させることによりまして、血液を適当に循環させております。

つまり、身体中の或る器官が主として働いているときは、そこに余分の血液が必要ですから、その部分の毛細血管は適当に拡大して、十分に活動を起こして、必要なだけの血液を吸引します。

反対にあまり働かない時の器官の毛細血管は、収縮して、血液の吸引力を少なくして、その部分を少し貧血状態とし、必要な所へ多く送ります。

たとえば、食後間もなくは、その消化作用を促進さす為に、胃の方へ血液を引っ張りますから、他の場所である脳髄などは、貧血に近い状態となるので、眠気を催したり、思考が鈍ったりします。

病気の原因

毒物や、細菌が身体に入ったり、過食したり、疲労しすぎたときには、血液が汚染されますので、ほとんど全身の細胞が、こんな不純な血液を欲しませんから、拒否します。細胞が拒否しますと、毛細血管は収縮しますので、神経血管球は直ちに活動して、血液を臨時に通しますが、結局は食欲不振となり、脈拍は微弱になって疾病症状となります。また或るときは、血液がたくさんな細菌や毒物のために汚染した時は、自律神経は温中枢を刺激して発熱し、血液の循環を盛んにして消毒作用をおこないます。

このときは、毛細血管は拡大して、血液循環がよくなり、毛細血管の周期的な吸引力も盛んになりますから、心臓の鼓動も脈拍も増して来ます。

もし、我々が厚着の習慣を付けますと、皮膚の機能は鈍くなり、皮膚に近い所にある静脈管が膨張しますから、収縮したり、拡大したりする働きが減少して、血液は静脈内に停滞します。

これは「流水腐らず」の反対の停滞ですから、細菌が繁殖するのは当然でしょう。

静脈管が膨張して、血液が停滞しますと、心臓に帰って行く血液が少量となりますので、血液循環は悪くなり又、そのために呼吸による酸素の量が少なく、血液は浄化されません。

この状態になりますと、風邪を引いたり、各種の病気になるのは当然です。

こうして静脈を拡大したままにして血液が静脈内にたくさんあって動脈内に少なくならないように、静脈は本来の使命の通りに、収縮させて置かねばなりません。それのためには厚着、熱湯、長湯などをやめて、温冷浴、薄着、裸療法などで皮膚機能を整えて、血管の働きを正常としないといけません。近年の暖房設備の発展は、私達の健康を脅かす物です。暖房設備の中で働く人達は、特に裸療法や、温冷浴を実施して、その日その日の成算をすべきでしょう。

こうして静脈を拡大したままにして血液が静脈内にたくさんあって動脈内に少なくならないように、静脈は本来の使命の通りに、収縮させて置かねばなりません。それのためには厚着、熱湯、長湯などをやめて、温冷浴、薄着、裸療法などで皮膚機能を整えて、血管の働きを正常としないといけません。近年の暖房設備の発展は、私達の健康を脅かす物です。暖房設備の中で働く人達は、特に裸療法や、温冷浴を実施して、その日その日の成算をすべきでしょう。

毛細血管原動力学説の数学的証明

前月心臓が血液循環の原動力で無い事を連記しましたが、次に、これについての西先生の数学的計算による証明法を転記します。

小動脈管と小静脈管とを繋いでいる毛細血管の直径は、一番収縮した時は、0.002mmであって、また最も拡大した時は、0.009mmです。これを平均しますと、0.055mmとなります。1分間に心臓から流出する血液の量は、凡そ4ℓです。4ℓの血液が、0.009mmの管を抜けて行くには、全身の毛細血管51億本中の約21億本働けば足ります。さらに、毛細血管の平均直径を仮に、0.006mmとするとき、この面積は、0.006を自乗してこれに円周率を掛け、これを4で割ります。これに毛細管の長さ、0.67mmないし1.66mmを平均して1mmとします。

さらに、21億本と、脈拍は1分間に72回打つとしまして、これらを掛け合わせて、これを、1000000で割りますと、

すなわち、4.275ℓとなります。

この数字は、毛細血管が1分間に心臓から送り出すと考えられている、血液の量とほとんど同じです。

心臓はポンプか?タンクか?

心臓がポンプであると仮定しまして、これが、血液を輸送している物としますと、心臓の力は、重さ18万ポンド(90メートルトン)の圧力に等しいということを、イタリアの物理学者ジョヴァンニ・アルフォンス・ボレリが、今から260余年前に書いた「動物の運動について」という書物に示してあり、またスコットランドの医者で、ジェームス・キールは、「動物と人間との体内における血液量および、筋肉運動について」と題する著書を、今から230余年前に発表し、その中に、「心臓の力は16オンス、すなわち1ポンドを出ない」と算定しております。

このボレリとキールとの説は、心臓の力に対する両極端の説であります。もしも、心臓が毛細血管の抵抗に打ち勝って、血液を全身に循環させている物としますと、心臓の力は数百馬力に相当しなければならないのです。また血液が、毛細血管によって、吸引されているという説をとりますと、心臓にはほとんど力がないということになって、この両学者の説は、どちらも、その仮説のとり方(すなわち、心臓原動力と毛細血管網原動力)によって、両極端の結論が出た物です。

僅か、本人の拳固大の心臓の中の、而もその4分の1の左心室が数百馬力の能力を持っているとは考えられません。そうしますと、血液循環の原動力は、心臓以外にあると考えなくてはなりません。

私(西先生)は、これらの説明によりまして、血液循環の原動力は、動脈管と静脈管を連結して全身に分布させている51億本ありと言われる、毛細血管に原動力があると考えまして、キールの説が正しいと信じます。

すなわち、毛細血管が吸引して血液を循環させているのであるから、心臓にはほとんど押す力はなくてもよろしく、心臓は血液循環を全身の活動と、生理との両方の条件に適合させる為の調節機関です。

すなわち「タンク」もしくは「サック」であると考えますと、その存在の意義が正当づけられるのであります。

結論

心臓が血液循環の原動力でなくて、単なる調節機関である「タンク」又は「サック」であって、毛細血管が原動力となりますと、ゲルトネル氏現象を応用した、四肢を上に挙げた毛管運動によってt静脈血を、右心房に返し、微振動によって、四肢の毛細血管を刺激して、その機能を増進して、正常なる血液循環をさせなくてはなりません。

政治と血液循環

血液循環が身体各部の要求により、毛細血管の原動力にあるという事と、また静脈管内の血液の環流を促進させないと、健康が保てないということを、具体的に現実の世相に当てはめて解説してみます。(ただし西先生の御意図と相違してはいないかと心配しつつ)

1、政府は政治をおこないます。命令を出します。しかし総理大臣以下各閣僚は決して天下りのものではなく、一億国民の有権者の一人一人の投票によりまして、衆議院議員や、参議院議員を選出して、その人々の中から選ばれて、総理大臣が決定し、閣僚は総理大臣が決定した物で、国民の要求の反映であることは申し上げる迄もございません。良い政治家を出すのは、国民の義務であり、また権利でもあります。貧困なる政治であるとしますと、それは国民の知恵か物質の貧困です。国民の一人一人が、しっかりしておりますと、立派な政府ができるのは当然でしょう。政治は、国民の状態によって、左右されます。国民の状態によって、そうしなくてはならないから、その場に応じた政治をするのが、政府でありまして、政府を操る物は実は国民です。

政府はまた対外的にも、国内全体を見て、政治をする調節所です。

近頃では、県庁や、市町村役所の吏員の方々を公僕と言いますが、実に当を得た言葉だと思います。

政府を心臓と見て、国民の一人一人が細胞であり、家族や各団体が毛細血管?ともなるでしょうか。

国民の要求による政治「在権主民」が民主主義でしょう。

生産会社と心臓

1、会社で品物を製造します。製品があるから、市、町村民が使うのではありますが、要求がありまして、初めて製造ができ、販売できて、会社がたっていきます。幾ら製造しましても、市、町村民の要求と一致しない物、また一致しましても過剰製品の場合には、現今のように倒産するのは当然でしょう。

「適者生存」という言葉がありますが、市、町村民の要求する品物を適当な数量だけを、上手に作る会社こそ、「適者生存」の枠に入って倒産から逃れて、ますます隆盛になることでしょう。

生産会社は心臓と見て、市、町村民は細胞であり、毛細血管と見ては、いかがでしょうか?

販売と静脈血

1、商事会社や一商店がありまして、品物はどしどし売りましたが、掛け売りとなりまして、一向に金銭を支払ってくれません。そこで問屋やメーカーから仕入れることができなくなりますので、倒産しなくてはなりません。この場合品物は動脈系に例えまして、金銭の支払いは静脈に例えますと、いかがでしょうか?

静脈管内の血液の環流が遅れると、こんな事になるのではないでしょうか?

銀行と動静脈血

1、金融引き締めで銀行はなかなか貸し付けをしてくれません。幾ら威張っても銀行は、市、町村民の単なる金融の調節所でしょう。借り手がなくても困るでしょう。また貸し付けた金が期限内に戻らなかったり、預金者がなくて、借り入れ、希望者が多いと調節は崩れるでしょう。良質なお客と貸し付けと預金のバランスこそ銀行を大きくも、小さくもするものです。

お客は毛細血管でありますし、貸し付けは、動脈管内の血管ですし、預金と戻し金は静脈血です。

学校生徒と細胞と毛細血管

1、学校の先生が、一所懸命になって生徒に学問を授けましても、生徒の頭に消化吸収できないほどの難しさや、数多いときは、無駄であり、時には生徒はノイローゼとなって、害になるかも知れません。

細胞と毛細血管を生徒に例えると、先生は相手を見て、調節した授業が必要でしょう。試験をしてみまして、静脈血に相当?する答案は100%でなくて低い点です。

以上のように、たくさんの例を羅列しましたが、孰れも適切ではありませんが、末梢の要求による中央の調節と、収支のバランスの必要は至るところに見受けられます。

小さくは、各家庭ですら、小学生と、高校生と大学生とでは、主婦の出す小遣銭の金額は違い、これまた収入と、支出のバランスを調整することが当然必要な事でしょう。

しかしこれを人体に当てはめて、しかもその回復法を指示された、西医学の偉大さをもう一度研究いたしましょう。

毛管運動

毛細血管の機能を正常にし、静脈管内血液の環流を良くする方法には、記述の裸療法、温冷浴、合掌合蹠、その他各種の方法がありますが、運動法としましては、毛管運動が第一です。

毛管運動は正式には毛細管現象発現運動と言いますが、長い名前ですから、省略して毛管運動と呼んでいます。毛管運動は西医学の根本原理をなしている所の、既述のごとく、「血液循環の原動力は、毛細血管網にあり」という学説に、基礎を置いてあります。人間は直立するようになってから、血液循環は、足の方は手よりも1分間も遅れますので、このために血液は、心臓において、攪乱せられて、正しい血液循環ができないのです。この欠点を除き、鬱血を防ぎ、全身の血液循環を促進させ、グローミュー(後述す)の活動と再生を促し、老衰を防ぐのがこの毛管運動です。

方法

まず仰臥しまして、枕を頸部に当て、手足をなるべく垂直に高く伸ばして、足裏をできるだけ平らにして、手指は軽く離して伸ばした状態で、両足の間隔は肩の幅と同じで、手と足を微動すること1,2分間、朝夕1回ずつ実おこないたします。

注意

、毛管運動実行のときは、腰と背を伸ばしまして、ヒップを上げないようにします。初めの内は、ヒップの下に座布団か、毛布を折り曲げて敷いてもよろしいが、少し馴れたら除きます。

、毛管運動のときに木枕をして顎の出る方は後頭部に当てるとよろしい。

、血液は脊柱と骨髄でできるから、(腸でできるという新説もありますが)大腿部と、上膊部を振動さすとよろしいと言われます。

、膝裏を伸ばし、薔薇静脈を振動させると、若返ると言われます。このためには、初め膝を曲げて伸ばさず床面から膝を伸ばしたまま上に挙げますとよく伸びます。

、腰の所で直角に曲がりましても、膝が曲がっているよりは(イ図)脚が垂直にならなくても、これ以上、脚を上げますと膝が曲がるという位置(ロ図)でおこないますと、腹筋が強くなります。大抵そのときに、腹筋に力が特に入る場所に、腸麻痺が多いようです。もちろん、馴れるにしたがって膝を伸ばしたまま、脚が垂直となるように努力が必要です。

、ロ図の姿勢から、膝を伸ばしたまま、徐々に脚を下ろして、正に腰椎が浮き上がろうとする場所で毛管して後、また徐々に脚を床面に下ろして、直ちに金魚運動を致しますと、腸麻痺に関係しました胸椎や腰椎の副脱臼が取れ易いのです。そしてまた正式の毛管運動を続いてして頂きます。

、1、2分間、朝夕1回ずつの実行は健康者の健康保持の為の方法で、病弱者は病状によりまして、時間を延ばしたり、回数を増加させます。

、本人ができ得ないときは、健康機でおこなうか、または、他の人が踵に手を添えて、微振動をしてやります。

、胃の悪いときは、人差指を伸ばしたままでなるべく力を抜いて、手首に意識を持ってくるようにし、腎臓故障のときには、中指を伸ばして、なるべく力を抜き、肘の親指側に意識を持って行き、心臓故障のときは、前胸部の腕の付根の所をなるべく力を抜くようにすると胸椎2、3番に意識が行きまして、特に効果があるようでした。胸椎7番の斉整のときは、中指の力を抜き前胸部に意識を持って行くとよろしい。ただし初めの約10秒間位で、後は普通に致します。

、前項の時、他の人が毛管しましたり、健康機などの機械でおこなう時は、逆に力を抜く所に意識を持っていきます。自分の時と他人がしたり、機械の時のような他力のときは、違う場合がたくさんあります。

たとえば、自分で金魚運動をおこなう時は、腰と肩が主で、脚の動きは従となりますが、他力のときは、脚が主で、腰と肩が従となって動きます。他力と自力はどちらも必要と思います。

十一、普通の場合は金魚運動の後に、毛管運動をおこないます。消化器の障害のときにはそのままでよろしいが、循環器系統の障害のときには、毛管運動を行った後に金魚運動をおこないます。

十二、毛管運動のときは、左右の手足は交互に動きます。

意識して左右を揃えてはいけません。無意識に振るか、または意識するならば、左右を交互と致します。

十三、自力でする毛管運動のときに、3、40秒間で下へ降ろす方がございますが、これから本当の効果が出るという時に、降ろすのは残念な事です。少なくとも、1分間は頑張ってください。

万病を予防し、治癒に有効

毛管運動によりまして、手足の静脈弁は正常となり、手足の静脈管内の血液は、重力と微振動とにより、心臓に帰り、肺に行って浄化されまして、酸素と栄養とを、たくさん含む動脈血となって、全身の各器官に吸引されていきます。この血液循環と新陳代謝が、生理的に活発に行われるようになり、鬱血や血液の停滞が除かれますから、内臓ならびに、循環系統の諸病を予防し、治癒いたします。

たとえば、呼吸器病と毛管運動とは、どんな関係があるかと申しますと、呼吸器が弱いということは、ビタミンCや、Aが不足でありましたり、脚の故障や宿便と関係がありますが、ここで一応血液循環のみを取り上げますと、「流水腐らず」の言葉とは逆に、肺に結核菌が付いたということは、肺の血液循環が十分で無かったと考えられます。肺の血液循環の不十分なのは、左心房が十分に血液を引っ張らなかったのは、左心室が十分引っ張らなかったからであり、左心室の不完全は、毛細血管が十分血液を引っ張らなかったからであるという。

西医学の原理から見まして、毛細血管の働きを正常にして、静脈血の環流を良くする方法であります所の、毛管運動が必要であります。

また毛管運動は、皮膚の表面の傷を治し、その生理的機能を盛んにしますから、寄生虫や細菌類の皮膚からの侵入を予防します。農家の方が、裸足で田に入り作業しているときに、十二指腸の幼虫、その他が足の皮膚から入ることがあるそうですが、朝夕の毛管運動でそれらを予防できるのです。

健康と美容にも

日常、姿勢が悪く、または内臓の病気のために、横向きに寝る習慣のある人は、血液が手足の先まで行き難く、足の先や、手の先に麻痺を起こすことが多く、そしてこれが、リウマチの温床となり、心臓内膜炎、壊血病、血友病などを起こすようにもなります。毛管運動をすれば、手足の麻痺が取れます。したがって血液の循環が盛んになって、だんだん病気が治っていきます。また幸い、これらの病気に罹っていない人も、毛管運動を行っておりますと、冬になって踵が冷えたり、凍傷や、皸になることもなく、年を取って、手の甲に黒い斑点もできませんし、大根足(失礼)も適当の太さになり、手足の静脈の怒張もできませんし、指の節くれ立っているのも、次第に治っていきます。右手を毛管し、左手をしないで、約1分間の後に両手を比較してみてください。毛管をした右手は、左手より如何に美しいかがわかります。

高血圧にも

先進国アメリカでは、心臓病と、高血圧で悩んでいると聞いていますが、我が国も食糧事情がよくなりまして、粒々苦心して築いた自分の地位も、今では高血圧に、脅かされまして、自己の仕事も手に付かず、悩んでいる人の如何に多いかに驚かされます。生野菜食、温冷浴、生の清水、柿茶に加えて、この毛管運動は実に驚くべき効果を現します。寒いからと横着を言わないで、せめてこの毛管運動だけでも、朝夕欠かさないで実行したいものです。

扇型運動

「足は万病の基」と言われまして、この毛管運動は、足を治すに最適ですが、その前に足先の扇型運動と、上下運動を行えば、なお一層効果が上がります。

扇型運動は、足先、足指の付近の部分の炎症(モールトン氏病)を治す際に用いる方法です。

図のように、足の土踏まず以上の部分へ、横の振動を与えて(ちょうど扇子のように)、この部分の痛みや、水腫を取りまして、左右の足を平等に揃えます。

たとえば右足の場合には、仰臥して両脚を上げ、右手で、右脚の脛の下部を外から握り、肘で膝を抱くようにして、左手をもって、踵を摘み、両手の調子によって、足先を左右に約1分30秒間振り動かします。

扇型運動をする足は、鼻先の曲がった側であり、第2趾と第3趾(中指と薬指)の付根の痛い方であり、また膝の圧痛のある側です。

上下運動

足の踝の部分の炎症(ソーレル氏病)を取る方法です。図のように、足首の部分を上下に振動させて、足首の痛みを除き、左右の足を平等に揃える方法です。

たとえば、左足のときには、左手をもって脛の下部を握り、これに右手を持ち添えて、足先を上下に振り動かすこと1分30秒、この上下運動は、扇型運動の反対側の足です。

扇型運動、上下運動をおこないますと、左右の神経も良く揃います。

円運動

毛管をした後に足先の円運動や馬の字運動をおこないますと、踵部の関節を円滑柔軟にしその機能を正常にします。

円運動は、毛管運動をした後に、手足を垂直に上げたまま、踵の部分を動かさないようにし、親指で円を描く気持ちで、外回り30回、内回り15回ずつぐらい回しまして、その後で、またちょっと毛管運動をやっておきます。これは手足を同時にやるとよろしい。

なるべく、大きな円を描くようにし、三角や、歪な円にならないようにします。この運動は静的姿勢の安定に効果があります。

馬の字運動

馬の字運動は、同じく毛管運動をした後に、手足を上げたまま、足首と手首を軸として、初めに3本横棒を描き、次に を描き、点を4つ左から打ち、最後に真ん中の縦棒を描くのです。書道の書き方とは、順序が違います。

これは、手足を同時に向かい合った馬と を続けて3回描きまして、その後で毛管運動を又します。

この運動法は、血管運転と心臓運転と、腎臓運転の3つを兼ねた物です。

いろいろな毛管運動

一、関節の毛管運動

a 膝の毛管運動=膝に故障のあるときには、膝から足先までの荷重が膝に掛かりますから、なかなか良くなりません。

図のように、バネか、ゴム紐で吊って、上下の関節軟骨を引き離すようにして毛管をします。吊り紐は臀部が持ち上がらぬ位の物を使用します。膝の伸びない人は、初めは徐々に伸ばして、後には垂直となるようにします。

b 足の関節、あるいは舟状骨関節の毛管運動=足の関節や、舟状骨の関節に故障のある場合には、図のような足枠(直角になっている2枚の板をとめる細い桟を付ける)を作って、足に当て、足の各部分が、ばらばらに動かぬようにして毛管をします。

足の関節および舟状骨関節の故障は、なかなか厄介ですから、特に注意しないといけません。

この方法は偏平足にも効果があります。

二、指の毛管運動

瘭疽の場合

指と指との間に綿か布かを入れまして、指と指とが直接に接触しないようにして毛管運動をします。ただし、薬指と人差指と中指とは、単に振れば治りますが、しかし振ると痛みますから、我慢して相当強く振らねばなりません。親指と小指の場合には手首に炎症を起こさない為に、手首がぐらつかぬように振ります。

そのために、手首に枠(たとえば杓子を裏と表の両面から当て、上下2ヶ所しばります)をはめておこないます。

杓子を2枚使用するときには、新しい杓子より、使った古いのがよろしい。使ったのは熱いご飯と水で、温冷浴をしています。つまり、角が取れて軟らかくなって、角が擦れてないからです。

各種の瘭疽の治る期間の程度は、もしも枠を使用しない場合は、薬指1、人差指2、中指3、親指および小指10の割合で係数の多い程、治り難いのですが、しっかしりた枠を使用しますと、薬指と同じ程度で良くなります。

瘭疽は1日合計(その手だけで結構です)8時間以上毛管しますと治ります。ただし1回は2時間以内にしてください。

瘭疽が毛管で治らなかった例

瘭疽は1日に8時間以上毛管すれば治ると聞いていた。岡山映画館の切符受け取り係の婦人が、幾ら振っても治らないと、電話で言って来られました。行ってみますと、切符を良い方の手で受け取りながら、肘を曲げて(肘は心臓より下になっていました)盛んに毛管をしていました。これはなるべく人目に付かないようにする為ですが、こんな方法ではいけません。肘を伸ばすのです。瘭疽になるような人は、糖尿体質ですから、糖分や酒などはご遠慮ください。

瘭疽のときに、40分合掌行をした事のある他の人か、または自分の良い方の手を毛管運動をして、患部へ、その手を近づけますと、痛みがますます激しくなるときは、病気は上り坂であり、次第に軽く感じられるときは下り坂か、または治癒が近いのです。

指の怪我の場合

各指の間を傷つけた時も、指間に綿か布を入れないと、傷口が他の指に当たってなかなか治りません。

毛管の度毎に傷口が、パクついたり離れたりするような方向での毛管は良くありません。たとえば指の掌側を縦に傷つけたときに、親指と小指側に毛管しますと、傷口がパクパクとなりますので、これと直角に振ります。このときは肩の付根から振る気持ちです。

手相も変わる

親指の付根の金星丘の低い人は、胃腸系が弱く、小指側の月丘の低い人は神経系統が弱いのです。

金星丘の低い人は手首を少し曲げて外に強く振るようにしますと、手相がよくなり、また消化系統や神経系統も丈夫になります。

三、霧吹毛管

図の(イ)の管から吹き込まれた空気は(ロ)の管の空気を上に挙げますと、水はそれに連れて、(ロ)の管の上に挙がります。上に挙がった水は、(イ)の管の空気で霧となって前に飛びます。

この原理の応用が霧吹毛管で、咽喉に炎症のある場合は、霧吹毛管運動によって、咽喉の血液循環を促して治します。

まず座るか、または椅子に腰掛けて、次の運動をします。最初に手を上に挙げて毛管運動をすること1分15秒(血液の体内を約3周する時間)、次に手を降ろして1分間休みます。そしてまた手を上に挙げて毛管運動をすること1分15秒、下に降ろして休むこと1分間、これを11回以上、だいたい15回くらい繰り返します。

扁桃腺炎で唾を飲み込むのが痛い人が、これを一通りしますと、痛みは半減します。この場合に、背を伸ばし、顎を引き、両手は肘を押して腕は耳の後ろに来る気持ちで振ってください。尚、咽喉部に冷湿布をします。

扁桃腺炎、喉頭結核、声の嗄れたときに効果があります。椅子に腰掛けた時は、椅子に浅く座り、両膝を伸ばし、足先を顔の方へ曲げて、膝裏を伸ばしておこなうとよく効きます。

四、半毛管運動

適当な高さの枕をして横臥します。右半身と左半身の中で弱い側、すなわち神経の発達程度や、筋肉や、機能作用の弱い方を上にして横臥し、上側の手と足を各30度上げて毛管運動をします。これを半毛管と言います。40分合掌行をした事のある敏感な人が、頭の左右に、掌を近づけてみますと、左右のどちらかが、余計に暖かく感じるときは、その反対側の半毛管をします。そうすると半毛管をした反対側の頭と、頭の側の腸は次第に正常になります。つまり頭の熱く感じられる側の腸に故障がありますから、半毛管で頭の異常が治るということは腸の故障がよくなるということです。

肝臓障害は、右の半毛管が効果的ですし、軽い呼吸器疾患のときは、悪い側の半毛管を上の脚を少し前に出して、30-40秒おこない、後普通の半毛管をしますと、気持ちがよいという人が多いようです。軽い鼻詰まりは通ります。半毛管の時間は、2、3分間を1回として、症状によりまして何回も繰り返します。

五、45度毛管

普通の毛管の時と同じように、仰臥の位置で適当に枕を当てた姿勢で、両脚を垂直に上げて、左右の脚を夫々、45度ずつ左右へ開いた位置で毛管をおこないます。

月経不順、白帯下などの場合に効果があり、その他、男女共々に一般生殖器の機能補強に応用します。

大体に脚に近い疾患のときには、左右の脚は大きく開き、手を少し狭くして毛管運動をし、頭に近い疾患は、手を開き、左右の脚の間隔を狭くした後に普通の毛管をしますと、効果が早く現れるようです。後に普通の毛管をします。

ただし、他人が補助したり、機械で毛管をするときには反対です。つまり頭部に近い疾患は、両手の間隔を狭くし、両足の間隔を広くします。また脚に近い疾患は、両手の間隔は広くし、脚の間隔は狭くした後に普通の毛管をします。

六、いろいろの場合の利用法

傷や腫物などの時

手の傷や腫物などは、前に申し上げました様に手の毛管をします。脚の傷や腫物のときは脚の毛管を主とします。身体の場合には、横隔膜(肝臓や胃の上にあります)より上の障害は手の毛管をし、横隔膜より下の障害は脚の毛管を主とします。

ただし身体の片側のときには、仰臥して悪い側の手と足を致します。これは片側毛管、あるいは半身毛管とでも申しましょうか?とても良く効きます。しかし腸麻痺のときには反対側の半身毛管?が効果があります。それは反対の脚を少し外へ倒して毛管します。

右手の痺れなどのときには、首を左へ傾けておこない、小指の痺れは、垂直より後ろでおこない、親指のときには垂直より前でおこないます。

頭部のときには、左右揺振か、首だけの毛管をしますが、顎を引く事が大切です。家内の父が新築の家の所を通っておりましたら、上から木片が落ちて、頭から血がたくさん出たので、頭の小さい毛管をしましたら、直ちに止まったと驚いていました。

会員O氏は、オートバイで坂道を上がっていましたところ、坂上から大きな製材鋸を持ってオートバイに乗った人と、正面衝突をした為に、手の各所の肉や皮は剥け、また血が飛び散っていましたが、早速三日二晩毛管したところ、剥けた皮や肉はくっ付き、散った肉跡も跡形もなく治ってしまいました。

指の切れた時

指が切れて落ちたときでも、くっ付いて治った例がたくさんあるそうです。私も1人体験があります。こんな場合には、落ちた指を水洗いして、ゴミを除き、前後を見定めて(爪が掌の側へ来ないように)くっ付けて、副木を当てて、動かないように包帯をし、小さな毛管をし、指が冷たくなりますと、指を上に向けたまま腕を下に降ろし、熱くなれば上に挙げてまた毛管をします。

尚そのときは、断食をした方が早くくっ付きますが、水や柿茶は、がぶ飲みにしないようにして、舐めるようにして飲みます。この際に持ち添えてあげる人は、40分合掌行をした人の方がよいのです。こうしますと、骨も筋肉も、血管も皮も全部くっ付きます。

偉大なる哉、毛管運動の力!自然の摂理!唯々驚くより外はありません。

指に棘の刺さった時

会員のA氏の奥様が飛んで来られて、「親指の爪と肉の間に棘が底まで深く立ちました。引き抜こうとしましたら、爪先に覗いていた部分が折れてしまって、どうすることもできません。お医者様に診て貰った所が、爪を断ち割らねばならないと言われました。どうすればよろしいか?」とのこと。そこで、棘の立った手を、度々毛管しますと抜けて来ます、と言いましたところ、その時の言葉が面白い━━手を上に挙げて振りますと、棘はだんだん下に下がって、余計に深くなりませんか……と、毛管をしますと、必要な物はできて来ますし、不必要な物は体外に次第に出ます、と説明しますと、安心して一生懸命に毛管をした為、少し爪先に出て来た所を引っ張って抜く事ができました。

大怪我の場合

岡山は、畳表や、茣蓙の原料である藺草の名産地です。この藺草の刈ったのは、田の端へ横に並べて干します。干した藺草に雨が掛かると値段は半分になります。

会員M氏宅も人夫を雇って、藺草を刈っていましたところ、急に雨が降りそうになったので、M氏は干した藺草を、片付けるべく、大急ぎで田の中を走って外へ出ようとしました。所が人夫が、田の中へ柄を立てて刺しておいた鎌の刃が向う脛へ、ガシッと打ち込んだのです。慌てて飛んで来られたので、巻いた泥だらけのタオルを除けてみますと、大きくパクッと口を開けている。M氏は1週間後にはどうしても東京へ行かなくてはならぬ故、ぜひ行けるようにしてくれとのこと。さっそく外科で縫って貰って、3日間の断食をし、毛管のときは、健康器の金魚の方でする。脛骨と直角に切れた傷ですから、ちょうどよろしい。毛管に掛けたり脚を上に挙げると、傷口の刺激が強過ぎますが、床面から20度位ですから、金魚運動を兼ねた毛管運動となります。結局M氏は希望通りに上京できました。

腎臓故障の時

多少とも腎臓に障害のあるときには、悪い側の反対の脚を仰臥のままで直角に上げて、毛管をしながら、反対の側へ倒して、倒したまま毛管をします。約1分ないし2分毛管して後、毛管をしながら直角の位置に戻して下ろします。ただし、他人が補助してするときには反対の脚をします。つまり腎臓の弱い側の脚を反対側へ毛管をしながら倒します。その後で普通の毛管をします。

アキレス腱を切った時

アキレス腱を切った時は、足枠毛管をして、足首をぐらつかせないようにし、縫工筋(内股から下へ降りています)の2ヶ所位、痛い所を探り出して、そこを押さえて毛管すると早く治ります。

運動選手がよくなりますが、一般の人でも物に強く躓いたときに起きます。大抵は平常が甘い物が大好きか、または2、3日前からの栄養過剰の人に多いようです。

心臓の弱い時

心臓の健康法は、前々月号に説明した様に、毛細血管の働きを良くし、また静脈血の環流を良くするために、毛管運動は絶対必要ですが、手の毛管運動だけでなく、手足共におこないます。その時間は、その人がちょっと苦しくなる迄がよろしく、あまり苦しいのを無理に我慢する必要はありません。その時間は、他の方法(生野菜食、裸療法、その他)と共に行っていますと、だんだんと長くなって来まして、遂に本復します。

呼吸器の弱い時

呼吸器が弱いということは、前に申し上げました様に、心臓の働きが悪いから、肺の血を十分引っ張らないからであり、それはまた毛細血管が十分働かない為です。

肺の弱い人は、毛管運動が絶対に必要ですが、心臓の弱い時と同じように手だけの毛管運動は特にいけません。

肺結核患者が、仰臥して新聞や雑誌を長く読むのは、手の毛管運動と同じ様ですから、悪化するそうです。そのような姿勢で読みたいときは、足を高く品物の上に挙げて読む事です。やっと便所へ行ける程度の呼吸器病の人は、便所へ行く前と帰った後は、毛管運動をしましょう。

呼吸器病の人は、膝裏が特に伸び難いので、なるべく膝裏を伸ばすと、早く良くなります。

半身不随の時

半身不随のときは左右の手足は、反対的となります。たとえば、右半身不随の人を健康器に掛けるとき、補助者が、「あなたは右手は伸びないが、左手は伸びるでしょう、さあ伸ばしなさい」と、初めから左手を伸ばしますと、悪い方の右手は伸びません。良い方の手足を少し曲げてから、悪い方の手足を伸ばして後、両方の手足を伸ばします。

健康体を自負する人でも、膝裏の伸び難い脚の反対側の脚は、大抵の方が大腿前側に硬直があります。また手の小指の痺れを感じる人は、反対側の親指が痺れている人が多いのですが、もしも同じ側の手の親指と小指が痺れている人は、食養生、その他、健康にご注意ください。(自分では知らないでいて、指摘されて初めて知ったという人が多いのです。)

毛管運動をしてはいけない時

健康者も病人も脚(特に足首)に、芥子泥湿布をした後、約30分間は毛管運動はしない方がよろしい。せっかく皮膚の方へ血を引っ張ったのに、直後毛管運動をしますと、芥子湿布の効果が少なくなります。

コメント

  1. yaya より:

    私を助けてくれる日本のエンジニアなら誰でも、西克三の裸療法と毛細血管運動ができる装置を作ることができます。 両方を行うデバイスを作るというアイデアがありますか?

    どうもありがとうございました。 カナダから来ました。

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