若返り法について 西勝造

若返り法について 

西勝造

今晩のお話は、ここに掲げました通り『若返り法』という題目でございますが、先刻、宅を出ますときに、家内が、今晩は何の講演ですかと問いましたので、若返り法だ、と言うと、そういうお話には、あなたの頭が不適当ではありませんか、カツラをかむっていらしったら、と冗談を申しましたが、なるほどご覧の通り私の頭は少々薄くなっております。しかしこの禿げているのは結構なことでございまして、ご来聴の方の中にもお禿げになって光輝を放っていられる方を大分お見受けいたしますが、欧米では、頭の禿げている人は肝臓が丈夫であると申しておりますし、米国ではまた頭の禿げている人には病気がない、こう申しております。この、肝臓が達者であるということは、皮膚の機能、つまり皮膚下に浅在する静脈管の働きが完全であるということを証明するものでありまして、もし静脈が怒張しておりまして収縮機能が不完全でありますと、いろいろの病気にかかる。すなわち皮膚の健否はその人の病気の有無をあらわすものですから、仏国では『皮膚は諸病の鏡なり』”La peau est le miroir des maladie”と言っておるほどで、これは、皮膚はその人の持っている身体の状態とかあるいは病気の看板だ、という意味であります。

米国ウィスコンシン大学教授のイースター博士は、その著書『静脈血圧の臨床的観察』(Easter :  – The Crinical aspect of venous pressure 1929)という題名ですが、世界各国の静脈に関する研究論文を抜粋して掲載し、なお多数の参考文献を挙げて詳細に論じておりますが、究極するところ、静脈が怒張して働きが鈍くなりますと第一に冒されるものは内臓の中きわめて枢要の地位を占めている肝臓で、肝臓が冒されますと、その次に肺臓、脾臓、腎臓等が故障を起こし、ついには腸管なども冒される。こういうことが書いてございます。腸管が麻痺いたしますと、結腸に糞便が溜まって脳髄に出血を起こすのでありまして、その出血の場所によってはいろいろと各方面の機能に及ぼすのであります。

さて、この、若返り法でございますが、いったい若返りなどということはできるものかどうか、ということが問題でございます。ただいま帝国ホテルに止宿しておられる仏国ヴォロノフ先生などは若返り法の研究としての大家でございますし、また往年一時喧伝せられましたシュタイナッハの若返り法、その手術をおこないました九州医科大学の榊博士について、そうとう知名の人も手術を受けましたことは、皆さまの多数がご記憶のことと存じます。それから最近におきましては、高橋大蔵大臣がホルモンの注射を受けてだいぶん勢力を回復したということで、だいぶん新聞を賑わしましたが、今夕は、これらの手術とか薬剤注射の問題は措きまして、まず初めに申しあげてみたいのは、慶応医大教授川上漸先生の教室におけるご研究についてでございます。

川上先生はそのご研究を、昨年12月頃、大蔵省専売局内の専売協会で講演されまして、その速記が、本年1月の専売協会誌に掲載されました。大日本西会の評議員会議長になっておられます田(昌)さんは、元大蔵次官をお勤めになって、専売協会ともご関係がおありなさるので、この雑誌をご寄贈くださいまして拝見いたしましたわけでございますが、その内容は、今晩私が申しあげようとする内容と、偶然にもほとんど同様でございますから、まずこれを申しあげることにいたします。

皆さまのお手元に差しあげておきました『長生法』というパンフレットの序文に「若い頃から弱かった私には、健康法とか薬の広告はよく目に触れたもので、また根気よく読みもしたり、買って飲んだりしたものであった。28歳のとき、九州戸畑の明治専門学校に三井家の研究生として鉱山学を研究中、手に入れたのがメチニコフの『長生法』の英訳書であった云々」と書いておきましたが、このメチニコフの英訳書は1910年の発行で、マイノットという人が序文を書いております。この本は大隈さんが未だご存命中、早稲田の文明協会の名で翻訳して出版されており広く日本でも読まれた本でございますが、メチニコフの説は、要するに、人の老衰は大腸に停溜する糞便に繁殖する大腸菌の毒素による自家中毒のためであるから、この大腸菌を絶滅させなければならない、というのであります。それで序文に「大腸の自家中毒を知った私は、大腸内の宿便が気になって仕方がなかった。まもなく私は、シンクレヤー氏の『断食療法』の書物を読んで、これを実行してからは、真から安心することができた。云々」と書いておきましたが、シンクレヤーの『断食療法』の本というのは1911年の出版で、これによって私は断食を実行いたしました。以上の2書すなわちメチニコフの「長生法」とシンクレアの「断食療法」、これが私の健康法の基本になったものであります。

ところで慶応医大の川上博士は次のように述べておられます。『私は古今東西の本を読み尽くしたというわけではありませぬが、その中でこの老衰に関する学説として、ここにおもしろいものが2つあると思っております。その1は皆さんも定めてご承知であろうと思いますが、メチニコフの長寿説(中略)このメチニコフの長寿説は長寿法を研究する人の誰でも注目するものでございまして、先刻も申しました通り、大腸の中に便を停滞させこれに繁殖する黴菌の自家中毒であると申しているので、メチニコフが世界各国の長寿の国を調べてみますと、ブルガリヤ人は100歳以下で死ぬ人は非常に少ない。だんだん調べてみますとこの国では牛乳を腐らせて飲みます。牛乳を腐らせますと、その中にはブルガリヤ杆菌すなわち乳酸菌という黴菌が湧きまして、これを飲めば大腸の中の黴菌を食い殺すのですから、発酵もせず長命する、こういう推断のもとにブルガリヤ菌を飲むことは以って長命法なりとし、これを犬、猫、鼠等に実験してみますと、はたして効果がある。それで乳酸菌を含むヨーグルトというものを非常に推奨し日本にもだいぶん流行したものであります。その後だいぶん下火になり、今日ではほとんど忘れられたようであります。それから第2は、東洋では仙術というものがあります。一種の不老長寿の術であります。その仙術というものはたくさんありますが、私はその中で「吸霞喫泉華」という説を感服しております。そしてこの泉華というのは午前2時頃に汲んだ井戸水のことで、仙術と水を飲むことを結び付けたところがおもしろい。』以上のように川上博士は申しておられます。

私の健康法もやはり腸が老衰の原因であるという観点に立脚したもので「背と腹を、共に動かして水飲みて、よくなると思う人はすこやか」と申します通り、腹の運動をおこない水を飲んで、腸内の停滞物を一掃し、その浄化を図ることを目的といたしたものでございます。

この若返り法というのはなかなか興味ある問題でございまして、おもしろい材料もたくさんございますから、これを講談的にお話しいたしますと、2晩や3晩しゃべっても時間が足りませんが、今晩はそういうわけにもまいりませんし、さればといって、あまり専門的のこともどうかと思いますから、そのへん、適当のところを申しあげてみようと思います。

昔、秦の始皇帝は3000の美姫を擁し歓楽の限りを尽くしましたが、年齢だけはどうにもならない。そこで徐福という家来に命じて、不老長生の薬を蓬莱の島に求めさせたということは人口に膾炙する話でございます。そこで徐福は、蓬莱の島、すなわち我が日本にまいりまして不老長生の薬を探しましたが、もとよりそんな薬のあるわけはない。ついに富士の裾野へんで一生を終わったということで、その詳しいことはあの有名な声楽家の関屋敏子さんの父君裕之介氏がなかなか詳しく調べておられます。このように不老長生の薬を探したということは、このほか、外国にもその例がございます。米国のポスト・ドレオンという人はフロリダの沼地に不老長生の薬を求めましたが、発見しないうちに死んでしまったという記録もあります。

またスタイナッハやヴォロノフの若返り法については、新聞や他の書籍にも出ておりますから、それでご覧を願うことにして、再び川上博士のご研究について申しあげることにいたします。川上博士は先刻も申しました通り代表的の若返り法として、1つはメチニコフの長寿法、1つは東洋の仙術を挙げておられます。この2つの長寿法はいずれも腸の清掃浄化ということになりますが、川上博士の結論もまた、腸内を清掃して自家中毒を防ぐということに帰着するのであります。

川上先生のご研究はだいたい4つにわかれておりまして、第1は山崎さんという方に命じて死者の脳髄の研究をおさせになった。それは脳髄の出血状態を調べさせたのであります。山崎先生がいちいち死者の脳髄を解剖してみますと、その結果は1000人中977人までは脳髄に出血を起こしているという驚くべき統計を得たのであります。そして更に驚くべきことは、この977人の中で、生前に医者が脳髄に出血をしているという診断を下したものが僅かに47人、この47人は、卒中とか出血性黄疸とかワイルス病とか、とにかく脳出血の診断がついておったのですが、他の930人というものは、医者も患者自身も脳出血ということを知らずにおったものであります。なおこれを年齢に割り当ててみますと、1歳から10歳までのものには、出血というものの程度といい、範囲がほとんど同じであって、11歳からだんだん率が高くなり、出血している面積も広くなってまいります。この出血面積の少ないということが、若々しいことになるのであります。

第2は柴田信先生の研究成績で、川上博士は柴田先生にイレウスすなわち腸閉塞の研究をお命じになったのです。イレウスは非常に患者の苦しむ病気で、場合によれば患者は一晩のうちに死んでしまうほどに激しい病気ですが、

一体このイレウスはどういう原因で起こるか、こういう研究なのであります。この研究について、従来は動物の腹を割いて腸を縛りイレウスを起こさせるので、そうしますと、動物はたちまち苦しんで死んでしまいますが、腹を割かれた苦しみとイレウスの苦しみとが一緒になりますから、イレウスの本当の研究ができなかったのは当然であり、自然その研究に対する信用がなかったわけです。それを柴田先生はいろいろ考えられまして、どの点にも非の打ち所がない完全な方法をお考えになって研究されたのであります。そのとき柴田先生はコンドームを用いられましたので川上博士は「我々は何でも知っておらなければならぬものであるということをちょっと申しあげたいのであります。下等なことでも上等なことでも、何でも人間世界にありしあらゆることを、我々は知っておくべきものであることを一言申し添えておきたいと思うのであります。……柴田信氏はコンドームというものを知っておったがゆえに、この研究を成し遂げることができたのであります。と言っておられますが、まったくその通りで、コンドームすなわちルーデサックはあまり結構なものではございませんが、このコンドームの中にラミナリヤという海草の根、これは水を吸収するとよく膨張するもので、これを詰めます。コンドームには1、2ヶ所針で穴をあけ、一方動物の腹を切り開き、右のラミナリヤを詰めたコンドームを腸に結び付けて、切り開いた部分を元の通り縫い合わせておきますと、数日間で動物は以前の健全な身体になります。しかし腹の中には、非常な危険物がしまっておきますから、日数の経つに従って、ラミナリヤは腹部の水分を吸って膨張いたします。そうしますとこれを結び付けてある腸のほうはだんだん締め付けられ、腸管は遂に塞がってしまいまして完全な腸閉塞を起こし、その動物は非常に苦しんで死ぬのであります。そこでその動物の脳髄を解剖してみると出血を起こしており、しかも便停滞の多いほど出血が多いということも確実にせられました。要するに、我々が常に頭痛がするとか物覚えが悪いとかいうことはこれは全て糞便停滞すなわち便秘に帰着されるもので、口から糞便を吐き出す吐糞症、また始終ゲップの出る人などは、いずれもこのイレウスの傾向があり糞便を停滞させている、すなわち宿便保留者であります。

それで私は、昨秋『便秘』という本を出版いたしましたが、これは専門家に読んでいただくためのものであります。尤も、私が勝手なものを書いたと言われるのも何ですから、止むを得ず外国人の書いた本に拠ることとしたのでありまして、私はただ今そういう苦しい立場にあることをご了解願いたいと思います。いつも申しあげます通り私の健康法は、全て専門家の研究を基礎としたものでございますが、昭和2年、私が初めて健康法を発表した際には、医学に対する世人の信用が失墜していたためか、医学の医の字があってもご承知がありませんでした。それで心ならずも、専門的のことは一切抜きにいたしまして健康法を説いたところが、果然世人の信用を博しまして、今日ではこれを実行する人が数10万人に達するに至りました。しかし、その後、次第に世人の考えが変わってまいりまして、お前の健康法にはいったい医学的根拠があるのかという質問をしばしば受けますので、そのほうはこちらで希望していることですから、さっそく昨年『アチドージスとアルカロージス』並びに『便秘』といういずれも専門家に読んでもらうつもりで著書を出版したのであります。これについて昨年12月時事講堂で出版記念の講演会を開催いたしましたが、もともと私は、健康法で生活しているわけではありませんから、専門家の覚醒を促す意味で、いつも思う存分のことを言っております。

私の米国留学中、五斗欽吾先生もヘンダーソン先生の、アチドージスとアルカロージスの講義をお聞きになられたものでした。その後五斗博士は帰国されて、「アシドージス」という著書をお出しになりましたが、その後しばらくの間は、専門家の間にはほとんどこれに無関心の状態に経過しました。近年これが各国の医学界に次第次第に論議されるようになり、我が国の医学界も若干これに関心を持つようになったので、私は前述の通り出版しましたわけであり、これが私の健康法の根本をなすのであります。なお、近く、やはり専門家に読んでもらうための『高血圧』という著書を執筆しております。医学界が現在のままで推移したならば必ず倒れてしまうに違いない、また民間療法のほうも今の状態ではとうてい将来の永続性というものがない。どうしてもこれはこういう全てのものを打って一丸とした全体医学━━人間医学━━というものができなければならないと信ずるもので、これがすなわち私のテトラパシーでありますが、私は今、その仲介者という立場にあるもので、大に責任があるわけでありますから、それにはまず各方面を覚醒させる必要を痛感している次第であります。もとより開業医の方からは蛇蝎のごとくに憎がられております。

さて、川上博士のご研究でありますが、博士が第3に命ぜられたのは松田という方で、この方はイレウスによってその部分の上下に毒素が生成し、これが全身に回り脳に行って脳出血を起こさせるものであるということを確実に証明せられ、山崎、柴田両先生の研究をさらに完璧たらしめたのであります。それから第4といたしまして、京都医科大学の清野博士の説、すなわち老衰の原因はコレステリンが身体各部に停滞するためである。これも川上博士は否定しないということを申しておられます。

川上博士のお話はだいたい以上の通りでございますが、その結論は前にも申しました通り、糞便停滞からイレウスとなり毒素を生成して脳出血を起こす、これが老衰の原因となるものであるから、これを予防ないし治療するには便秘を治さなければならない、というのであります。

私も最初から、そういう考えのもとに健康法を樹立しましたことは先ほども申しました通りで、昭和4年1月から実業之日本誌上に連載し、後まとめて出版しました『西式強健術と触手療法』の69ページ以下に詳説してありますから就いてご一読あらんことを望みます。また九州大学の榊博士の若返り法は、当時、成駒屋とか川上貞奴などもその手術を受けましたが、半年位は効果があったということです。何しろ3000円も手術料を払ったのですから、精神作用も手伝って半年間位は効果があったと言わなければ世間に対しても笑われましょう。この精神作用ということはなかなか重要視すべきもので、私の健康法にも取り入れてありますことは、「よくなると思う人は健やか」という歌の通りであります。

そこで、若返り法とはいったいどういうことか、若返り法をおこなえば、60歳の人は30歳位になれるか、もしなれるとしたら、30歳の人は赤ん坊になってしまうはずですが、まさかそういうわけでもない。とかく、若返り法の必要を感ずるものは老人に多いようです。オランダのブールハーフェという医師は時の市長に建言して、13、4歳の少女をそばに寝かせますと、その精気を吸って若返るということを申したそうでありますが、しからば、

お婆さんのそばに少年を寝かせてはどうか、と申しますとそれはどうだかわからぬと申します。さらに一歩進んで少年と少女を一緒に寝かせておいたら、いつまでも年をとらないかと申しますと、これももとより効果がない。これでは若返り法も一向つまらぬものと申さなければなりません。しかしまた一面から考えますと、みだりに若返り法を勧めるべきものではない、もしみな若返っていつまでも生きていたら大変なことになってしまう。かりに29代のあいだ生きておったとすれば私の両親、両親の両親という具合に十億何千万人、現在の世界の人口と同じ数になります。つまり29代以前まで遡って計算いたしますと、尤もこの長い間には他人の分も重複するでしょうが、とにかくこういう数字になります。そしてこれは私のほうだけのことで、家内のほうもこれと同じ数に増えますから、私のただ今の恩給では養ってゆくこともどうすることもできず、ある時代には何万人こぞって南米に移住するというような大騒ぎが持ちあがるかも知れません。こうなっては大変ですから、やはり人はある年齢になったら片っ端から死んでゆくのがよろしいのです。

しかし若返り法は際限なく生きるという意味ではなく、長く若々しく活気ある活動のできる身体をつくるということにあるのであります。私は今年52歳になりますが、それで30代の人と同様以上の仕事ができます。否4、5人分はやっているつもりでありまして、これが本当の若返り法と申すべきでしょう。理論的に計算いたしますと、私も240歳位まで生きることができるわけですが、それでは第一友達がなくなっておもしろくもなし、またモーターにしましても、摩擦とかその他諸々の関係から理論通りの能率を発揮することができませんから、これと同様、年齢におきましても、事情を考慮しますと、間違いのないところは100歳でしょう。どなたでも完全に西式をご実行になりますと99歳か100歳位まではお生きになることができます。そして8、90歳相当の仕事をする、これがすなわち本当の若返り法ではありますまいか。

これから身体各部の若返り法についてお話申しあげようと思います。

皮膚の若返り法

一昨年私は鎌倉の講演にまいりましたが、途中で、元の東京市電気局長長尾半平氏に会いました。その折、長尾さんが言われますに、「毎日冷水浴や冷水摩擦をやると必ず胃酸過多症になるが、これはいったいどういうわけか」と尋ねられました。長尾さんが胃酸過多で長年苦しんでおられたことは予て聞いておりましたが、この一言を聞いて初めてその原因がわかりました。冷水浴は体液の酸度を高めますし、温浴はアルカリ度を誘発するもので、このいずれか一方に偏することは、あるいはアチドージスとなりあるいはアルカロージスとなる恐れがありますから、この両性の平衡を保たしめるためには、どちらにも偏することはいけない。長尾さんが胃酸過多症に悩まされたのは、まったく冷水浴に偏した結果であることが明らかであります。ですから風呂場には、風呂桶を2つ並べまして、一方には湯を、一方には水を入れておきます。健康体の人は冷温の交互浴、胃酸過多症の人は湯を狙い、幽門狭窄症の人は水を狙うようにしなければなりません。ただ冷水摩擦をおこなえば皮膚が丈夫になると思うことは、それ自身誤りであるのみならず、その上このような弊害の伴うことを忘れてはなりません。

皮膚と黴菌の伝染について、特に医師の方に希望することは、患者に接する直前に手を洗うことです。いつぞや、ある歯科医の専門学校にまいりまして講演いたしましたときにその学校の先生に聞いたことであります。「歯科医の方では患者に接するときには必ず手を洗ってから仕事をなさるようですが教科書に書いてありますか、また学生に教えるのですか」と申しましたら、「これは常識です。」と申されました。しかし一般のお医者さんを見ますと、患者に接する直前に手を洗う人はほとんどない。顕微鏡で私共の手を見ますと、実に驚くべきほど多数の黴菌が付着しておりますから、その手で次から次へと患者に触れることはまことに危険千万です。ゆえに手を洗わずして患者に接する医者は細菌学を知らない医者であると申さなければなりません。顕微鏡を覗いたことのないお医者であると申したいのです。

さて皮膚が丈夫であるということは、肝臓が丈夫であるという証拠であり、肝臓の達者であることは、全ての臓器が健全であることを表明するものであります。ですから皮膚を丈夫にすることは非常に大切なことでございまして極力その若返り法を講ずる必要があります。皮膚の若返り法として最もよいのは1分1分の交温浴、それから厚着を避けることであります。冬季に厚いシャツを着る人は必ず皮膚が弱く、風邪その他諸々の病気にかかりやすいことは申すまでもありません。デパートなどでこういう厚いシャツを売っているということがそもそもの誤りです。都腰巻なども同様によろしくありませんで、こういうものを用いている間は皮膚を若返らすことは不可能であり、真の健康を保つことができません。

頭髪の若返り法

先刻も申しました通り頭の禿げているのは肝臓の丈夫な証拠であり、したがって内臓諸器官も達者ですから、ともすれば暴飲暴食しやすいという恐れがあります。頭髪の若返り法としては、まず絶対に熱い湯で頭を洗わぬこと。なお頭髪に限らず、出っ張っているところは全て熱い湯で洗わぬことが肝腎です。私は冬季でも、入浴の際は、初めシャワーで摂氏14、15度位の冷水を足からだんだん上のほうへかけていって、最後に頭にかけ、それから湯に入り、ついで水と湯の1分ずつの交温浴をおこないます。回数は大概5回位、最初と最後は必ず水であります。入浴時間は合計6、7分で済みます。この際とくに石鹸で洗うことはいたしませんが、常に清潔でありますし、皮膚に弾力がありまして、冬季に裸でおりましても、風邪をひくというようなことはありません。尤も顔の色は黒うございますが、私は土木のほうが専門で、いったい土木家というものは戸外に出て仕事をしますから出ている部分の手とか顔の色は黒いのです。しかし中身は至ってきれいで白粉(おしろい)をつけたようだと言われます。なおその上に弾力を持っておりますから、剃刀などで切ってもすぐにくっついて治ってしまいます。

したがって私は非常に健康で、ただ今4、5人前位の仕事をいたしております。ちょっと見たところでは左程ではないようですが、この点においてはそうとう若返っておるつもりです。

歯の若返り法

歯はすなわち齢(よわい)でありまして、若返り法とは特に関係が深いと申すべきでしょう。歯はよく揃っていなければならない。そして歯の神経と手指の神経とは密接の関係がありますから、まず第一に左右の手指を合わせ、そして歯を合わせますと、歯が丈夫になります。今、両手を左右に開き、手を開いておいて、急に身体の前方に持って来て合わせたとき、左右の指がそれぞれ合う人は歯の丈夫な人であります。この手掌の先を合わせることはその人の精神状態とも非常に密接の関係がありまして、よく合う人は精神の確かな人、食い違いのできる人は神経系統に狂いのある人で、これはホフマン、シュタンプの説であり、脳病院の入院患者について調べました結果も同様であります。

歯槽膿漏その他歯の故障の場合には、只今申しましたように指先を揃えて歯齦の根のところへ私のつくっているクリマグをこすり付けておきますとたちまち治ります。

胃腸の若返り法

川上博士の研究によりますと、腸捻転または糞便の停滞によって脳出血を起こしますが、その出血の場所によって、それぞれ違った神経、すなわち胃の神経とか腸の神経、肺の神経等が冒されますから、これによってそれぞれの臓器に故障を起こします。猫背の人はたいがいS字状部に糞便を停滞させておりまして、中には5、6日分溜めている人も少なくない。S字状部に糞便を溜めておきますと胃癌にかかりやすいことは、レントゲンの照射によっても証明されております。ナポレオン一家はその好適例で、糞便停滞から胃癌に冒され、多数の近親者がいずれも胃癌で倒れたことは有名な事実であります。

脳はあたかも中央政府のようなものですから、もし司法部が冒されますと犯罪人が増加するとか、文部省がやられると学校騒動が起こる等と同様で、胃を司る神経がやられますと、胃の働きが不十分となり、胃液の分泌も調節を失い、遂に胃潰瘍や胃癌にかかるのであります。

皮膚の働きの完全でない人は糞便停滞に陥りやすいものですから、これを防ぐには皮膚を丈夫にする必要がありますが、皮膚の健康をはかるために、タワシでこする人があるということを聞いております。しかし不断にそういうことをやっておりますと、まさかの時に役に立たない。たとえば旅行などを致しました場合、汽車の寝台に寝て、スチームに蒸されますと、疲労を覚え、くしゃみが出たり胸が痛んだりして、肺炎の徴候を現すことがありましょう。こういう場合には、肌着の上から両手で素早く胸をこすります。そうしましたらたちまち快復いたしますが、これは芥子療法の簡便法で、内部の血液を外部に引き上げ、肺炎菌の食物を奪うので、孫子の兵法にいわゆる敵の糧道を断つゆえんであります。ところが現代医学では、芥子療法は時に功を奏することあり、などと書いたものを見受けますが、これは方法が悪いのである。必ず効果のあるようにするには、効果の現れるまでおこなえばよいので、尤も続けざまにやるのではなく、一定時間用いて発赤しない場合には一時これを中止し、時間を置いて再びおこなう、といったように、これを繰り返すのであります。

芥子療法は非常に効果のある方法で、その簡便法、すなわち只今申しました皮膚の摩擦もすこぶる効果的の方法でありますが、しかしそれは普通の人のことで、平常タワシで皮膚をこすっている人は、こんな生ぬるい方法では少しも効き目がない。皮膚をかきむしって、血が出る程にしなければ少しも反応がないのですから、こういう手荒い方法は避けたほうがよろしいと思います。

皮膚を丈夫にし、なお便秘を治す方法として裸療法や温冷浴は最も効果がありまして、高貴のお方でもご実行遊ばされていらっしゃるお方がたくさんございます。便通のない場合に裸療法を50秒もおこないますと、顔面神経が変わってまいりまして便通を催してきたことが看取せられる。つまり皮膚が便通をやらせてくれるのです。赤ん坊などには必ずこれを実行させるようにいたしますと、非常に健康に育ちます。だいたい皮膚が働きませんと、静脈が怒張し、肝臓の働きが不十分となり、腐った肝液素によって養われるようになりますから、種々の点に故障を起こし、また寒気を催し、足が脆くなります。この場合には動脈硬化の恐れがありますが、これはチーゲルステットという運動医学家の研究した足の操作法によって免れることができます。

川上先生も糞便の害を力説せられましたが、米国のホワイト氏もまた100人中60人までは糞便を溜めていることを発表しております。お姫様なような人でも3日分ぐらい溜めている姫ごぜがたくさんございまして、その結果は非常に寒気を催してくるものです。もし糞便がS字状部に溜まりますと、次いで小腸が膨張し、それから十二指腸、遂に胃の大弯小弯にまで同様の結果が現れてまいります。これは英国のアルブスナット・レーン卿の研究で、我々はまずこの糞便停滞を一掃すること、更に初めから溜めぬように心がけることが最も肝腎であります。しかしてこれを一掃するには、断食をすることが最もよろしいのでありますが、これが出来難い人は、これに代わるべき方法としてクリマグを常用するというようなことをおこなう必要があります。

なお胃腸の具合のよろしくない人は咀嚼主義いわゆるフレッチェリズムを実行するのも一方法です。その方法として日本人に最も適当したものは、最初は1口の食物を50回噛み、1食事に約2000回噛むのである。時間で約3、40分間かかります。これを約6ヶ月間継続し、その次からは、1口に噛む回数25回で1食事に約1000回噛む、これを3ヶ月。次には噛む回数が12回で1食事に500回、これを2ヶ月。その次に1口を6回噛み1食事を2、300回これが1ヶ月。3回噛むことを半ヶ月とし、これが終わったところで、普通の食べ方とするのであります。

それから酒とタバコでありますが、これを用いて差支えない人と用いて害のある人とあります。中にはいくら用いても害のない人がありますから、一概に言うことはできません。

呼吸器の若返り法

食物を焼いて、その灰分が固まるもの即ち収斂性のものは酸性、崩壊性すなわち膨張するものはアルカリ性の灰分でありまして、この両性はいずれの食物にも含有されておりまして、これを適当に摂れば全身の健康を保つことができますが、いずれか一方に偏しますと、アチドージスにかかり、あるいはアルカロージスにかかります。たとえば肉食恐怖症と申しまして、野菜ばかり食べ尚その上に温浴をやっている人がありますが、こういう人はアルカロージスにかかりやすく、また、肉類は酸性食品で平素肉食をやっている人は、アチドージスにかりやすいものですから、こういう人には温浴が適します。運動は体液を酸性に傾かしめるものでありますから、運動家が肉食をして冷水浴をいたしますと必ずアチドージスにかかります。米国ドクトル・サンサムの言うところによれば、病人の99%まではアチドージスになっているので、これが絶対安静を必要とする所以であると説いております。

人の体内には、特にアチドージスの場合においては、非常に多量の酸が生成されますから、

これを体外に排除することに努力しなければなりません。そして、この酸にはガス状のものと液体状のものとありまして、肺結核におかされている患者にはガス状のものはできるだけ生成しないように努力することで、なるべく液状酸性物質として排泄させる必要がありますから、腎臓とか皮膚とかを利用して体外に排出させるのであります。またガス状の酸は肺臓と一部は皮膚によって排出します。

肺臓の面積は100m2すなわち約畳50枚の面積にほぼ等しいのであります。またマルチン・フォーゲル博士の『人』と題する著書や、ベーリングとかスターリングの生理学によりますと、毛細血管の数は全体で51憶本、酸素と炭酸の交換される区域が面積にして100m2すなわち約50畳の広さ、ちょうど肺臓の面積に等しい、それで、いま肺から取り入れた酸素を血管から毛細血管へ送り込むのであって、肺胞の面積と毛細血管とは同一の広さですから、両方が完全に働いておれば取り入れた酸素は毛細血管において過不足なく消費されるのであります。ところがいずれかに故障がありますと、酸素の生産と消費との間に不均衡が生じ、せっかく仕入れた酸素もこれを用うることなくして静脈管のほうへ入れてしまうことになり、その結果、身体の違和をきたすことは当然でありますが、このようなことを研究している医師が果たしてあるでしょうか。また世の中には、酸性、アルカリ性の問題など、どうでもよいじゃないかと言う人もありますが、これも自分の無智を表明するものであります。

それからまた、いくら健康法を勧めてもなかなか実行ができない。何か寝ておってできる方法はないか、こういうことを言われる人も少なくありませんが、こういう人にはこれに適した薬たとえばクリマグを飲ませるということにしなければなりません。いったい病人に対して千篇一律の方法を採ることは誤っている。運動のできない者には薬を用いるとか何とかしなければなりません。また中には大分変わった病人もあります。たとえば事業の資金が足りなくなって神経衰弱になった人もありましょう。こういう人には健康法でも薬でもいけない。資金を出してやれば何よりも効果があります。また経営がうまくゆかないで先祖代々の老舗を潰して申し訳がない、といって神経衰弱になる人もありましょうが、こういう人もやはり普通の療法では効果がない。もしこのような人に相談に来られた場合には、日本銀行へ行って相談なさいと申し上げるよりほかはないのであります。あるいはまた、親父が西式をやったために80になってもなかなか死にそうにない。子供は大きくなるし、親父はいつ死ぬかわからぬ。頑丈で長命しそうです。実に困った、何とかしてくれ、というような間違った親不孝患者もないことはありません。実はある元教育に従事した方にあったのです。こういう人のために私は将来、ぜひ養老院を建てたいという希望を持っておることは、かねて発表した通りであります。また主人が若返ったけれども奥さんがいっこう若返らぬ。それで第2号が必要になった━━実際あります━━ということにでもなっては、家庭争議の種を蒔いてやるようなもので、健康法を唱道するということもなかなか難しいものです。こういういろいろの場合のことをよく承知しておらねば、うっかり健康法などを説くことはできません。私も初めは何でも人様のためになりさえすればよいものと思っていたのですが、本当に救うということは一大難事であります。

姿勢

全身を若返らせるためには、その根本たる姿勢を正しくすることを考えなければなりません。姿勢を正すにはなるべく、堅くして平らなものの上に寝ることが最も簡便で効果的であります。腹が前方に突き出ている人は、歩きながら自然に腹式呼吸がおこなわれ、アルカリ性に誘致されてまいりますから、肉類を食べても動脈硬化とか血圧亢進とか即ちアチドージスにかかる憂いは少なく、また交通整理の方のように始終立っている人も同様です。しかし昔流の煎餅焼きのような家業の人は始終身体を左右に揺振しておりますから、アチドージスにかかりやすく、野菜を摂る必要があります。かつてある人から、相当年配になっている2人の兄弟のうち、兄のほうは常に肉食ばかりやっておるし、弟のほうは野菜食ばかりやっておるが、いずれも健康なところを見ると、食物上の酸性とかアルカリ性の問題は、別に重要な意味を持っておらぬではないか、と言われたことがありました。そこでその2人の兄弟の職業を調べてみますと、それぞれこの酸とアルカリの両性に対して全然相反する職業であることがわかり、その疑問を解いてやったことがあります。

心身の機能上、酸性、アルカリ性の中和を得ていることは飽くまでも必要なことでありまして、私の健康法もこれに立脚していることは、いつも申し上げる通りです。すなわち脊柱を左右に動かすことが酸性、腹部を動かすことがアルカリ性でありますから、「背と腹を共に動かし……で中和を専らとし……次に中性の液体である……水飲みて」と申すのであります。なお体貌のほうから申しますと、大体において腹の出ている人はアルカリ性、腹の凹んでいる人は酸性という傾向があります。

循環器の若返り法

英国のヘーハウという医師はその著「健康と疾病における足」  Hayhow : – Feat in health and disease, 1933. という書物の33ページに「足の故障は、心臓、腎臓、および貧血症におかされる」と述べ、また米国のヌーズム博士は、その著書『人の寿命』 Nuzum : – The Span of Life ; influenced by the Heart, the Kidneys and the Blood vessels, 1933. という書物、題名を詳しく言えば「人の寿命、それは心臓、腎臓および血管に支配される」と書名に付けてあります。この本はワシントン市の統計に基づいたもので、将来この3者の問題を解決することができれば、現在の寿命を倍加せしめることができるであろうと説いております。この2人の学者はいずれも、足の故障と循環器との間に密接不可離の関係のあることを説いておるのであります。ですから、足首の回転の十分にできる人には循環器に故障がなく、したがって瘰癧は申すに及ばず、心臓病、腎臓病、動脈硬化症等にかかる恐れもありません。またこれら種々の故障のある人は足の操作によって心臓とか腎臓とか血管の機能を高めそして第2次的の疾患を治すことが必要であります。

この様に身体の故障は、その根本を極めて適当なる措置を講ずるべきでありますが、ある国の医師は、胃が悪い、という場合に胃液をとってみて、もし酸度が健常胃に比較して多ければ、ア、これは胃酸過多症だ、といってこれを中和させるために、すぐに重曹を与えます。尤も重曹だけでは食欲減退をきたす恐れがありますため、苦味丁幾(くみちんき)を混ぜるとか、服みにくいのを防ぐためにシャリベツか何か混ぜるといったような細工をいたしますが、これらの混ぜ物が決して胃酸過多症そのものに効果があるのではない。要するに重曹だけの効果を目的としたもので、これを以って能事終われりとしておるのですから、ますます重曹を多量に用いるようになり、ついには胃潰瘍から胃癌まで進展させてしまうという具合に、疾患そのものの根源を除去する所以にあらざるはもちろん、畢竟部分医学の弊を暴露するにすぎない状態でありますから、欧米においても現状の医学はその信用を失墜してきたことは当然と言わなければなりません。

いったい胃酸過多症の原因は何であるかと申しますと、体内に生成された酸が十分に排出されないためであります。もし我々の腎臓機能が完全でなかったならば、液体の酸はどこへゆくかと申しますと、体内にそのまま停滞するほかなく、胃酸過多症の起こるのはまた当然であります。この根本の理由のわからない現代医学は、果たして真の治療行為ができるでしょうか。1日も早く改革策を講じなければ遂には潰れてしまうことは当然と言わなければなりますまい。とにかく、現代医学では、足の故障はとうてい治らないのでありますが、テトラパシーでは毛管運動とか足首の操作法、回転法その他の方法で治すことができます。こう申しますと、また何とか言われる人があるかも知れませんが事実は事実であり、理論上そうならなければならないことも生理学上証明するところであります。たとえば手を怪我した場合でも、現代医学では消毒して包帯で包んでおいて、自然に肉の盛り上がってくるのを待つというのですから、治るまでにだいぶん日数がかかりますが、テトラパシーでは高く上げて振ればたちまち治ってしまう。薬も何もいらない。もし指などがちぎれておったら丁寧に合わせ、軽く包帯で巻いて、微振動から初めて振ってまいりますと密着して治ってしまう。指の瘭疽なども振るだけで治ります。それも症状によりまして、20分間位も振れば治る人もあり2、3時間で治る場合もありますが、そう非常に長い時間振る必要がない。3日以上も振らなければならないのは、全く腐ってしまったような場合ですが、いずれの場合でもただ手でも足でも心臓部よりも高く上げて振るだけで治ることに間違いはありません。

数ある医師の中には未だに西式はインチキだという方があるそうですが、それはなぜかと言うに、私の唱えていることは大学で教わらない。だから私の名前が出ますと、ア、西か、あれはインチキだ。簡単にこう言われます。特に心臓タンク説に対しては、心臓がタンクだなンて、そんな馬鹿なことがあるものか。昔から心臓はポンプに決まっているんだ、と言われます。しかし怪我をした場合に血液循環をよくすれば治ることは事実ですから、現代医学の心臓ポンプ説に従えば、強心剤を注射するとかジギタリスを投与すれば循環がよくなって治らなければならないはずです。しかし、果たして強心剤を注射すれば怪我が治るかと申しますと、それは治らない。化膿してしまいます。しかし単に手を上げて振りさえすれば治ります。この現象をいったいどう説明すればよいか。これは心臓ポンプ説では到底できないのであります。

毛管運動につきましては、軍籍にあらせられるさる高貴のお方様も、毛管運動が徹底すれば戦争などの場合にも誠に都合がよい。国家のために大変よいことだという意味のことをお仰せ遊ばされました。先日私は和歌山県の白浜温泉に講演に参りましたが、ただいま申し上げました高貴のお方様とは、御別の高貴のお方様でいらせられます同じ軍籍のお方様が、その地方へ成らせられました際に、平床をご持参遊ばされたというので、土地の人々もお噂申し上げておりました。

英国のストーンという医師の著した近刊書に『男子の危険期』 Stone : – The dangerous of man, 1935. という書の25ページに「いったい、人は摂護腺を肥大させるから年を取るのである」と書いてあります。こう申しますと、川上先生の口真似のように聞こえますが、西は下等なことを言う奴だなあ、とお思いになるかも知れませんが、……もし摂護腺という名前がいけなかったら、この頃の医学者が申します通り、前位腺(Prostate)という言葉を用いてもよろしいのですが、摂護腺と言うほうが一般にわかりがよいと思います。この、摂護腺は固すぎるのも軟らかすぎるのもいけない。頬の固さ位のところが一番よろしいのです。固すぎるのも柔らかすぎるのも、いずれも肥大しておるのですが、なぜ肥大するかと申しますと、これを直に花柳病と考えるのは誤りで、便秘がその大なる原因となっております。これを癒すには、平床にやすみますと、便秘が治り摂護腺肥大も治ります。ストーン博士もそう書かれております。

ですから若返ろうとする人は、何を措いても平らな堅い寝台すなわち平床に寝る必要があります。かくして完全無欠な身体をつくりあげてこの非常時を克服すべきで、我々の生存している間は皆長寿を保ち、後人から、何と長命の時代であったと、言われるようにしたいと思います。

また血圧を正常ならしめるためにも板に寝ることが効果があります。このように平床は非常に効果の多いものですが、これについて大分誤解があるようです。一昨年7月発行の婦女界誌上に西式に対する座談会の記事が掲載されましたが、そのとき出席された吉岡弥生女史は「西さんという医学の知識のない人が……板になど寝かせば下痢をしてしまうじゃないか……」ということを述べておられます。ところが川上博士は人間は病気にならない方法は下痢に傾いていたほうがよいと言っておられます。平床に寝て下痢する人は、大腸に古い糞便がこてこて溜まっておるからむしろ下痢をさせたほうがよいのであります。下痢をしたら直ちに清水をちびりちびりとコップに1杯ないし2杯飲んでおくことです。すぐ治ります。

それから、何でも病気をしたら物を食わないことが何よりも大切です。他の動物を見ますと、病気になったときには一向物を食べない。いくら美味しい物を突き付けても見向きもしません。猫などは食わなくともニャンとも言わない。ところが人間は意地が汚くて食べたがって仕方がない。今日の多くの医者の方々は、食べさせたがってばかりおりますが、一般の人々もそう考えている。入院患者などは、どうせ入院料の割引がないから食べなければ損だ、というような考えを持っている人が少なくないようです。

このように現代医学では、患者に食欲がないのに、何でも栄養栄養と言って食べさせたがっている。ところが私は、病気になったら物を食うなということを主張するものですから、中には、西は無闇に断食を強いて甚だ怪しからん、と言う人がありますし、また、西のようでも極端だから、その中間をとって少しずつ食べたらよいだろう、と言う人もありますが、それでは却って栄養不良になってしまいます。癲癇の場合などは断然食わせぬに限るということを今日、泰西の諸学者は主張しております。要するに糞便をしこたま溜めておるから、脳髄の血管が膨張することになり、そこで人事不省になって気絶する状態になるのであります。

この、断食において1つの例を申し上げたいと思います。それは恥を申さなければならないことですが、私の実父は震災の翌年脳溢血で亡くなりました。実は、父の兄弟の中では父方が一番工面がよいものですから、長年晩酌に魚肉、牛肉を酒の肴にしてやっておったのであります。ところが私の叔父すなわち父の兄は、今、94歳、現に1升酒を煽るという豪の者で、身代を吞み潰したほどですから工面が悪い。したがって酒の肴に野菜を食べております。ところで、酒は酸性、肉は酸性、野菜はアルカリ性ですから、叔父のほうはこの両性が中和しますが、父のほうは酸性と酸性で、ついに血圧亢進、動脈硬化症と進展してあっと言うことになったのであります。このことを、私が方々で忌憚なく話すものですから、今、実家を継いでおります私の実兄が、どうも弟の奴は怪しからん、俺が側に付いておって父を殺したようなことを言っている。それなら俺も父の通りにやって、父の死んだのはそのためでないことを証明して見せるというわけで、実は私は何も知らなかったのですが、10年この方、父と同様に肉を肴にして酒を飲んでおったそうです。ところが今年の1月頃から体の具合が悪くて、今年の2月初旬、横浜では最も有名なある病院に入院しました。副院長の某博士が診断しまして、胃下垂で胃癌の疑いがあると診断されました。私は早速見舞いに参りまして、それで様子を見ますと、脳溢血の徴候が明らかにわかります。それで兄に、一度血圧を測ってもらいなさい、それで医者が慌てだすようなら脳溢血の恐れがある。今のように胃下垂の手当てなどしておったのでは殺されるかも知れないから早速退院しなければならない。こう申して帰宅しました。その翌々日に再び見舞いに参りまして、聞いてみますと、血圧を測ってもらったら220余もあって、医者は大慌てに慌てて、瀉血をするやらいろいろのことをやったそうです。その内に

副院長が回診に参りました。そして私のほうを見ては、胃下垂はこの通りもうよろしい、と申します。どうやら私も藪医者ぐらいに見られているらしいです。こういうわけで、臍の下まで来ておった胃下垂が、わずか数日間ですっかり治ったというのですから、兄も内心大いに憤慨したらしく、早速退院する決心をいたしましたが、それから間もなく、口はれろれろになり、左半身は不随になってしまいまして、全く中風状態となりました。退院するとなりましたときに、病院のほうでは途中が危険だからといって看護婦をつけ注射の道具を持たせ、異状があったら、これを注射してやるなり、適当の医院に駆け込んで手当をしてもらうようにと申しつけました。しかし自動車に揺られて行くことは一種の金魚運動で、危険どころか却って病気を好転させることは申すまでもなく、果たして兄は無事に帰宅することができましたし、なお病院におる間、れろれろで口が利けなかったものが、帰宅後2、3日で大分具合がよくなり手足も動くようになってまいりました。そこで私は兄に30日間の断食をするよう申しました。兄もそれまでの経験で現代医学の頼りないこと、私の言うことが尤もであることがわかっておりましたので、直に私の言に従い、30日間断食をする予定の決心が、19日間で病気も治りましたから断食を打ち切り、現在(3月15日)は8分粥というところまで行っております(この速記ができあがって只今校正しているのが4月25日、現在の兄の状態は平日通りになりました。)この間も私は時々見舞いに参りましたが、いつも兄は現代医学に愛憎が尽きたとしみじみ申しております。

脳溢血は血管が切れて起こるのですが、普通、頭が痛いという場合にも、何本かの血管が切れております。そして、この切れた血管は、現代医学では再び繋がらぬことになっており、川上博士も講演の際、そう申しておられますが、テトラパシーの左右揺振運動をおこないますと、完全にこれが修理できるのであります。手の毛管運動と同様、左右揺振は頭の毛管運動に当たっております。

いったい、老衰の原因は、便秘または他の原因によってイレウスすなわち腸の閉塞あるいは吐糞症と申しますが糞便が閊えたり、腸が捻れたりいたしまして、それから大脳皮質の手足の中枢神経を司っております箇所に出血を起こすので、この腸閉塞と脳出血とは、互いに正比例しているということは、川上先生も述べておられるところで、この研究を完成された川上博士並びに山崎、柴田、松田の諸先生の業績は非常に尊いものと申さなければなりません。しかし先刻も申しました通り、私はこのことを9年前に発表しておりましたので、これが川上博士の教室における研究によって証明された次第であります。なお川上教室の研究中に、柴田信博士のご夫人が、博士の研究を助けるため、自ら腸閉塞となって、実験されたことは、誠に涙ぐましい美談と申さなければなりません。

それから、この便秘を治す方法として、『長生法』の中に外国におこなわれている運動法を載せてありますが、便秘はこのような運動だけで簡単に治るものではありません。根本的の治療法は、どうしてもテトラパシーの実行、特に平床は絶対必要であり、また断食は最も効果的でありますが、これは簡単なようでなかなか出来がたいことですから、こういう事情の人のために製造したものが即ちクリマグでありまして、この薬は数年前から外国におこなわれております。そしてその特許権が私の手に帰したことは非常に日本人の幸福と思う。私は別に儲ける必要はありませんから、できるだけ安く売る。外国品の半値ぐらいに売ることにしております。この薬を用いますと、別に断食をおこなう必要はなくなりますが、なお断食をおこなわれる方は、この付近でしたら南品川の関東断食寮等々を利用されることがよろしかろうと思います。

私の断食の方法は、ドイツのフォール・ハードの方法によったもので、絶対に誤りはありませんが、しかし断食をおこないますとどなたでも飢餓アチドージスに陥るもので、そこで苦しむのであります。これを防ぐ方法として比較的楽に断食のできるようにしたのが即ち断食中にクリマグを極めて薄くして水の代用として飲むことであります。私の兄も茶匙4分の1位をコッ杯(*印刷ミス、コップ1杯?)の水に混入して、飲んでおりましたので、少しも苦痛なく経過いたしました。

私は一両年前、だいぶ、新聞に書かれましたが、私の方法で私の指導のもとに誤ったものは1つもない。ただ自分勝手なことをされて誤った方は2、3あります。専門家は誤診をなさいましても、誤った療法をおやりになって万一死んだとしても別に問題にならない。ですから日本のではなく欧米のお医者様はいよいよ病気が昂進して死んでしまうと、「急に心臓麻痺を起こされたものだから何とも手の尽くしようがなかった。ご定命でございます」というようなことを言って済ましておるのです。私の兄の場合のように、胃癌と脳溢血を間違えるなどは、中耳炎と睾丸炎を間違えるようなもので、むしろ滑稽を通り越してお気の毒にさえ感ぜられます。いったいモルモットやネズミや犬などの実験、それも局部的の実験を直ぐ人間に応用しようとするのですから、決して上手く行くはずはありません。私のは、人間全体を観察する全体保健法であることは毎度申し上げる通りで、何か故障のある場合もその局部ではなく体貌を観測するのです。このようなことを申しますから、医者の反感を買い、当局の弾圧を受けることも覚悟しておりますが、これも現代の医学界を覚醒せしめる以外に何らの野心もないのです。誰かこれを叫ばなければ真の医学は建設されないのであります。たとえば患者に接する場合にはまず必ず手を洗う。それから自分の着ている上衣を脱いで清潔なものと着替え、きれいな白布で鼻や口を覆うて患者に接する。こういう医師が出現せなければなりません。私自身としては黴菌に対して少しも恐れを抱いていない、と言ったところで患者は弱いものであるという考えだけでも持ってほしい。私は、自分はよいとしても他の患者に黴菌を移すことを恐れておりますから、側から見れば神経過敏なほど患者に接する場合は手に注意しております。それというのも、私は電気局におりましてしばしば電車の吊革の黴菌検査をおこなったという経験もあるからで、電車の吊革はもちろん、人の手指、衣類等にも、実に驚くべき程の細菌の付着していることは、皆様もお聞き及びのことと存じます。患者に接する時まず手を洗う医者ならば、西式の理解は容易であろうと思います。

腸内に糞便が停滞しますと頭の血管が切れることは川上博士が発表された通りですが、大多数の人々がこれを繰り返しておられることは誠に嘆かわしい。このことについては『長生法』の中に詳しく述べておりますが、特にその5ページの終わりの部分にご注意を願います。先刻も申しました通り、現代医学では食えないというのに食わせようとする。これが非常の誤りで、身体の調子の悪いときには食わないに限ります。私は随分無理を致しておりますが、疲れたときには食わないことにしている。ですから、いくら無理をしても身体の故障を起こすようなことはありません。それから、これはよくあることですが、日曜の朝などに、ご主人が出勤せないので万事が遅れがちで奥さんがお困りになる。そういう場合「片付かなくて、困るから、早く食べてください」と言う。こういうことをなさるからご主人は脳溢血とか癌にかかる。その結果は奥さんのほうもヒステリーにかかる。極端に言えば、

夫殺しの大罪を犯し、また自らも病を求めているようなものであります。これに対する一法として合掌すなわち手を合わせることと、合蹠すなわち足の裏を合わせることをおこなうことが極めて重要です。『合掌は神に通ず』と申しますが、実は自分に通ずるのである。つまり合掌合蹠によって自分の神経が揃うのです。神様に供物を供えるときにも神様のほうには向けずに自分のほうに向ける。自分が神様なのです。合掌の完全にできる人は歯の疾患のないことは先刻申しましたが、合蹠の完全にできる人には子宮後屈がなく、子宮外妊娠もなく、また逆子や難産もありません。ですから子宮後屈や胎児の位置の悪い婦人は、合掌、合蹠をおこない、金魚運動をおこない、なお腹部に触手を致します。この金魚式のことについて思い出したことは、昭和5年3月発行の『診断と治療』誌上に、大阪の勝呂博士が発表された盲腸炎その他3例、いずれも手術の必要があって、4里の間、阪神国道をトラックで運んできたのでありますが、病院に着いてみるといずれも病気が治って、手術の必要がなくなった、というのであります。これは現代医学としては、誠に不思議でありましょうが、不思議でも何でもない。金魚式運動の効果にすぎないのであります。ですから、軽い盲腸炎にかかった場合には、燕で京都まで往復することも一策であろうと思います。

筋肉の若返り法

筋肉の若返り法は、脊柱と腸の運動を同時におこなうことです。これをおこないますと、身体の全ての神経、600有余の筋肉、200有余の骨格が皆動いて完全に整正され、十分にその機能を発揮しますから、筋肉の若返り法になるのです。

骨格の若返り法

骨格の若返り法は、金魚式運動と毛管作用発現法とをおこなうことです。

私の兄が退院いたしますときにも、4里半を自動車で家に帰って参りますと、却って病気がよくなったというのは金魚式の効果であることは申すまでもありません。家に帰ってからは、クリマグとアポセーフを用いておりました。アポセーフは私の意見でつくったもので、だいたい六大製薬の第2の薬剤に該当しております。これにはある分量のカンフルを含んでおって、普通のカンフル注射に対しこれを経口的に与えるように苦心されたものであります。最近ドイツのリーデル社からカンフォコールと命名して同じくカンフルを経口的に改剤したものがありますが、このほうのカンフルは28%も含有して臭気が甚だしいので膠に包んでありますが、膠は体内で溶解して毛細血管を閉塞してエムボリーやトロンボーゼを起こす恐れがあります。特に発熱の場合には、初めはよく溶解して体内に浸透し下熱の際に凝結しますから危険がありますが、私のほうの薬剤には、絶対に膠を用いておりません。クリマグに致しましても、沈殿を防ぐには膠を混合すればよろしゅうございますが、そういうことをして商品に無益な体裁は必要なかろうと思いまして、膠は入れてありませんから、安心してお用いになることができます。

クリマグはもともと癌を狙ったもので、癌はまた腸内の糞便から来ることが多い。これらの関係はフランスのデルベー先生が研究発表されたものでその詳細は私の『便秘』の新刊書の結語に記してあり、一々文献を掲げておきました。

昭和4年1月に、私が初めて『実業之日本』誌上に健康法を発表しましたとき、三井物産の重役の方が横山大観画伯の紹介で私を訪問され、また同年貴族院議員永田秀次郎氏の紹介で某市会議員の方がお見えになりました。どちらも癌の徴候が歴然としておりましたが、私は三井物産の重役の方にはこれをあからさまに申し上げなかったし、市会議員の方には露骨にそのことを話しました。これはその人の精神状態その他の事情を考慮した結果でありまして、率直に話してはいけない人のためには、ぜひ何か適当の薬をつくる必要があるということをつくづく考えさせられました。たまたま、その年の8月デルベー先生がマグネシアと癌との関係について発表されましたので、爾来私はマグネシアの溶解のことについて日もまた足らざる研究を重ね、昨年完成して特許を出願しようと致しましたところ、すでに一英国人が日本の特許を得ておることがわかりましたのでその特許権を譲り受け、英称クリーム・オブ・マグネシアの略称クリマグと命名して製造することとしたのであります。もとより難症で不治と言われる癌が治ろうし、かからないという薬剤のことでありますから、普通の切り傷や火傷など問題でなく、胃酸過多症とか眼病までこれで治るのであります。

視力、聴力、嗅力の若返り法

視力と嗅力とは非常に関係がありまして、視軸が狂えば眼が悪くなると同時に鼻も悪くなるのです。ですから視軸を矯正すれば、眼もよくなりまた鼻の故障も治ります。視軸の矯正法は、西式血圧病療法もしくは質疑応答集その他に掲載してあります。

それから、聴力のほうですが、これも糞便が貯留して脳の顳顬回転の血管を膨張させて、それから上方に影響して遂に足の中枢神経に及びまして、足の故障が原因となって心臓、腎臓、血管の障害を起こし、結局、耳に参ります。そして左足首の悪い人は右の耳が悪く、右の足首に故障があれば、左の耳に故障を起こしやすいものですから、聴力を完全ならしめるためには、まず足の故障を治すことを心がけなければなりません。

生殖器の若返り法

生殖器の若返り法としては、摂護腺の水射が最も効果があります。その方法は四つ這いになって臀部を高く上げ、斜め上方から会陰部と肛門との間に水射をおこないます。その回数は2週1回とし、1回20秒ずつ7回おこない、次に30秒ずつ7回、次に60秒ずつ7回、これが2週間に1回ずつですから、全部完了までには13、4ヶ月を要することになります。

生殖器の若返り法については世間に睾丸の移植その他種々の方法がおこなわれておりますが、このような部分的のことでは効果はない。やはり全身が健康にならなければ駄目です。すなわち平床を初め六大法則を実行し、酸・塩基の平衡に留意し、ローブリーの裸療法、温冷浴その他の方法を実行して、初めて全ての部分の健康が保たれるのであります。尤も私のテトラパシーをもって、決して完全無欠なりと申すのではありません。真に健康をつくり上げ若返るということは種々関係のあることでありまして、家庭や親戚の関係、経済的の事情、その他のことまで考えなければなりませんが、まだそこまでは手が届きません。しかるに現代医学においては、極めて一小部分のみを見て健康を求めんとするは、いわゆる木に縁って魚を求むるの類であり、かくのごとくにして生命を失った場合、ご定命でございますとか、寿命は別物だとかいって片付けてしまうのでありますが、これらの多くは非業の最期を遂げているのであります。これをもって恥とせざるものは自らの無智不明を暴露するものと申さなければなりません。

なお、若返り法について今一つ残っている問題は休養と睡眠でありますが、要するに、よく眠ってよく休養するということが最もよろしいのです。しかし今晩は時間もありませんから、このことについては次の機会に申し上げることにいたします。(拍手)

(昭和10年3月15日。蚕糸会館における講演要項)

西勝造 主幹 「テトラパシー」 第4巻第9号 昭和10年5月25日発行

*苦味丁幾(くみちんき)

苦味チンキ - Wikipedia

*舎利別(しゃりべつ)

舎利別とは - コトバンク
デジタル大辞泉 - 舎利別の用語解説 - 《〈オランダ〉siroopの音訳から》白砂糖を煮詰めた濃厚な液。シロップ。「―と氷水で清新なうまい飲みものになった」〈野上・真知子〉

*泰西・・・西洋

泰西とは - コトバンク
精選版 日本国語大辞典 - 泰西の用語解説 - 〘名〙 (「泰」は極の意。西の果ての意から) 西洋諸国の称。※水流雲在楼集(1854)上・題新宮涼庭西遊日記後「豈及泰西教、精詣攬二天機一」※小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「泰西(タイセイ)のポヱトリイはそもそもいかなるものぞといふに」

* 顳顬・・・しょうじゅ=こめかみ

顳顬とは - コトバンク
デジタル大辞泉 - 顳顬の用語解説 - 《米噛(か)みの意》耳の上、目のわきの、物をかむと動く所。しょうじゅ。

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